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2008-06-23 00:01:00 stanford2008の投稿

桜井淳所長が朝日新聞社論説委員Aに送ったメール内容

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Aさま

ご無沙汰しています。ご活躍のことと推察します。

元朝日新聞社編集委員の泊次郎氏は、定年直前に退職し、東大大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系(科学史・科学哲学)の博士課程社会人コースに入学し、5年かけて学位を取得し、その学位論文に加筆して著書『プレートテクニクスの拒絶と受容-前後日本の地球科学史-』(東大出版会、2008.6)を出版しました(3800円)。すばらしい出来栄えです。文献を826編も引用し、非常にていねいな論証をしています。大変な力作です。科学全般を論じる論説委員として、また、同僚の研究として、ぜひ、お目とおしください。新たな認識が得られるものと確信します。

プレートテクトニクス(plate tectonics)理論は、1967-1968年に、California-Berkeleyに留学中だったCambridgeのD.P.McKenzie、PrincetonのW.J.Morgan、さらに、ラモント地質学観測所のX.Le Pichonによって確立されました。日本の地震学会の口頭発表には、プレートテクトニクス理論に関するキーワードを含む研究が、1970年から発表され始め、その後、直線的に増加しましたが、地質学会では、1970年代にはゼロに近く、1980年から発表され始め、次第に多くなってゆきました。しかし、そのような日本での事実関係は、すでに、松田時彦「新しい地球観-日本における1970年代」」(『月刊 地球号外』1991年3号、pp.217-221)に記されていました。

泊氏の研究は、なぜ、地質学会は、受容に10年もかかったのか、そのメカニズムを解明・論証したものです。受容遅れの原因は、地質学会に大きな影響を及ぼしていた地学団体研究会の井尻正二氏(日本共産党科学技術部長に専念していた時期がある)を中心としたスターリン主義(日本共産党の指導理念)の科学論による反米親ソ中思想において、イデオロギー闘争の一環として、民主的科学技術推進体制の中で発生しました。しかし、そのような原因は、都城秋穂「プレートテクトニクスと日本の地質学界」(『月刊 地球号外』1992年5号、pp.12-17)ですでに記されており、泊氏がしたことは、全体の体系化と論証です。

ところで、私は、駒場に通って、5年目になり、予定どおり、5年で学位を取得するため、いま、学位論文をまとめている最中です。1冊の学術書になる文量です。今秋までには完成します。東大から学ぶこともありましたが、失うものもあり、複雑な心境です。

桜井淳
2008-06-21 20:55:43 stanford2008の投稿

桜井淳所長は10年ぶりに六ヶ所村核燃料サイクル施設を見学・理事等に聞き取り調査実施

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以下の内容は"水戸"からの情報です。桜井淳所長が、最初に、六ヶ所村核燃料サイクル施設を訪問したのは、阪神大震災の約半年後のことで(1995年8月頃)、当時、建設中の核燃料再処理施設の掘削・鉄骨骨組み組み立て現場を見学し、併せて、低レベル廃棄物埋設施設・ウラン濃縮施設・高レベルガラス固化体貯蔵施設を見学するためでした。それから、10年ぶりの2006年4月21日に、2回目の訪問をし、核燃料再処理工場、再度、低レベル廃棄物埋設施設・ウラン濃縮施設・高レベルガラス固化体貯蔵施設を見学しました。主な目的は再処理施設の見学と副社長・理事・部長・課長に対する半構造的直接面接方式での聞き取り調査でした。ちょうど、使用済み燃料の再処理を初めて、1週間後の時期でした。副社長と理事には、以前、面識があったそうです。理事には、特に、専門的な質問をしたそうです。部長には、核的な事項に対しての従事者への教育訓練について、かなり突っ込んだ質問をしたために、いくぶん険悪な雰囲気になったそうです。桜井所長は、それでも、遠慮せず、質問し続けたそうです。聞き取り調査の結果は『世界週報』(2006年9月5日号)に掲載されています。聞き取り調査をした管理棟2階の会議室から見ると、すぐ隣がMOX燃料製造施設用の空き地になっており、再処理施設と管理棟に挟まれた比較的狭い敷地のようでした。桜井所長に拠れば、再処理施設には、高さ約100mの排気塔が設置されており、定格運転時ならば、100万kW級軽水炉から1年間に放出される放射能の数倍の放射能を1日で放出することになるそうです。まだ、試験処理中とはいえ、構内は、長閑な雰囲気で、女性社員が管理棟近くの芝生の上で談笑していたそうです。おそらく、定格運転になっても、そのような光景が見られるのでしょうが、桜井所長は、現象が見えているだけに、複雑な心境になったそうです。しかし、いずれにせよ、施設周辺の広範囲にわたり、事業者の日本原燃と青森県が設置した、それぞれの放射線モニタリングステーションが数多くあり、ガンマ線線量やベータ線線量を常時モニターしており、それに異常が無ければ、桜井所長は、一応、安全の目安になっていると解釈しているそうです。桜井所長に拠れば、原子力施設は、24時間連続運転体制のきびしい職場だそうです。

