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2008-06-15

平衡状態を維持するために

00:33 | このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

夕方からライブハウスのクラスタでのフリーコンサートに行ってきた。今日は練習不足で当初予定していた曲は弾けそうにないので、18世紀ギターで小品ばかりを演奏してお茶を濁してきた感じだ。演奏曲は以下の通り。(1) エリザベス女王のガイヤルド(ダウランド)、 (2) ビューティフル・プロミス(「約束」、佐藤弘和)、(3) 舟唄(タンスマン、カヴァティーナ組曲より)、(4) オーバー・ザ・レインボー(武満徹編)。

今日はいつもいらっしゃる方以外にOさんという初参加の方がいた。ラミレスの新しいモデルで、モーツァルト、ポンセなどの曲を演奏された。人前で演奏するのは30年ぶりとのこと。セゴビアのように太い指で、ラミレス独特の低音域から最高音までどこをとっても深みのある甘い響きを醸し出す。巧い。

思い出した。高校生の時、市内の高校で合同の演奏会をすることになり、当時高校生だったギタリスト山下和仁氏も演奏に参加してもらえることになった。どのようなきっかけかは忘れたが、練習会場で今日と同じ手が届く距離で、まさにポンセのこの曲を演奏してくれた。今日聴いたOさんの演奏は、そのときと音色が一緒だ。目をつぶって聴いていると、ちょうどギタリストの山下和仁氏の演奏を思い起こさせるような、実にすばらしい演奏だった。

ところで、仕事の話に戻ると、実際は「宿題山積みの状態で、そんな遊んでばかりじゃダメでしょう?」という状況だ。しかし、ライブハウスのクラスタで演奏したり、あるいは、Oさんのようなすばらしい演奏を聴くと、頭の中がリセットされる。

普段は気づかなくても、頭がリセットされると、仕事という環境はおそらくストレスだらけの「非日常的な環境」なのだとわかる。仕事中は、どうしても意識が高揚して、些細なことでも、「トラブル」や「諍い」になることがある。おそらく同じ状況でも日常的な感覚では全く問題にならないことが多いと思う。仕事上で常識とされる内容と、通常の暮らしにおける常識とは大きくかけ離れているのだろう。

クラスタフリーコンサートは、三々五々集まってきて、人の演奏聴いて、自分も演奏して、それが終わったら帰るだけ。演奏のことや、曲のことは話すけど、いかなるお仕事されているのかとか殆ど伺ったことがない。ここは、ドラえもんの「どこでもドア」を使って、日常からワープしてきた「異次元空間」だ。でも、やはり今日もここに来てよかった。気持ちをいったんリセットすることで、心の余裕が違う。心の余裕は、研究に不可欠な思索や発想の原点である。別に仕事のためにクラスタに来ている訳ではないが、ここにくると、常識的な判断と意欲の源たる心の安定が保てるような気がする。

2008-06-12

次回の演奏会にむけて

22:52 | このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

次回の演奏会の曲が全く仕上がっていない。ここ数日、昼間は研究会に顔を出し、帰ってからは新しい課題への準備と原稿作成に追われている。このままではどうしても日曜までには予定の曲ができあがりそうにない。

前回の反省で、2ヶ月に1回程度の頻度で、目標の曲を完全に仕上げることとし、その間はミニギター古楽器の演奏など別のものをすることにしたが、今回はその「つなぎ」の演奏の準備すら出来ていない。どうしようかな?

2008-06-11

「プレステ3」linuxによる高速計算環境の構築

22:46 | このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

パソコンでは計算速度が遅く、計算環境をどうしようかと困っている。分散処理の計算ツールについては、マイクロソフト社も遅ればせながら公開している(Microsoft Windows Computer Cluster Server 2003)。言語は、Fortran77、Fortran90、Cが使えるそうなので、仕事用に購入しようかと検討中である。また、東大が中心で推し進めている「ADVENTUREプロジェクト」(設計用大規模計算力学システム開発プロジェクト,Development of Computational Mechanics System for Large Scale Analysis and Design )を使うと、オープンソースの並列処理の数値解析システムが容易に構築できる。

「どんな環境で計算しているんですか?」と聞くと、ソニーの「プレステ3」という。PLAYSTATION®3に搭載されたグラフィックチップ「Cell/B.E.プロセッサ」の強力な演算能力によりLinuxを動かしているとのこと(おそらく「PLAYSTATION®3 Linux Information」のサイト)。Cell BEについて調べたところ、Cell BEは3.2GHzで稼働し、設計上は4GHz以上の周波数で稼働させることも可能で、計算能力はすさまじく、浮動小数点演算性能で256GFlopsを超えるという(出典「プレステ3に搭載、断トツ性能の「Cell」はITシステムを変えるか(2006/9/27))」より)。

