昨年8月に開かれた世界陸上大阪大会のマラソン競技で、ミストの中を駆け抜け涼を取る選手ら
「日本一暑い」といわれる大阪の夏を冷やそうと、大阪市水道局は12日、企業や一般家庭を対象に、高圧で霧状にした水を噴霧する「ミスト散布装置」の販売・貸し出しを始める。設置代などの費用は利用者負担だが、水道料金を最大84%減免する。水道局は「ミストの普及促進にはずみがつけば」と期待する。
市中でのミスト散布は、市がヒートアイランド対策のモデル事業として昨夏、実施した。水道水に通常の10倍以上の圧力を加えてノズルから数十マイクロメートルの水粒子を噴射させ、水が気化する際に周囲の熱を奪う性質を利用して気温を下げる。ノズルから半径4〜6メートル程度の範囲で、平均2〜3度の冷却効果があるという。粒子は細かく、通行人が触れてもぬれないのが特徴だ。
昨夏は、商店街や長居陸上競技場(同市東住吉区)で開かれた世界陸上大阪大会などで散布し、好評を得た。今年は18日から9月末までの約3カ月間に小中学校や大阪府立天王寺高校、御堂筋の淀屋橋両側など計12カ所で順次、実施する。ノズルがついた配管15〜190メートルを取り付け、原則として気温30度以上、湿度70%以下で自動的に作動するようにする。
さらにミスト散布を広げようと、市は民間企業と連携して装置の販売や貸し出しを始めることにした。月の水道使用量が11トンを超えた場合は1トンあたりの単価を定額58円にする。市によると、設置代は一般家庭用(専用配管5メートルのケース)で貸し出し25万円、買い取り60万円程度。試算によると、1日8時間散布した際の月額水道使用料は家庭用なら約500円、企業用(専用配管30メートルのケース)なら約3千円だという。問い合わせは同局(06・6616・5483)へ。(吉浜織恵)