石川県の「黒百合の塔」は海に向かって、富山県の「立山の塔」は海を背にして、ほぼ向かい合って建っている 沖縄県の平和祈念公園の一角にある各都道府県の戦没者慰霊碑のことである。先日、石川県議会でこの「黒百合の塔」が取り上げられた。建立から既に48年になる塔の整備に関してだった。議会では珍しいテーマである あさって23日は「沖縄慰霊の日」である。碑には金沢の九師団が沖縄から台湾へ転進したことなども記されている。63年前を思いだした年配者もいただろう。観光で訪れたきれいな海を思った若者もいたに違いない 4人に1人が命を奪われたという地元沖縄県民の犠牲を思えば各県の慰霊碑が立派に並んでいる姿は不思議なくらいである。が、各地の人々が、ふるさとの人と歴史を通して沖縄を考えることもまた大切だろう。碑の整備がその手だての一つになればいい きょうは夏至。太陽の光がピークになる高揚感と、頂点から下る寂しさが絡んだ複雑な心境になる。毎年の夏至のころに迎える「沖縄慰霊の日」も、昭和史が峠から滑り落ちる日だったと思えてならない。
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