深刻な問題となっている医師不足解消に向け、厚生労働省は18日、中長期的な対応策を示した「医療確保ビジョン」をまとめた。医療機関の医師配置基準の見直しや、麻酔科医への規制緩和などを盛り込んだ。また、女性医師の離職防止や復職支援も提言している。
今月末に政府がまとめる経済財政改革に関する「骨太の方針」に反映させたい考え。ただ、ビジョンの具体的実施時期などは、予算の裏付けなどがないことから言及しなかった。
厚労省のビジョン策定に先立ち、政府は17日、大学医学部定員の削減を定めた平成9年の閣議決定を撤回し、定員増の方針を打ち出している。
ビジョンでは、医師の増加を視野に入れながら、地域や診療科で偏在している医師配分の改善を提示。外来患者40人に1人の医師を配置する、としている医療法の標準医師数の算定方式を見直す。
医師不足の中でも深刻で、手術停滞を招く要因となっている麻酔科医の不足に対応するため、一定の経験を積んだうえで、国に麻酔科を専門とすることを申請する仕組みを廃止。一定の経験があれば、どの医師も麻酔科医として携われるようにすることも明記した。
医師不足の重要課題として、現在、医師総数約28万人のほぼ6分の1を占める女性医師にも着目。出産、育児と勤務が両立できる環境整備を提言している。また、大学医学部の定員削減方針を撤回して、医師総数を増やすことも掲げている。
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