Q. アポトーシスとは何ですか。 |
A. プログラムされた細胞死は、それにより細胞が自己破壊を起こす遺伝的にプログラムされ、進化学的に保存されている能動的なプロセスです(1)。細胞死の2つの形態的に異なる型の存在を示す最初の証拠は、Kerrが行った組織学的研究に見られます(2)。アポトーシスとは、プログラムされた細胞死の過程で観察される細胞の特徴的な生化学的および形態的変化のことをいいます。これらの変化には、クロマチン凝縮、クロマチンの核膜辺縁部への分散、細胞質凝縮および細胞全体の縮小化、細胞質の空胞形成、核膜と細胞膜の回旋化に続くアポトーシス小体形成が含まれます。このアポトーシス小体は、ほとんど(まったく)炎症性の反応を起こさずに、近隣の細胞により貪食されます(1,3-6)。
アポトーシスの過程の間に、核のDNAは最初は大きなDNA断片(約50〜300kb)に、続いて小さなオリゴヌクレオソームの断片へと分解されます。その結果、アガロースゲル電気泳動法で解析するとくっきりとしたDNAラダーが現れます(1,3)。 アポトーシスの過程が始まると、特定のプロテアーゼが活性化され、細胞内の様々なタンパク質の切断が起こります(7-10)。このカスケードに含まれるプロテアーゼはcaspaseとして知られるシステイン-アスパラギン酸プロテアーゼファミリーのひとつで、恒常性を維持する主要な修理酵素を不活化し、細胞の規則的な破壊を引き起こします(11,12)。
参考文献: 1. Kerr, J.F.R. and Harmon, B.V. (1991) Apoptosis: The Molecular Basis of Cell Death, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York. 2. Kerr, J.F.R. (1965) J. Pathol. Bacteriol. 90, 409. 3. Kerr, J.F.R. et al. (1993) Cancer 73, 2013. 4. Wyllie, A.H., Kerr, J.F. and Currie, A.R. (1980) Int. Review Cytol. 68, 251. 5. McConkey, D.J. and Orrenius, S. (1994) Trends Cell Biol. 4, 370. 6. Steller, H. (1995) Science 267, 1445. 7. Vaux, D.L. and Strasser, A. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93, 2239. 8. Kumar, S. and Lavin, M.F. (1996) Cell Growth Diff. 3, 255. 9. Nicholson, D.W. and Thornberry, N.A. (1997) TIBS 22, 299. 10. Rosen, A. (1996) Nature Genetics 13, 380. 11. Yuan, J. et al. (1993) Cell 75, 641. 12. Alnemri, E.S. et al. (1996) Cell 87, 171. |
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Q. アポトーシスとネクローシスの違いは何ですか。 |
A. 偶発的な細胞死、あるいはネクローシスは、細胞全体と細胞器官の膨張、続いて早期に起こる膜の安定性の喪失、細胞と細胞器官の溶解へと進みます。ネクローシスは、アポトーシスと違ってin vivoでは強度の炎症反応を伴います(1,3-6)。染色体DNAは、ネクローシスの間にも分解されますが、分解は特異的でなく、アガロースゲル電気泳動法で解析するとDNAがスメアとなって現れます(1,3)。 細胞死を検出するためのアッセイすべてが、アポトーシスとネクローシスを区別できるわけではないことに注意してください。
参考文献: 1. Kerr, J.F.R. and Harmon, B.V. (1991) Apoptosis: The Molecular Basis of Cell Death, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York. 2. Kerr, J.F.R. (1965) J. Pathol. Bacteriol. 90, 409. 3. Kerr, J.F.R. et al. (1993) Cancer 73, 2013. 4. Wyllie, A.H., Kerr, J.F. and Currie, A.R. (1980) Int. Review Cytol. 68, 251. 5. McConkey, D.J. and Orrenius, S. (1994) Trends Cell Biol. 4, 370. 6. Steller, H. (1995) Science 267, 1445. |
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Q. アポトーシスはどのようにしたら検出できるのですか。 |
A. アポトーシスの検出のために、多くの手法が開発されてきました(1,2)。アポトーシスの間に起こる形態的変化の検出には、光学顕微鏡と電子顕微鏡の両方を使用できます。特徴的な細胞の縮小化や顆粒の増加は、フローサイトメトリーまたは密度勾配遠心法で検出できます。さらに、トリパンブルー、エチジウム・ブロマイド、アクリジン・オレンジなどの色素が、正常な細胞、アポトーシスを起こしている細胞、ネクローシスを起こしている細胞を、膜の安定性に基づき区別するために使われてきました。最近では、組織のグルタミン酸転移酵素(tTG)の活性の測定、annexin Vの結合、カルシウムイオン流入の変化もアポトーシスを測定するために使われています。
アポトーシス検出のための一般的で検出感度が高い手法は、アポトーシスに特徴的なDNAの規則的な断片化の測定です。断片化されたDNAは、アガロースゲルによる解析、in vitroおよびin situでのエンドラベリング、PCR解析(3)、コメット解析(4)、ELISAシステムなどの様々な手法で検出できます。アポトーシスの間に活性化されるプロテアーゼcaspaseファミリーを検出するためのアッセイ系が最近開発されました。 一般的に、細胞死がアポトーシスによることを確認するために2つの独立した方法を用いることが必要です。
参考文献: 1. Cotter, T.G. and Martin, S.J. (1996) Techniques in Apoptosis: A User's Guide, Portland Press, Ltd., London. 2. Schwartz, L.M. and Osborne, B.A. (1995) Meth. Cell Biol.: Cell Death, 46, Academic Press, Inc., San Diego. 3. Jennerwein, M.M. and Eastman, A. (1991) Nucl. Acids Res. 19, 6209. 4. Nelms, B.E. et al. (1997) Promega Notes 64, 13. |
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Q. どのようなアポトーシスの検出システムがプロメガから入手できますか。 |