「プレステ3」のlinuxが本当はどの程度か確認した訳ではないが、計算は単精度だが、それでもインテルのDualコアよりは数十倍の高速演算ができるという。インストールには、かなり調べないといけないと思うが、わずか3万円の投資でそのスペックが実現できるのなら考えてもいい。

2008-06-08

楽譜作成ソフト無償版をダウンロード

18:15 | このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

来週の日曜日にまたクラスタのフリーコンサートがある。先月演奏会が終わってすぐの頃は、曲目を決めて比較的よく練習していたが、ここ1〜2週間は気忙しくてあまり弾いていなかった。あと1週間じゃ当初予定していた曲は仕上がらない。曲目を考え直さなくてはいけない。

アンサンブルをする予定で、先日頂いた楽譜を先ほどから見ていた。バッハダウランド、それにイギリスの古い民謡(だろうと思う)の楽譜で全部で5〜6曲ある。そのうち、比較的弾きやすそうなIrish Trad.の「The Sally Garden」の楽譜をみた。この楽譜は、主旋律と伴奏とが2段に分けて書いてある。まあそれはいいとしても、主旋律はト音記号の五線譜に、#が2個のイ長調の標記であり、一方、伴奏については(ギターの伴奏がしやすいようにと考えたなのだろうか?)カポタストを2フレットつけて弾けるようにハ長調の標記になっている。どうしてこのようないらぬお節介をするのだろう?ギターはイ長調が一番弾きやすい調なのだから、メロディーがD調ならば伴奏譜もD調のままでよい。このままでは、楽譜全部を書き換えないと、伴奏を弾きながら同時にメロディーの一部を弾くことが出来ない。がっかり。

MIDIのソフトに読み込めば、音程を変更するのは簡単だけど、私が使っているのは数年前に2〜3万円で買った旧版のシンガーソングライターで、手作業で入力するのがちょっと億劫だ。OCRがスキャナの画像情報を文字として認識するように、スキャナで読み込んだ楽譜を音符として認識するソフトがないかと、ネットで検索した。「楽譜スキャニングソフト」とか「楽譜読取りソフト」というらしいが、数件ヒットした。たとえば、ヤマハのサイトでは「PhotoScore Ultimate 5 日本語版は、スキャナより読み込まれた楽譜の画像から音符や記号などの情報を認識し、編集可能なデータに変換する楽譜読み取り(OCR)ソフトです」とある。

「あったら便利」とは思うものの、それほど頻繁に使うわけじゃない。いずれのソフトも価格が4〜6万円程度でありちょっと考えてしまう。4〜6万円というと、パソコン本体がウン十万円したときのソフトの値段であり、ハードが5〜6万円程度でも購入できるようになった現在では、少々お高いのでは?との気がする。「楽譜読取りソフト」のことは、フリーソフト等もよく調べてから考えようと思う。

旧版のシンガーソングライターをパソコンにインストールしたが、OSのvistaでは相性が悪いのだろうか?うまくいかなかった。楽譜作成にはいろんなものがあるが、製品版と同じ完成度のソフト「Finale NotePad」を「イーフロンティア」が無償で配布している。今回はそれを取り寄せてインストールした(イーフロンティアのダウンロードサイトへ)。まだ少ししか使っていないが、「使い心地は良好」だ。

セイシェルのJ.S.BACH リュート組曲全曲

21:51 | このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

バッハのリュート組曲については、いろんなギタリストが演奏しているが、全曲通しのCDはそれほど多くはない。全曲通しのCDとしては、例えば西垣正信氏「J.S.BACH Complete Lute Suites, FMC-5044, 2940円」、田部井辰雄氏「J.S.バッハ リュートのための作品全集(J.S.BACH THE COMPLETE WORKS FOR LUTE)」などがある。

イェラン・セイシェル(Göran Söllscher)の11弦アルトギターによるギター作品集「Bach Works for Guitar, POCG-6078/80, ユニバーサルミュージック, 4500円」のなかにも、リュート組曲の全曲が収録されている。今日はパソコンで作業をしていたこともあり、作業しながらこれをずっと聞いていた。セイシェルの演奏は、バッハを原曲に忠実に演奏するために11弦ギターを特注したとされる。

