都議会第2回定例会は17日、主要4会派による代表質問を行った。自民党が意に沿わぬ猪瀬直樹副知事をけん制すれば、公明党は豊洲地区(江東区)への市場移転計画を白紙に戻す再検討を提案。石原慎太郎知事が五輪招致に全面協力するよう民主党を挑発する一方、共産党は石原都政への追及を緩めず、与野党から厳しい質問が相次ぐ荒れ模様の展開となった。【木村健二、市川明代】
民主党、大沢昇議員の「都の理念が弱く都民の心に届かないのか、東京の招致機運が高まらない」との指摘に対し、石原知事は「(都民は)開催が決まればこぞって応援してくれる」と反論した。
さらに石原知事は、民主党を含む超党派の国会議員が五輪招致の推進連盟を結成したことを強調。昨年4月の都知事選で民主党支援の候補、浅野史郎・前宮城県知事が五輪招致に反対したことに触れ、「あの方は反対なんですか、あなたがたも反対なんですか、都民に代わってお聞きしたい」と声を荒らげた。大沢議員は再質問で「きわめて無礼な発言」として、知事に撤回と謝罪を求めた。
共産党の小竹紘子議員は、国際オリンピック委員会に都が提出した招致の申請ファイルをもとに、インフラ整備費が1兆580億円で、第1次選考を通過した都市の中でも突出していると指摘。「税金の浪費は都民の支持を得られない」と追及した。石原知事は「五輪の有無にかかわらず、必要な将来への投資だ」などと答えた。
公明党の東村邦浩議員は、築地市場(中央区)の移転が予定されている豊洲地区の土壌汚染問題について「白紙に戻し、都民の不安と不信を払しょくすべきだ」などと石原知事に迫った。
東村議員は、築地市場は経済活力や観光エネルギーの源でもあると述べ、「移転ありきの議論は一切やめ、先入観やバイアスを排した再検討が不可欠」と指摘した。石原知事は「豊洲への移転は、これまで議論を尽くした結果だ」などとして都の汚染対策に理解を求めた。
経営再建中の新銀行東京(新宿区)が08年3月期で1016億円に膨らんだ累積赤字を資本金などで解消する「減資」について、石原知事は「過去の負の遺産である繰り越し損失を一掃して財務体質の改善を図るもので、提案があれば前向きに受け止める」と述べ、同意する姿勢を明らかにした。経営や再建の状況の四半期ごとの公表について、佐藤広産業労働局長は「経営に影響を及ぼさない範囲で可能な限り開示、報告する」と述べた。
一方、BSE(牛海綿状脳症)対策で、安藤立美福祉保健局長は、7月末で国の補助が切れる生後20カ月以下の国産牛の検査を8月以降も引き続き実施する方針を示した。
〔都内版〕
毎日新聞 2008年6月18日 地方版