政治家の年金未納問題

Keywords: 政治家の年金未納問題, 10月, 1996年, 1月, 2004年, 4月23日, 4月28日, 5月10日, 5月11日

年金未納問題がクローズアップされるなか、年金制度改革を中心に議論がなされていた2004年の国会の期間中、複数の閣僚に年金の未納期間のあることが判明した。その後の調査が進むにつれて野党議員にも次々と未納期間のある者が発覚、官房長官や第一野党である民主党代表が辞任に追い込まれるなど、政治家の年金未納問題は一大政局に発展した。国民の年金への不信が高まりつつある中で、年金不信をさらに加速しかねないスキャンダルであったほか、年金の議論をしている当人までもが手続を忘れるという年金制度の複雑さを浮き彫りにするものでもあった。

この問題に先立って注目されたのが、2004年に年金CMに起用された女優・江角マキコの未納発覚である。この報道を機に、年金運営側の納付状況は国民に注目されるところとなっていた。そのような中で、閣僚を含む政治家に未加入や未納期間があることが判明(小泉内閣の首相を除く閣僚17人のうち7人に未納・未加入の事実が指摘され、その中の一人である福田康夫内閣官房長官を辞任した)。さらには江角の証人喚問を要求したり、当初の未納・未加入発覚が発覚した三大臣を「未納三兄弟」と呼ぶなど、年金未納問題批判の急先鋒だった民主党代表・菅直人や、野党最左派である共産党所属の議員にも未納・未加入が発覚した。その結果、2002年度の国民の平均年金未納率を4ポイントも上回ったことが分かった。以上のような事実を踏まえて、マスコミによって現政府政策の失政を批判する相当量の報道に国民の多数が賛同し、国民の年金制度不信、政権不信をさらに加速させた。

追求が及んだのは公職関係者ばかりでなく、公人の年金未納問題を強く批判していたニュースキャスター筑紫哲也も年金未納であることが発覚したため番組出演を見合わせることとなった。

この問題を受けて、改めて年金の「うっかり未納」の深刻さが認識され、未納年金の後納が認められることとなった。

目次

経緯

この問題は当初与党自民党の一部閣僚の問題として発覚、野党民主党の批判を受けたことに端を発する。 この時点で、与党側は官房長官であった福田康夫から「個人のプライバシーだ」とのコメントを出し強く反発していた。この対応は多くの国民の不興を買うものだった。 しかし数日後には福田自身を含めたさらに多数の閣僚に未納の事実が発覚するとともに、批判する側であった民主党の代表菅直人にも発覚した。

この時点で、批判する側もそれに反発する側も渦中に巻き込まれた形になったが、菅は自己弁明に終始。それに対して福田は先手を打って引責辞任を発表した。 こうして福田は潔く進退を決めたイメージを作るとともに、菅に進退を迫る形となり、菅は党代表辞任に追い込まれることとなった。福田の辞任の時点ではすでに懸案であった年金改革法案が国会を通過したあとであり、「名を捨てて実を取ったのでは」との批判もある。しかし、政治的には民主党に対する自民党の勝利であった。

民主党では、菅の後継者となる第二人者としては、党内でもその強い政治力から危険視され、自ら「一兵卒として働く」と宣言した小沢一郎が最有力であった。そして、小沢がその立場を活かして党執行部の刷新を条件に代表就任を受諾するという交代劇が繰り広げられた。

その後、首相小泉純一郎の年金未加入期間があることが発覚、続いて民主党代表就任を控えた小沢にも未加入期間が発覚する。これらの「未加入」は本来義務ではなかったものであり、未納問題に比べれば責任の度合いははるかに低いものである。しかしここで小沢は代表候補の辞退を表明、福田の辞任のときとは逆に、自民党側に進退を突きつけた形となった。

また厚生労働大臣をはじめとする厚労関係議員(副大臣、委員長)にも年金未納があり、本国会審議の年金改革法案の成立を巡って、未納状況の公表が遅れるなどの状況がみられた。

事件の経過

以下に、未納期間のあったことが判明している議員を挙げる。 (所属などは2004年現在・国会議員分は2004年5月14日読売新聞による)

国会議員

自由民主党

衆院議員

参院議員

公明党

衆院議員

参院議員

民主党

衆院議員

参院議員

社民党

日本共産党

その他

大臣(議員以外)

地方議員・首長

都・道・府・県知事

市・町・村長

議員

関連項目

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