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上映作品
吉田喜重レトロスペクティブ -熱狂ポンピドゥセンターよりの帰還-
2008/06/21 〜 2008/07/11
ポンピドゥ・センターで日本人監督として初のレトロスペクティヴ上映を終えた吉田喜重監督を迎えて、パリでの上映会を再現した特集です。
『秋津温泉』
秋津温泉
公開:1962年
監督:吉田喜重
主演:岡田茉莉子 長門裕之 芳村真理 清川虹子 東野英治郎 山村聡
敗戦直前、結核療養で岡山の山奥の「秋津荘」にやって来た青年が娘に出会う。以来男は数年おきに秋津を訪れるが…。偶然のすれ違いによって結ばれない当時の松竹メロドラマの定型を、精神的思想的なすれ違いに置換して人間の情念をあぶり出した。岡田茉莉子出演作100本記念に自ら企画を立ち上げた作品。
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『エロス+虐殺』
エロス+虐殺
公開:1970年
監督:吉田喜重
主演:細川俊之、岡田茉莉子、楠侑子、高橋悦史、八木昌子、稲野和子、原田大二郎、川辺久造
大正時代のアナキスト大杉栄は自由恋愛を提唱・実践し、妻がありながら伊藤野枝らと愛人関係にあった。しかし大杉が妻に刺されるという葉山日陰茶屋事件が起き・・・。過去の大杉らと現代の若者たちを対比させつつ、自由と権力、個人と国家、女と男のはざまを、前衛的な映像表現によって描く吉田喜重の代表作。
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『ろくでなし』
ろくでなし
公開:1960年
監督:吉田喜重
主演:津川雅彦、高千穂ひづる、川津祐介、山下洵一郎、安井昌二
ブルジョアの息子と彼にたかるように集う4人の大学生グループが、もてあました時間を危険な遊戯に費やしていく。60年代安保を背景にしながら、早くも退廃的でしらけた若者像を描いている。ゴダールの『勝手にしやがれ』との類似が封切り当時話題になった、吉田監督の鮮烈なデビュー作。
『血は渇いてる』
血は渇いてる
公開:1960年
監督:吉田喜重
主演:佐田啓二、三上真一郎、芳村真理、岩崎加根子
リストラされた木口は、会社に抗議するために自殺を図るが未遂に終わる。その事件により彼は脚光を浴びるが、保険会社やマスコミに利用されることで自分自身の人格をも失っていき、やがて本当の死に追いやられる。「安易に氾濫するヒューマニズムを逆手に、その欺瞞を描いた」という第二作目。
『甘い夜の果て』
甘い夜の果て
公開:1961年
監督:吉田喜重
主演:津川雅彦、山上輝世、瑳峨三智子、滝沢修、杉田弘子
デパート勤務の貧しい青年が、女を食いものにしてのし上がるが、その末路に待っていたのは…。高度経済成長の歪みの象徴とも言われた新興工業都市・四日市を舞台に展開する、スタンダールの『赤と黒』。津川雅彦と瑳峨三智子の存在感が光る。
『嵐を呼ぶ十八人』
嵐を呼ぶ十八人
公開:1963年
監督:吉田喜重
主演:早川保、香山美子、松井英二、岩本武司、木戸昇 殿山泰司
瀬戸内海の造船所下請けに集まった十八人の新入りたち。彼らは花札賭博や喧嘩で僚監の手を煩わせていたが、夏祭りの日、ある暴行事件が起こる。当時の労働者映画への批判的試みとして、高度経済成長下の底辺で働く社外工たちを映し出した一本。
『日本脱出』
日本脱出
公開:1964年
監督:吉田喜重
主演:鈴木やすし、待田京介、内田良平、坂本スミ子、桑野みゆき
竜夫は金庫破りに加担するが、仲間のひとりが警官を撃ったことから歯車が狂いだす・・・。東京オリンピックで賑わう街を背景に、孤独と焦燥を抱きながら「憧れのアメリカ」への逃避行が始まる。「アクションだけを純粋に追求することによって、思わぬ異次元へと飛躍する」。吉田監督が手掛けた初のアクション映画。
『水で書かれた物語』
水で書かれた物語
公開:1965年
監督:吉田喜重
主演:岡田茉莉子、浅丘ルリ子、弓恵子、入江保則、山形勲
近親相姦という題材のために、原作者・石坂洋次郎が映画化不可能と語った同名小説に基づき、松竹を離れた吉田が撮った独立プロ第一作。地元の有力者・橋本の娘と婚約した静雄は、若かりし母と橋本との関係を疑い、婚約者と自分が異母兄弟ではないかと悩む・・・。
