【パリ=飯竹恒一】フランス政府が中国に対し、「中国人の仏旅行を妨げる措置をやめてほしい」と繰り返し要請している。地元メディアなどはチベット問題への仏政府の対応への中国による「報復」だとの見方を伝えている。
仏側によると、北京市当局が5月末、現地の旅行業者に、パンフレットから仏旅行を除外するよう口頭で指示したという。駐中国仏大使が中国側と接触するなどしたが、事態は改善せず、仏外務省報道官が「中国側は協力を約束した。実行してほしい」と批判した。
チベット問題では、パリでの聖火リレーで妨害行為が相次いだほか、サルコジ大統領が五輪開会式欠席を示唆したり、パリ市がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世に名誉市民の称号を贈ったりして中国との関係が一時険悪な空気に包まれた。
昨年訪仏した中国人は約70万人。しかし、ここのところ中国人観光客は減っていると報じられている。