□ IPアドレス枯渇問題に対する経済学的アプローチのまとめ わたしの騒いでいることを一言で要約すれば、 「移行しなくても経済学的に解決できる」 ですし、別の言い方をすれば、 「WIDEのインターネット学ではなく経済学で解決しよう」 ですし、 もっと一言で要約すれば、 「アメ(=売買解禁)とムチ(=課税)でアドレス流通を」 です。 この、経済学的アプローチを短くまとめておきます。 なお、ここでの「退蔵」は、 一応使っていても、経路集約の関係で空きが多い使い方をしている場合、 空きはなくても、NATで困らないPCにグローバルIPを割り当てている場合など、 とにかく、究極まで活用効率を高めているとはいえない (究極の活用効率とは何かはべつとして)場合を、 この場ではすべて便宜的に「退蔵」と呼びます。 □ 現状: 退蔵してもデメリットがない。 返却してもメリットがない。 → よって、退蔵してしまう。 このままでは、永遠に問題は解決しません。 なんとかしてよぉ・・・。 □ 売買解禁のみ: 退蔵してもデメリットは依然としてない。 売却すればカネが入る。 → なかには売る人もいる。 これにより、ある程度は問題は解決します。 なお、ロナルド・H・コース(Ronald H. Coase)の 「コースの定理」によれば、 それでも最終的にはみんな欲につられて売ってしまうので、 なんとかなるらしいですが、そーなんでしょうか。 □ 課税のみ: 退蔵すると無駄に税金を払うデメリットがある。 返却すると、節税になる。 → なかには返却する人もいる。 なお、この場合、じゃあ、それでも返却しない人、つまり、 無駄に税金を払ってまで 返却を拒む人ってどんなやつ、という疑問もあるでしょうが、 だいたいこういった理由です。 1、返したら、もう二度と手に入らないかもしれない恐怖。 この解決には、売買解禁を同時に行い、 その気になれば、カネで買えるようにするのが解決策となります。 2、返却の手続きが面倒。 JPNICが重い腰を上げ、手続きを簡単にすることを願うしかありませんが、 あの市役所体質、事なかれ主義からしてそんなの期待薄。 なお、売買解禁を同時にすれば、買取業者は そんな市役所なことは言いませんので、 退蔵アドレスを市場へ放出させるのは簡単です。 3、アドレス付け替え等のコストがいやだ これは、最後の最後まで残る理由ですし、 これこそ、JPNICの審査で強制返却、という WIDE=国家社会主義者の妄言を私が否定する根拠ですし、 そんな国家社会主義者がハイエク的自由を言ってんじゃねえよ、 ということになりますし、 ハイエクが税金溶かすな、ということにもなりますが、 これはもうしょうがない理由です。 ただ、売買解禁でアドレス売却代金が付け替え費用に回せれば、 多少は改善されるでしょう。 □ 売買解禁および課税同時導入: 退蔵すると無駄に納税することになる。 売却すればカネが入る。 → かなりの人は売る。 これこそが正解なんだよ!!!。 これこそが正解なんだよ!!!。 これこそが正解なんだよ!!!。 これで問題はすべて解決します。 IPv6?永遠に不要だね。 よくある反論に、たかが年間1ドルの課税なら 払ったまま退蔵する。だから解決しない、という人がいますが、 それは間違いです。 こうやっていう人は、アドレス枯渇問題に長年 関わりすぎたせいで、 あまりにもアドレス所有権を過大評価しています。 たとえ、売買解禁をせず、課税のみを行ったところで、 クラスAで年間20億円の無駄な出費を行う組織は少ないでしょう。 クラスBでも年間800万円。10年間なら8000万円。 正直、インターネット系企業ならともかく、 それ以外の企業にとって、 IPアドレスなどという意味不明のものになんで8000万円も 払うんだ、という話は出てきますし、 それ以前に、JPNICからの800万円の請求書を、 どうやって経理に通すか、 という問題はそうそう簡単には解決しません。 あなたが、どこかの非IT系企業の総務でIPアドレスの管理を 担当していたとします。 JPNICから800万円の請求書が来ました。 どういう名目で、どうやって経理に通しますか?。 さらに、売買解禁をすれば、売れば金になるわけですよ。 これは強力です。 その会社が絶好調ならともかく、 そうでない限り、 常に、不要資産の売却といった通達は来ます。 そのとき、インターネット業界人ならともかく、 普通の会社の普通のサラリーマンにとって、 IPアドレスの保有権などという意味不明の権利は、 真っ先に粛清の対象になります。 歴史的PIアドレス騒動を思い出して下さい。 「そんなアドレスあったっけ?」という組織がいかに多いか。 あなた方にとっては非常に大切な権利でも、 普通のサラリーマンにとっては、「そんなのあったけ?」程度の権利なんですよ。 ですから、売れば金になる、となれば高い確率で売ります。 もうひとつ、売買市場の整備は、 「売ったら買い戻せないかも」という恐怖をなくす効果があります。 一般的にいって、サラリーマンは非常に責任回避的ですから、 たとえ確率的にはプラスになることでも、 マイナスの可能性があると動きません。 これはただ個々の立場としては非常に合理的で、 ようは、儲かっても必ずしも評価の対象にならないのに、 問題が起これば責任追及の可能性があるため、 非常に保守的に行動します。 で、この原理があるので、後々厄介な問題がおきるかも、 となると売りませんが、 売買市場の整備によりこの問題も解決します。 とにかく、課税+売買で必ず問題は解決します。 また、昔、JANOGのMLに出題した「宿題」を再掲します。 いままで誰も正解していませんが、 私と経済学議論をする前に、 とりあえずこれを解こうぜ。 --------------- 「遠のくマイホームの夢: 日本の住居はなぜ高いか。 それは、国土が狭く、人口が多いからである。 すなわち、米国カリフォルニア州と同程度の面積に米国の半分に相当する国民が生活をしており、 しかも、国土の80パーセントが山間部である。 このような観点から、住居が高いのはあるていど致し方ない。」 設問: 以上のような言説は、過去数十年間、わが国で広く言われているものであるが、 はたして、正しい言説といえるだろうか。 賛成反対を明確にした上で、 賛成の場合、この問題点の解決策の提案を。 反対の場合、どこが間違っているのかを説明しなさい。 --------------- |