出産後も働ける環境は増加中、でも"働きやすさ"は別問題 - 女性の労働実態
2008/06/20
働く女性への出産・育児に伴う企業の支援制度の普及が進む中、復職後に休職前と同じように働くことができる女性は少ないという実態が、ワイズスタッフがこのほど行った「『女性が働きやすい社会』をつくるためのアンケート調査」報告で明らかになった。
1991年に制定された「育児・介護休業法」により、現在企業の正規雇用者は、出産後、子どもが1歳になるまでの育児休暇が認められ、企業は3歳未満の子を養育する労働者に対して勤務時間の短縮等の措置を講じることが義務付けられている。また、事業主は育児休業の申し出や取得を理由に、解雇等その他不利益な取り扱いをしてはならないことが定められている。
ワイズスタッフが5月23日から6月2日にかけて、20代から60代以上の全国の既婚・未婚女性555人を対象に行ったアンケートによると、14.7%が「結婚」、13.0%が「妊娠・出産」、5.2%が「育児」、0.3%が「介護」、6.1%が「パートナーの都合(転勤など)」と、合わせて39.3%が女性特有の事情で退職・転職を経験していることがわかった。
一方、55.1%が結婚・出産などライフステージが変化した後も「今の勤め先で仕事を続けたい」と回答しており、「転職したい」(14.0%)を大きく上回った。また、現在働いていない人の43.5%が「いずれは再就職したい」、14.4%が「現在、求職活動中」と答えており、合わせて58%が結婚・出産後も就労意志があることがわかった。
ところが、その反面「再就職したいが、あきらめている」と答えた人が15.9%も存在していることも今回の調査で注目すべきポイントだ。調査では有職者の37.3%が「復職後の短時間勤務制度」、23.5%が「復職後の配属先決定に配慮がある」など、企業による育児支援はある程度進んでいるようだが、勤め先での休暇取得・復職について、12.2%が「取れないと思う」、15.1%が「可能だが、かなり取りにくい雰囲気」と答えており、3割近い人が育児支援制度が用意されていているにもかかわらず利用が現実的でないという実状が露になっている。
また、今回の調査では復職後に、仕事内容や待遇、昇給・昇進で差別を受けたという声も多く挙げられ、出産・育児を機にキャリアダウンを余技なくされる女性労働者の実態も示された。政府の後押しにより、公務員や大手企業を中心にに育児支援のための制度の整備自体は進んでいるものの、労働環境そのものや働きやすさの改善にまで至っているところはまだまだ少ないようだ。
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