2008-06-21 17:59:04 stanford2008の投稿

桜井淳所長が1976-1984年に原研材料試験炉部で実施した炉心核計算と炉物理実験

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以下の内容は"水戸"からの情報です。桜井淳所長は、1976-1984年に、原研材料試験炉部で材料試験炉(JMTR、ウラン濃縮度93w%の兵器級ウラン燃料炉心)の炉心核計算と臨界集合体(JMTRC)を利用した炉物理実験を担当していたそうです。後者の最初の4年間の成果(臨界集合体での実験だけでなく、原研東海の5MeV静電型加速器バンデグラーフVdGを利用した中性子断面積測定、それから、東大原子力工学研究施設の「弥生炉」を利用した炉物理実験)をまとめたものがファーストネームの数編の原著論文とそれらを体系化した博士論文だったそうです。その頃、材料試験炉部の仕事で博士論文を取得した者は、ひとりもおらず、指導者もいないまま、試行錯誤・孤立無援の中で、やむを得ず、仕事を家に持ち帰り、英文の原著論文をまとめていたそうです。桜井所長は、その頃、環境に馴染めず、満足できず、早く材料試験炉部を脱出したいという問題意識が強かったそうです。桜井所長は、今思えば、劣悪な環境にいながら、良く、博士論文がまとまったものだと、不思議がっていました。それを可能にしたのは強い問題意識と良い意味での若さだったそうです。それから配偶者からの理解と協力だったそうです。前者の仕事(炉心核計算、計算コードシステムは、中性子熱群輸送計算コードTHERMOS-中性子高速群輸送計算コードGGC4-炉心拡散計算コードCITATION)を担当していたのは同年齢の3名だったそうです。桜井所長によると、JMTR運転炉心の炉心構成が提案されると、1ヵ月かけて、スーパーコンピュータで膨大な核計算をして、燃料のHSF・燃料試料のQ・材料試料のnvt等の炉物理特性を検討し、炉心安全性と中性子照射要求条件を満足させる最適炉心構成であることを確認後、部内運転委員会に提出する報告書のまとめに入るそうです。ひとつの運転炉心の炉心核計算は、主担当者1名と副担当者1名の計2名で担当し、主担当者が責任を持って判断し、報告書をまとめていたそうです。副担当者1名を入れているのは、膨大な数字を扱うため、誤りをなくすため、ダブルチェックのためだそうです。桜井所長は、8年間の30運転サイクルの間に、主担当で10炉心、副担当で10炉心を担当したそうです。8年間で、炉心核計算と炉物理実験解析のため、スーパーコンピュータの入力を約10000ケース作成し、自身でsubmitし、計算出力リストを検討したそうです(『原発事故の科学』、「まえがき」参照、日本評論社)。桜井所長は、材料試験炉部を脱出できることが分かった日、10000ケースのジョブ処理の実績と博士取得に、配偶者と乾杯したそうです。

2008-06-21 15:25:57 stanford2008の投稿

桜井淳所長の学術セミナーに参加すると原子炉や核融合炉等の原子力施設の設計が可能

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以下の内容は"水戸"からの情報です。桜井淳所長が実施している各種の学術セミナー(バックナンバー参照)に参加すると、わずか1日で、原子炉や核融合炉等の原子力施設の設計ができるようになります。たとえ、炉物理理論をまったく知らなくても、PCを利用した計算演習の段階で、必要最低限の知識は、いつも、レクチャーしています。後は、その人の努力次第で、真面目に継続すれば、半年後には、学会口頭発表ができるくらいの内容の計算が出来るようになります。桜井所長は、誰にでも出来ることを示す、そのための案内役に過ぎません。"水戸"スタッフ全員、教育訓練の一環として、複数の学術セミナーに参加しており、原子炉施設や核融合炉施設の概念設計が出来ます。
2008-06-21 13:01:27 stanford2008の投稿

