またも旧日本軍の犯罪の一端が明らかになった。戦後補償の焦点ともなっている従軍慰安婦問題で、旧軍が敗戦直後に、日本人慰安婦を看護婦に雇用するよう通達していた。
従軍慰安婦問題を隠ぺいする姑息(こそく)な工作である。一事が万事。この際、国には慰安婦問題に関する旧軍犯罪の徹底調査を求めたい。
従軍慰安婦問題では、第2次大戦中、戦地の慰安所で日本軍に性的被害を受けた朝鮮半島や中国などの女性たちが、日本政府に謝罪や賠償を求め続けている。
政府は1993年に官房長官談話の形で「おわびと反省」を表明し、95年には「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)を発足させている。
しかし、民間募金を「償い金」とする方法に、元慰安婦らは反発している。民間募金では、日本政府の正式な謝罪と受け取れないというのが理由だ。
加えて、1人当たり200万円という補償額を受け取るために、従軍慰安婦として名乗り出る社会的デメリットもある。実際、償い金を受け取った元慰安婦は90人余にとどまったまま、事業は2002年に終了している。
実態解明も不十分なまま、口先だけの謝罪では、性的奴隷とされた元慰安婦たちの傷は癒やされない。だからこそ元慰安婦たちは現在に至るまで日本政府に対する公式謝罪と損害賠償請求を繰り返し提訴している。
これに対し最高裁は昨年、「日中共同声明で個人の賠償請求権は放棄された」との判断を示し、慰安婦の請求権を否定している。
従軍慰安婦問題では、政府の謝罪や補償の根拠となる当局の関与の度合いが常に問題になってきた。
今回見つかった英公文書で、旧軍が日本人慰安婦を軍病院の補助的な看護婦として雇用するよう命じた通達電文(1945年8月18日)の存在が明らかになった。
軍が戦中に慰安婦管理に事実上深くかかわっていたとする見方を補強する貴重な資料とされる。
しかも、内容から旧軍が慰安婦の存在を連合国側から隠ぺいしようとした可能性も指摘されている。
通達電文は「完全に理解した後、焼却」との指示も明示している。
「慰安婦隠し」で、犯罪を隠ぺいする重犯行為ともいえる。
戦後60年余を過ぎてなお慰安婦問題で謝罪も賠償も不十分な日本政府に国連人権委員会や欧米議会から非難決議が続いている。
旧軍による慰安所建設や慰安所規則、利用日指定、性病検査の実施の事実は、すでに判明している。政府がすべきは旧軍の犯罪隠ぺいをほう助し、責任逃れをすることではない。国民が求めているのは旧軍犯罪の徹底調査と告発であり、被害者への謝罪と補償である。
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