『女のみづうみ』
女のみづうみ
公開:1966年
監督:吉田喜重
主演:岡田茉莉子 芦田伸介 露口茂 早川保 夏圭子
愛人に請われるままに自分の裸体を撮影させた宮子は、そのフィルムを奪われ、以後見知らぬ男の脅迫を受けるようになる・・・。川端康成の『みづうみ』を自由に翻案し、サスペンスタッチで人妻の不安を描きながら、虚像と実像の関係、加害者と被害者の間の共犯関係に鋭くメスを入れた、現代映画社の記念すべき第一作。
『情炎』
情炎
公開:1967年
監督:吉田喜重
主演:岡田茉莉子、木村功、高橋悦史、菅野忠彦、太地喜和子、南美江
破綻した結婚生活を送る社長夫人・織子。彼女は亡き母の情人であった彫刻家・能登を愛しながらも、名も知らぬ労務者と関係を持つ。それはかつて母が行っていた行為と同じものだった。抑圧された環境から脱出しようとする人妻と、その心の底に潜む理不尽な性の欲望を鮮やかに描いている。
『炎と女』
炎と女
公開:1967年
監督:吉田喜重
主演:岡田茉莉子、木村功、小川真由美、日下武史、細川俊之、北村和夫
「人工授精をモチーフにしたSF映画のような作品」。伊吹と立子には人工授精によって生まれた一歳七ヶ月の子供がいた。精子の提供者・坂口の妻は、その子が坂口と立子の姦通で生まれたと思い込み…。当時、社会的にも話題になった人工授精というテーマを導入することで、父・母・子という近代家族の問題を鋭く提示した。
『樹氷のよろめき』
樹氷のよろめき
公開:1968年
監督:吉田喜重
主演:岡田茉莉子、木村功、蜷川幸雄、赤座美代子
美容院を経営する百合子は愛人と別れるつもりで旅行に出るが、別れを強く拒否される。翌日、元恋人のもとへ向った百合子と2人の男の危険な旅が始まる・・・。厳冬の北海道の雪原を背景に、次第に追い詰められていく3人の関係が鮮烈に描かれる。
『さらば夏の光』
さらば夏の光
公開:1970年
監督:吉田喜重
主演:岡田茉莉子、横内正、ポール・ボーベ、エレーヌ・ヴィエル
欧州7ヶ国で撮られたロードムービー。日本を忘れるために異郷を旅する日本人の女が、古びた写生画に描かれたカテドラルを探す建築家の男とリスボンで出会い、マドリード、パリ・・・と共に旅をする。男の夢と女の過去が出会うとき、そこに立ち現れたのは、忘れられた地名「長崎」だった。
『煉獄エロイカ』
煉獄エロイカ
公開:1970年
監督:吉田喜重
主演:岡田茉莉子、鴨田貝造、木村菜穂、牧田吉明、岩崎加根子、武内亨、筒井和美
妻が連れ帰った行き倒れの少女アユは、庄田を父だと主張する。この謎の少女の出現によって、庄田は、前衛党に属し武力革命を目指した自らの過去へと遡って行くことになる。過去・現在・未来を交差させつつ、内部に敵を作るという日本の革命運動の不毛を描く。大胆な構図とスタイリッシュなカメラワークによる吉田監督の野心作。
『告白的女優論』
告白的女優論
公開:1971年
監督:吉田喜重
主演:浅丘ルリ子、有馬稲子、岡田茉莉子、三國連太郎、木村功、月丘夢路
撮影開始を2日後に控えた映画『告白的女優論』で共演する3人のスター女優は、それぞれ他人には語りえない不安を心の中に抱えていた。浅丘ルリ子、岡田茉莉子、有馬稲子を競演させ、吉田監督は映画スターとは何かというテーマを追求する。これは衰退しつつある映画界への離別と賞賛の歌でもある。
『戒厳令』
戒厳令
公開:1973年
監督:吉田喜重
主演:三国連太郎、松村康世、三宅康夫、倉野章子、菅野忠彦、飯沼慧、内藤武敏、辻萬長、八木昌子
三国連太郎を主演に迎え、二・二六事件の首謀者として処刑された革命家・北一輝を追求した作品。『エロス+虐殺』、『煉獄エロイカ』とともに日本近代批判三部作を形成する。北に対して無名の兵士Aを配した脚本は別役実によるもの。
『人間の約束』
人間の約束
公開:1986年
監督:吉田喜重
主演:三國連太郎 村瀬幸子 河原崎長一郎 佐藤オリエ 杉本哲太 武田久美子 若山富三郎
東京・多摩の新興住宅地の会社員の家で、寝たきりだった母タツが死んだ。夫が殺害を自供するが、刑事は自供に疑いを持つ。実は、痴呆が進むタツの症状に振り回される家族の誰もが、その死を望み始めていたのである。老いと家族、夫婦愛を静かに厳しく見つめた問題作。