桜井淳所長が電源開発本社でフルMOX炉心の炉物理特性評価精度について技師長へ聞き取り調査

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以下の内容は"水戸"からの情報です。桜井淳所長は、6月4日10:30-12:00、電源開発本社で、大間原子力発電所のフルMOX炉心の炉物理特性評価精度について、技師長への半構造的面接方式での聞き取り調査を実施しました。桜井所長に拠れば、いまの軽水炉でも生成された一部のプルトニウムは、燃焼しており、特に、燃焼末期における全核分裂数の約60%は、プルトニウムによる寄与だそうです。ですから、フルMOX炉心の炉物理特性評価法と評価精度は、いまの軽水炉のそれと越え難いほど大きなギャップがあるわけではないそうです。しかし、桜井所長は、いくつかの懸念事項を持っていたそうです。以下、技師長とのやり取りの要約です。


Q1この問題については約10年前に質問したことがある。

A1そのような記録が残っている。

Q2当時、まだ、『原子炉設置許可申請書』提出前で、その時に確認したことは、炉物理特性評価法と評価精度についてだった。精度評価のために採用されていたベンチマーク実験問題は、熱中性子の平均自由行程と拡散距離からすれば、問題ないように思えるが、1MeV以上の高速中性子のそれらまで考慮すると、実験体系が小さいと感じていた。安全審査は、途中、中断され、終了するまでに約10年かかっている。その間、日仏MOX炉物理実験計画"MISTRAL"(地中海の乾いた風の意)が実施され、大量のデータが得られたが、それらのデータは、安全審査に反映されているのか。

A2途中、申請書の記載内容は、炉心位置等、変更されている。申請書には、ベンチマーク実験問題や炉物理特性評価法、それに、評価精度等は、具体的に記載されていないで、ただ、原子炉メーカー(日立製作所)で実施した解析をまとめた技術報告書が引用されているだけだ。安全審査の段階で、関係書類の提出等、補足説明をしており、"MISTRAL"の結果は、十分に反映されている。

Q3"MISTRAL"の実験体系の大きさならば、10年前に持っていた懸念事項は、解消したことになる。

A3"MISTRAL"の解析結果については、『日本原子力学会誌』の「技術報告」欄に、「BWR核設計コードによるMOX臨界試験EPICUREおよびMISTRALの解析」(Vol.5, No.1, pp.34-44(2006))と題して、掲載されている。

Q4臨界固有値の評価精度は、非常に高く(実験値と0.1-0.8%の差)、評価計算法の信頼性は、高いと思うが、出力分布の実験と計算の比較は、相対値を規格化しただけではないか。

A4絶対値は、比較できないし、その必要もなく、相対値でも、微細な変化まで計算で再現できていれば、問題ないと考えている。特に、吸収体を挿入した時やウォータホールを作成した時の出力分布の形状には、特徴的な変化が有り、計算では、その形状を良く再現できている。

Q5私は、昔、材料試験炉の炉心核計算で、旧計算システム(米国からの導入核計算コードシステムTHERMOS-GGC4-CITATION)から新計算システム(原研でシステム化した標準熱中性子炉核計算コードシステムSRAC Pij-CITATION)への移行の時(60サイクル炉心で検討)、新計算システムの計算値と実測値の絶対値が合わなくて、苦労したことがある。相対値が合えば、それで良いというわけでは、ないはずだ。

A5 ・・・。

Q6物理的条件を無視して機械的に合わせることは、簡単だが、それでは、単なるadjustmentに過ぎない。計算値と実験値の絶対値が良く合うことを押さえていくというのが常道のはずだが。

A6 ・・・。

Q7燃料集合体の燃料棒のうち何本かを外し、特別な吸収棒を装着してあるのか。

A7特別な吸収棒はない。

Q8炉心全体の制御性への配慮は何かしているのか。

A8天然Boronの制御棒で問題ないが、実際には、余裕を持たせ、吸収の大きいB-10の割合を2.5倍にした濃縮Boronの制御棒にしてある。

Q9システム全体として、ABWRより改善してある機能は何か。

A9まず、炉停止機能を高めるためにホウ酸水注入系の容量の増加、2番目は、炉停止機能の余裕を増すための制御棒の吸収効果の増強、3番目は、異状時に原子炉圧力変化への余裕を増すため主蒸気逃し安全弁の容量の増加等。

Q10フルMOX炉心は、炉物理的には、ABWRに比べ、乗り越え難いギャップは、ないようだ。

A10そのように認識している。

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