開会中の六月定例岡山市議会は、家庭ごみ処理有料化をめぐる論議一色の様相です。
市議会は二月定例会で継続審査とした条例案への判断を迫られており、個人質問に立った三十三人の半数以上が、この問題を取り上げました。
市民の関心も高く、岡山市民版では三回シリーズの連載記事や読者の意見、質問戦初日の論戦を掲載しました。
市は四月末から市内百数十カ所で市民説明会を開き、理解を求めていますが、会場では不適正排出ごみに泣かされている町内会関係者の「今以上に違反が増えるのでは」との懸念や「有料化より減量が先」「唐突」といった批判が目立つようです。もちろん有料化反対の意見もあり、「市民合意」には程遠い感じですが、問題が市民論議の俎(そ)上(じょう)に乗ったとは言えるのではないでしょうか。
説明会や議会答弁で市は生ごみ処理機の購入補助など新たな施策を打ち出しています。しかし、大切なのは個別の修正だけではないと思います。
一つは今回の論議を好機ととらえ、五種分別をはじめとする現行のごみ排出の問題点を洗い出し、改善を図ることです。この点は高谷茂男市長が議会に見直しの意向を示しました。
もう一つは、市が有料化の理由に掲げる地球環境問題にどう取り組むか明確に示すことです。市と市民が同じ目標に向かってこそ資源循環型社会に近づくのだと思いますが、こちらは具体像がよく見えません。
いずれにせよ、合意形成へ市の“本気度”が問われているのは間違いありません。
(政治部・板谷武)