県内で分娩(ぶんべん)を扱う医療機関は155カ所(4月1日現在)で、過去1年間に5カ所減ったことが県の調査で分かった。今年度中に新たに6カ所が分娩を中止し、9カ所が扱う件数を減らす予定。分娩中止の理由は「医師の確保が難しいため」とする回答が多く、全国で特に危機的状況とされる産科医不足が、県内でも進んでいる実態が浮かんだ。
調査は4月、産婦人科などを掲げる病院と診療所、助産所計179カ所を対象に行い、約94%の168カ所から回答を得た。
分娩を扱っている医療機関の内訳は▽病院64カ所(昨年度比2カ所減)▽診療所59カ所(同4カ所減)▽助産所32カ所(同1カ所増)。残り13カ所は産婦人科などと掲げつつも分娩を扱っていなかった。県が調査を始めた03年度からは、合計で26カ所減っている。
分娩に携わる常勤医師は計430人で、昨年度から8人減った。必要とされる常勤医師の数は、この設問に回答した118カ所の実数420人に対し、約1・4倍の582人。強い人手不足感をうかがわせた。
一方、今年度の分娩予定件数は、昨年度比16件減の計6万7171件で、横ばいの見込み。県は「医師が減る中で分娩件数を維持するということは、個々の医師への負担が増えることを意味する」と懸念している。【五味香織】
毎日新聞 2008年6月23日 地方版