世界初の「泡消火剤」開発中!!
世界初の「泡消火剤」開発中!! 06/19 19:45

北九州市で開発された、石けんを主成分とした環境に優しい泡の消火剤を、さらに進化させる研究が現在進められています。

目指すは世界で初めての画期的な消火剤です。

先日、北九州市若松区の廃材置き場でおきた火災で、消防はヘリコプターを出動させて上空からの消火活動を続けましたが、放水しても放水しても再び炎が燃え上がり、鎮火させるまでに2時間半かかりました。

そこで、北九州市の消防隊員が訓練で火を消すのに使用したのは、水ではなく泡の消火剤でした。

水とは違って泡は、燃えているものの表面を覆ってしまい、酸素をシャットダウンするため、瞬間的な消火が可能です。

石けんを主成分とした、世界で初めての泡消火剤。

アイデアを考え出したのは、北九州市消防局と、市内に本社を置く大手石けんメーカーのシャボン玉石けんでした。

実際の開発に当たったのは、地元の北九州市立大学でした。

先月は、さらに泡消火剤を改良していくための開発センターまで設立しました。

そして、上江洲センター長と7人の教授が今、開発を進めているのが、森林火災用の泡消火剤です。

これまでの薬剤は、火事を消し止めた後、その化学成分が自然の生態系にダメージを与えていました。

そこで、泡消火剤の特性を生かして、まったく新しい森林火災用の消火剤を作ろうとしているのです。

環境に優しいとは言っても、泡消火剤にも化学成分は含まれています。

センターでは現在の泡消火剤が環境にどのような影響を与えるか、実証実験が繰り返されています。

実験には、森林に近い上流域、中流域、わずかに海水が混ざる下流域を想定した3種類の水が用意されました。

それぞれの水にメダカを泳がせ、石けんを主成分とした消火剤を混ぜてみました。

すると、中流と下流の水は濁りましたが、上流だけは透明のままです。

さらに時間を置くと、上流のメダカは動かなくなってしまいました。

現在の泡消火剤は建物火災を想定して作られています。

川の水にはマグネシウムなどのミネラルが含まれていて、使われた泡消火剤が流れ込んでも、ミネラルと混ざって化学物質の毒性が消え、ただの石けんかすになるよう工夫されていました。

しかし、上流の水は純度が高いため、ミネラルが少なく、毒性が出てしまったのです。

上流の森林火災で使うなら、消火剤の毒性をどうやって消すかが課題なのです。

また、森林火災は建物の火災よりも燃え広がる場合が多いため、泡が消えずにより長くもつように様々な化学物質を調合した実験が繰り返されています。

研究センターでは早ければ3年後にも製品化を予定しています。

北九州市生まれの、世界初の消火剤。

実用化されれば、森林焼失による地球温暖化防止効果も期待されます。

環境産業の育成を目指す北九州地区で今、産学官関係者の熱い視線が注がれています。