女性への性別適合手術を受けたあと、モデルやコメンテーターとして活躍中の椿姫彩菜(つばき・あやな)さん(23)が、初のエッセイ集「わたし、男子校出身です。」(1260円)の発売イベントを東京・銀座で開いた。「男の子として生まれたことのコンプレックスを、ひとつの個性として『頑張ろう』と思えるようになるまでを書きました。(読んだ人が)『自分らしさ』や生まれた境遇を幸せに思って前向きに生きる力になれば」と著書に込めた思いを語った。
エッセイには、女性の心と男性の体を持って生まれた椿姫さんの家族との葛藤や、小中高一貫の私立男子校での生活、タイで受けた手術について詳細に記されている。「性同一性障害を個性や長所として考え、“私にしかない価値観”を意識して書いた」と話す。16日に発売された同書は、3日間で2回増刷し、計2万部を発行。版元のポプラ社も「予想を超える売れ行き」と驚く。
自らデザインした上品なグレーのワンピースで登場した椿姫さんは、青山学院大学の3年生。男子として入学後、休学して手術を受け、女子大生として復学した。「男子校時代は(制服が)学ランだったので、私服で通学できるようになってうれしい。女の子としてのスタートラインに立って、普通に授業が受けられる“ゼロの幸せ”を毎日かみしめています」という。美容で心がけていることは「何事も前向きに受け止めていれば、自然に心からきれいになるんじゃないかな」と、“椿姫流”のアドバイスをした。
集まった200人を超すファンは、「本に感動しました」「いっぱい勇気をもらいました」などと、椿姫さんに声をかけていた。ブログやティーン雑誌「小悪魔ageha」を見て椿姫さんのファンになった和田安希さん(19)は「(美しくあるために)すごくがんばっているんだと思う。負けていられない。自分もかわいくなる努力をしなくては」と話した。【岡本同世】
2008年6月21日