『嵐が丘』
嵐が丘
公開:1988年
監督:吉田喜重
主演:松田優作、田中裕子、名高達郎、石田えり、萩原流行、伊東景衣子、志垣太郎、今福将雄、高部知子、古尾谷雅人、三國連太郎
火の神を祭る山部一族の東の荘の当主・高丸は、都から鬼丸という異様な容貌の少年を連れて帰る。鬼丸は下男として仕え、やがて高丸の娘・絹と愛し合うようになる…。エミリ・ブロンテの名作の舞台を中世日本に置き換えることで、禁じられた2人の関係がよりリアルに浮かび上がる。
『鏡の女たち』
鏡の女たち
公開:2003年
監督:吉田喜重
主演:岡田茉莉子、田中好子、一色紗英、室田日出男、山本未来、北村有起哉、三條美紀、犬塚弘、西岡徳馬
娘を置き去りにして24年前に失踪した美和が発見されたとき、彼女は記憶を失っていた。美和の母・愛はアメリカに留学している孫娘・夏来を日本に呼び寄せる・・・。三世代の女性たちを通して広島の原爆問題を問い直す。
『美の美』
美の美
公開:2008年
監督:吉田喜重
吉田監督が各国に赴き、絵画や遺跡について、画家たちの生涯や彼らの美意識、そしてひとつの美的空間が生まれるまでの歴史的背景、国土などについての考察を試みながら、古今東西の美の世界を紹介した『美の美』は、1973年から77年にかけて制作・放送されたドキュメンタリー番組である。
『吉田喜重が語る小津安二郎の映画世界 第1回〜4回』
吉田喜重が語る小津安二郎の映画世界 第1回〜4回
公開:1993年
監督:吉田喜重
1963年晩秋、入院見舞いに訪れた若き吉田喜重に小津は語る。「映画はドラマだ。アクシデントではない」。同じ松竹大船撮影所の監督としての視点から、小津映画の秘密に迫った映像による映画作家論。代表的な小津作品の映像を引用しながら、小津作品の魅力が語られる。小津誕生90周年にあたって、4回にわたった放送された作品であり、『吉田喜重が語る小津さんの映画』の180分完全版である。
『吉田喜重が語る小津さんの映画』
吉田喜重が語る小津さんの映画
公開:1993年
監督:吉田喜重
小津安二郎生誕90周年を記念してNHKで放送された全180分番組の再編集版。代表的な小津作品の映像を引用しながら、「反復とずれ」「不在の空間」など、小津映画の特徴が語られる。
『夢のシネマ、東京の夢 明治の日本を映像に記録したエトランジェ ガブリエル・ヴェール』
夢のシネマ、東京の夢 明治の日本を映像に記録したエトランジェ ガブリエル・ヴェール
公開:1995年
監督:吉田喜重
主演:ピエール=イヴ・フェルランディ、マラニック・ヴォーダン、高橋明
映画生誕100年を記念して放送された作品。リュミエール兄弟から派遣されたカメラマンのガブリエル・ヴェールの生涯を自身の撮影した映像を交えて辿る。
『吉田喜重 映画監督とは?』
吉田喜重 映画監督とは?
公開:2008年
監督:ニコラ・リボシュ
主演:吉田喜重、岡田茉莉子、蓮實重彦、青山真治、ジャン・ドゥーシュ
吉田監督が自ら語る、生い立ちから松竹時代、反メロドラマの時代、「性と政治」の時代、そして『美の美』出演の後いったん映画を離れて、再び映画に復帰する、その半生。「映画監督とは何か?」という問いをめぐる自らの反芻、そして蓮實重彦、岡田茉莉子、青山真治、マチュー・カペル、アントワーヌ・ド・ベック、ジャン・ドゥーシュ、シャルル・テッソンによって語られる吉田映画の真髄。
上映予定作品一覧(全24本)
2008/06/21 〜 2008/07/11
『秋津温泉』

『エロス+虐殺』
『ろくでなし』

『血は渇いてる』
『甘い夜の果て』

『嵐を呼ぶ十八人』
『日本脱出』

『水で書かれた物語』
『女のみづうみ』

『情炎』
『炎と女』

『樹氷のよろめき』
『さらば夏の光』

『煉獄エロイカ』
『告白的女優論』

『戒厳令』
『人間の約束』

『嵐が丘』
『鏡の女たち』

『美の美』
『吉田喜重が語る小津安二郎の映画世界 第1回〜4回』

『吉田喜重が語る小津さんの映画』
『夢のシネマ、東京の夢 明治の日本を映像に記録したエトランジェ ガブリエル・ヴェール』

『吉田喜重 映画監督とは?』