コンビニ深夜営業規制に反論、24時間営業のビジネスモデルは継続=JFA会長
[東京 20日 ロイター] 地球温暖化対策の一環として、コンビニの深夜営業規制を検討する自治体が相次ぐ中、コンビニ各社は業界を挙げて反論に乗り出した。各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会(JFA)の土方清会長(サークルKサンクス(3337.T: 株価, ニュース, レポート)会長)は20日、記者会見し「コンビニは社会的なインフラとなっており、24時間営業のビジネスモデルは継続する。その上で各社が判断すること」と力説した。
JFAは、午前7時から午後11時までの16時間に短縮した場合でも、冷蔵・冷凍庫は稼動し続けることや、物流が昼間に集中することで効率が落ちCO2排出量が増えることなどから、差し引き4%程度(日本全体の排出量の0.009%)の削減効果にとどまるとの試算を公表した。現在、約4万2000店で100万人、配送や弁当の製造を入れると130万人が働いており、営業時間を短縮した場合、大量の既存雇用者が失職することになると懸念している。
24時間営業を行うことのメリットとして、防犯・防災上の貢献もある。2007年度に女性のコンビニへの駆け込みは1万3000件以上あったほか、大規模な地震が発生した際にも、ライフラインとして緊急支援物資の提供などを行っているとし、必要性を強調した。
山口俊郎副会長(セブン-イレブン・ジャパン社長)は「経済と環境を両立させる。その手段と方法は業態によって異なる」と述べ、コンビニ業界としては、営業時間短縮という方向ではなく、他の方法で環境対応を強化していくとした。
<規制の可否・方法は今後の議論>
コンビニの深夜営業については、京都市を皮切りに埼玉県、神奈川県が規制の検討を表明。鴨下一郎環境相も「基本的には歓迎すべきことだと考えている。こういう京都市の試みが全国的に広がるのは、大変結構なことだと思う」として、深夜対応が必要な人が不便にならないレベルにおいて賛成との考えを示している。
ただ、深夜営業の規制について、自治体から業界団体や各社に打診や要請は来ていない。
議論のきっかけとなった京都市は、今年初めに政府が募集した「環境モデル都市」へ応募する際の取り組みの1つとして「コンビニ等の深夜営業の見直し」を挙げた。提案には、夜型のライフスタイルの見直しという面もあり、コンビにだけではなく「飲食店など深夜営業のほかの業態も視野に入っている」(地球温暖化対策室)という。
京都市では、今後、7月中をメドに開催する市民会議で議論する予定。構成メンバーは決まっていないが、土方会長も「議論に参加し、コンビニの役割などを説明して、理解を得たい」としている。
実際に規制が可能かどうか―――。自粛の要請、協定、条例での規制などが考えられるが、方法についても、今後の議論になる。
全国のコンビニは4万2246店(08年2月末時点)で、このうち24時間営業は3万9878店、94.4%を占めている。深夜時間帯の売上げは15%程度、閉開店間際の売り上げ減も考慮すると、16時間営業にした場合、20%程度の売上げ減になるという。
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