第2番ハ短調(BWV997)については、かつて全曲弾けるようになりたいと練習していたことがあったが、結局そのままになっている。セイシェルの演奏は、繊細かつ緻密で、しかもどんな装飾音が入ってもリズムや拍が全くぶれない。軽いスラーの連続したところでは神への敬虔な気持ちを感じさせるし、また倍音を多く含んだ豊かな響きからは、穏やかな気品を感じさせる。余韻を含んだ音がないところの間合いは絶妙だ。理性的な演奏で、私は気に入っている。これもいつかは弾けるようになりたいけど、でも難しいかな?

2008-06-06

英文の校閲

23:05 | このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

昨日の話になるが、英文抄録を作成し、校閲の先生に見てもらった。3時も回ろうかというときに下書き原稿を持って行ったら「もう今日は店終い」とのこと。「じゃあ来週でもいいです」といっておいてきた。20分もたたずして電話があり「わずか1頁しかないので、うっかりみてしまった」とのこと。再度出向いて教えを請う。

ちょっと巻き舌の英語なまりの発音で日本語を話される。「皆さん方は英文で書くとついついpassive voice(受動態)を使いたがる。技術系の論文で受動態を使うと、主語と動詞の間に無駄なbe動詞が入る。実態にあわせようと説明しても、修飾語句の一番最後から逆順に辿ってこないと動詞まで行き着かない。動詞まで行き着いたときには最初の言葉なんて忘れてるんで、結局表現が弱くなるんだ。できるだけactive voice(能動態)で表現するように 」とのこと。結局、2カ所を修正してもらった。よくは解らないけど、全体を読み返してみると、確かに簡潔でしかも強く訴える文章になったと思う。

本当は私も部屋に戻らねばならないんだが、小一時間さぼって初老の紳士と雑談してきた。おおよそ問わず語りに近いのだが、それがなかなかおもしろい。第一線の仕事をされていたときは、かなりのやり手だったんだろう。なるほどと思わせるところがある。

おそらく、第一線を退いて悠々自適な生活も送れると思う。それなのに、わざわざここに来られているのはなぜなのかと想像する。後継の技術者の研究を、得意な語学でサポートすることを通して、無味乾燥な技術用語だけでなく、さらに、英語の洒落た表現、国際感覚、文化、価値観にまで踏み込んで、広い意味での知識や教養を養成したいとお考えなのだろう。リタイア後に自分に出来ることは何かと考え、社会貢献というか若い方への手助けと思って来られているんだと思う。

ところが、例えば洒落た表現の話などをしたくても、教えてもらう側に全くその気がない。深い内容まで伝えられないという「もどかしさ」があるんだろうなとお察しする。子細は長くなるので述べないが、長い経験で培った深い教養に立脚した話は、脳みその根幹をくすぐるような感覚がある。実に新鮮でおもしろいものだった。

Tanti Anni Prima (Ave Maria)

12:43 | このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

チェリスト趙静(チョウ・チン)とクラシックギター大萩康司のデュオのCD「10弦の響(Les Dix Cordes)」がある。その12曲目に、アルゼンチンの作曲家ピアソラ(Astor Piazzolla)作曲の「タンティ・アンニ・プリマ(Tanti anni prima)」という、とても可憐で美しい曲がある(試聴)。別名アヴェ・マリア(Ave Maria)というらしい。ギター譜を探したが見つからず、オーボエ(ピアノ伴奏)の楽譜が見つかった。

ネットの通販サイトSheetMusicPlusより取り寄せた。「Ave Maria(Tanti anni prima) by Astor Piazzolla. For Oboe, Piano. Published by Tonos (German import) (21044) ISBN M201501000,$23.95.」わずか3日ほどで到着。

これと同じ楽譜なのかどうかは確認していないが、他社でも扱っているらしく、神戸楽譜(mail@kobe-gakufu.com)なら、「Piazzolla,A. Ave Maria(Tanti anni prima) C Ton # OB2P012」が1580円、ディアレッツォでは、「Astor Piazzolla, Tanti Anni Prima 出版社:Antes Edition」が1542円とのこと。

楽譜を見たところ(譜例)、ピアノの伴奏譜をギターに置き換えるのは、それほど難しくはなさそう。この清楚で穏やかなメロディを是非ギターの伴奏でできるようになりたい。さっそくアレンジしてみようと思う。