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[米国]
【インタビュー】
PCの誤設定で人生を棒に振った不運な男の話
悲惨としか言いようのない出来事も一歩まちがえれば「明日は我が身」
(2008年06月19日)
――問題を認識したのはいつですか。
Fiola氏:昨年3月に解雇されたときです。
――そのときはどのような状況でしたか。
Fiola氏:朝9時に上司に呼び出され、直属の上司の労働災害局長と、人事部長から書簡を手渡されました。彼らは、「コンピュータ使用規則に違反したため、君を解雇する。要するに、君のコンピュータからポルノ・コンテンツが見つかったからクビということだ。デスクはすぐに空けてもらう。さあ、行こう」と、私をデスクまで連れて行き、私物を片づけるところを見張っていました。それからオフィスの外へ出て、私の車が停めてある場所にまで付き添ってきたのです。
――どう感じましたか。
Fiola氏:ショックでした。「何の話をしているのですか。事情がさっぱりわからない」とその場で訴えましたが、彼らは何も答えようとしませんでした。「弁護士から一切話をするなと注意されている」とだけ言っていましたね。全身から血の気が引く思いでしたよ。あんな経験は二度としたくないです。
――この事件であなたの生活はどのような影響を受けましたか。
Fiola氏:ひどい迷惑を被りました。給料はもらえない、給付金は出ない、そのうえ保険契約も失効。ただ、妻が大きな理解を示してくれたのがありがたかったです。妻は現実に打ちのめされることなく立ち向かい、弁護士を見つけてきてくれました。私はと言えば、心が麻痺してしまったようで、何もできませんでした。あのときの気持ちをことばで表すことはできません。たとえ相手が最悪の敵であっても、同じ仕打ちをしてやりたいとは思えません。悲惨としか言いようのない出来事でした。
例えば、交通事故を起こし、だれかを死なせてしまった場合、それでも人は声をかけてきてくれるでしょう。ですが、私たちの友人はすべて去っていきました。支えになってくれたのは、私の父と妻の両親、義理の娘とたった1人の友人だけでした。そう、彼らだけです。ほかにはだれ1人として、電話すらかけてきませんでした。週末になるたびに、泣いて過ごしました。私は53歳になりますが、これまでの人生でこの18カ月間以上に涙を流したことはありません。
――いったい何があったのだと思いますか。
Fiola氏:犯罪者にハッキングされたか、あるいはコンピュータが盗まれたあと、(新しいPCに)何かが仕掛けられて侵入されやすい状態になったのではないでしょうか。特定の人を責めるつもりはありませんが、もしも、IT部門のだれかがやったのなら、取り返しのつかないことをしてくれたものだと言うほかないですね。
――あなたに対する起訴は棄却されましたが、仕事はどうするのですか。
Fiola氏:前の職場に戻る気は一切ありません。社員を守れない組織では、もう働きたくないですね。彼らは私を守ってくれなかった、そう感じています。新しいPCではSMSが無効になっていたのですから。
――今回の事件を経て、コンピュータの使い方は変わりましたか。
Fiola氏:はい、かなり変わりました。仕事でノートPCを使用していますが、インターネットにつなぐのは家に帰ってからにしています。同じことを繰り返したくないので、ネット・サーフィンもしません。
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