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【五輪の中国・第4部】四川衝撃(5)チベット問題は消えたのか (1/2ページ)
このニュースのトピックス:北京五輪
厳戒態勢下の聖火リレーだった。21日、チベット自治区ラサ。分離独立派による妨害行為は封じこめられ、聖火リレーは最大の“難所”を越えた。チベット騒乱後に吹き荒れた国際社会の批判の嵐も止んでいる。四川大地震はこの問題にどう作用したのだろうか。
地震から2週間ほどたった5月24日午後、被災地を視察していた温家宝首相は、予定を急遽(きゅうきょ)変更し、成都市にある四川大学華西病院を訪れた。自身の意向によるもので、突然の訪問は病院の関係者や、そこで取材していた記者らを驚かせた。
「中国が最も困難な時に、救助チームに続き医療チームも派遣してくれた日本政府と人民に感謝する。あなた方が帰国したら、日本人民に対する中国人民のあいさつを伝えていただきたい」
首相は、この病院で活動していた日本の国際緊急援助隊の医療チームに謝意を伝え、キューバや香港の医師らにも「ご苦労さま」と声をかけた。このニュースは翌日、世界中のメディアに大きく報じられた。
その前日の夜、北京の人民大会堂には、ロシアのメドベージェフ大統領、そして緊急救援隊の面々と握手を交わす胡錦濤国家主席の姿があった。
「あなた方の行動は偉大な人道精神と、ロシア、中国両人民の友情を体現している」
胡主席はこの後、韓国の救援隊員などとも会見している。
災害に際し、対応に追われる当事国の首脳が、外国の救援隊員に直接会い謝意を表明するのは異例だろう。「援助に感謝する姿」がメディアを通じ海外へ流れれば、中国のイメージアップにつながる−。そうした外交上の計算も見え隠れした。