使用楽曲
「BafBaf!そんなに燃えるのが…好きかい?」
TVシリーズ本編は第15話を2カット手伝っただけで、基本的に「若手が元気よく頑張っているなぁ。楽しそうだなぁ」」と思って横から見ていたんです。そうしたら制作プロデューサーの白石(直子)さんから「PVを作りませんか」と声をかけてもらったので、「それならば」と参加を決めました。
最初は電車に乗っている乗客がリピートリズムで、だんだんアンチスパイラルに変わっていくというちょっと怖い感じの内容も考えていたんですが、結局、パチンコネタのギャグでいくことに。白石さんもこのPV企画に幅を持たせたくて僕に声をかけたんだと思いましたし。
パチンコを題材に選んだ一つの理由は、パチンコ玉の質感がCGを使う今なら出せるだろうと思ったからです。パチンコ台は3DCGで作っています。いちおう名前も決めてあって、ガンメンならぬバンメン(盤面)というのがパチンコメカの名前ですね(笑)。
パチンコ台がCGならば、玉が釘にあたって流れ落ちていく様子もCGでできるんじゃないかと思ったんですが、それは甘かったです。コンピューターでシミュレーションして玉を流しても、なかなか思うような動きにならないんですよ。だから、盤面のデータをプリントアウトして、そこに「この釘にあたったら、この玉はこっちにいく」という指示を一つ一つ描き込んで、そのタイミングをタイムシートに書くことでパチンコ玉の動きを決めたんです。大変でしたけど、思った通りの玉の流れになりました。やっぱり楽はできないんだな、と(笑)。
音楽の「BafBaf!そんなに燃えるのが…好きかい?」が途中にブレイクが入る二部構成になっているので、それを生かしてアニメのほうも前半と後半の二部構成になります。ここでのヴィラルの役回りは、『タイムボカン』シリーズの三悪の役回りを、一人でやってもらっています(笑)。今回はシモンたちが3人組だから、構図としては『タイムボカン』シリーズ――“逆ボカン”――ですね。いちおう僕も、タツノコプロ出身なんで(笑)。
パチンコのリーチのパターンはいろいろ考えました。もし『グレンラガン』のパチンコが出るならば、企画会議に呼んでほしいぐらい(笑)。パチンコをやっているシモンたちはかなり僕の絵柄になっているんですけれど、リールの図柄のほうは意図的にキャラクター表の絵に近づけています。少し残念だったのは、今回の企画が「セリフ、SEはなし。音楽のみ」という縛りがあったんで、リーチの画面の時にSEをつけられなかったことですね。SEがあれば、もっとパチンコの雰囲気が出たんですが。
作業は合間にほかの仕事をしつつ3カ月ぐらいで終わりました。最後の1カ月は追い込みでかなりバタバタしてしまいましたが、参加できて楽しい企画でしたね。次があるならバンメンを宇宙空間にずらりと並べて、パチンコ店みたいにしたやつを作ってみたいですね(笑)(談)
(プロフィール)
すえぜん
漫画の代表作は『ヤダモン』『マリンカラー』『DEAD SPACE』など。飯田史雄名義で『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(作画監督など)、『老人Z』(作画監督)などを手がける
(C)GAINAX・中島かずき/アニプレックス