A. プロメガではアポトーシスによる細胞死の検出を容易にした3つのシステムを提供しています。Apoptosis Detection System, Fluorescein(カタログ番号:G3250)およびDeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection System(カタログ番号:G7130)は、terminal deoxynucleotidyl transferase(TdT)を使ってin situで断片化したDNAの3’-OHを末端標識する手法を基礎としています。
"TUNEL"(TdT-mediated dUTP Nick-End-Labeling)アッセイ(1)として知られるこの手法は、DNAの断片化とアポトーシスの質的および量的な解析を可能にしています。Apoptosis Detection System, Fluoresceinは、fluorescein-dUTPの取り込みを利用しているのに対し(2)、DeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection Systemでは、ビオチン化されたヌクレオチドの取り込みと、それに続くstreptavidin horse-radish peroxidase conjugateとdiaminobenzidine(現像すると濃い茶色の沈殿を発生させる発色基質である)による検出を含む発色法のアッセイを用いています(3)。
アポトーシスの研究用の3番目のシステムは、CaspACETM Assay System, Fluorometric(カタログ番号:G3540)です。このシステムでは、蛍光性のペプチド基質をクルードな細胞溶解液や精製された酵素のフラクションのICE/caspase-1(YVADase)とCPP32/ caspase-3(DEVDase)の活性の検出に使います(4)。これらのプロテアーゼは、哺乳類細胞で炎症およびアポトーシスにおいて主要な役割を果たしていることが示されています(5-8)。
CaspACETM Assay System, Fluorometricで提供されるペプチド基質は、fluorochrome 7-amino-4-methyl coumarin(AMC)でラベルされていて、切断されたペプチドからのAMCの遊離により、460nmで測定される黄緑色の蛍光の増加が起こります。2つの選択されたペプチド基質とインヒビターを使うことによりYVADaseとDEVDase活性を区別できます。インヒビターの存在下と非存在下での基質の分解活性レベルの違いは、YVADaseまたはDEVDase酵素活性による寄与を反映しています。
TUNEL法に基づいたシステム(Apoptosis Detection System, FluoresceinとDeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection System)およびCaspACETM Assay Systemは、アポトーシスの独立した別の生化学的マーカーを測定します(つまり、DNAの断片化とcaspaseによるプロテアーゼ活性)。 プロメガのWizard R Plus Series 9600TM DNA Purification System(b)(カタログ番号:A7000)は、アポトーシスを起こした細胞から断片化したDNAを抽出するために使うことができます(9)。CellTiter 96R AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(c)(カタログ番号:G3580)およびCytoTox R Non-Radioactive Cytotoxicity Assay(カタログ番号:G1780)も、アポトーシスに関連した事象を検出するために有用であることが示されています(10)。
参考文献: 1. Gavrieli, Y. et al. (1992) J. Cell Biol. 119, 493. 2. Apoptosis Detection System, Fluorescein, Technical Bulletin #TB235, Promega Corporation. 3. DeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection System Technical Bulletin #TB199, Promega Corporation. 4. CaspACETM Assay System, Fluorometric, Technical Bulletin #TB248, Promega Corporation. 5. Thornberry, N.A. et al. (1992) Nature 356, 768. 6. Nicholson, D.W. et al. (1995) Nature 376, 37. 7. Tewari, M. et al. (1995) Cell 81, 801. 8. Fernandez-Alnemri, T. et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93, 7464. 9. Hengerer, B. and Math・ D. (1996) Promega Notes 58, 40. 10. Moravec, R. and Riss, T. (1998) Promega Notes 68, 13. |
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Q. それぞれのアポトーシス検出システムの利点は何ですか。 |
A. Apotosis Detection System, Fluoresceinは、細胞ひとつから断片化したDNAの容易で感度の高い検出および数値化ができます。蛍光顕微鏡あるいはフローサイトメーターが利用できない場合でも、DeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection Systemを使えば同様に容易で高感度な検出および数値化ができます。DeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection Systemは、厚い切片(例えばビブラトームで50um)を解析する場合にも適しており、細胞の形態との同時解析にぴったりです。アポトーシスの別の生化学的な指標を検出するためには、CaspACETM Assay Systemを使って細胞や組織の抽出液、あるいはタンパク質のフラクションに存在する活性化型のICE/caspase-1 (YVADase)、またはCPP32/caspase-3(DEVDase)の定量化ができます。 |
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Q. これらのシステムを培養細胞(接着型および浮遊型)や組織切片で使うことができますか。 |
A. Apoptosis Detection System, FluoresceinおよびDeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection Systemは、接着細胞、浮遊細胞、凍結切片、パラフィン切片、あるいはビブラトームによる組織切片における断片化したDNAの検出を目的としています。CaspACETM Assay Systemは、クルードな細胞または組織の抽出液におけるcaspase-1またはcaspase-3のプロテアーゼ活性の検出用として設計されています。細胞抽出液は、接着細胞あるいは浮遊細胞のどちらでも問題ありません。また、精製した(あるいは部分精製した)酵素のフラクションをこのシステムに使うこともできます。 |
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Q. それぞれの解析にはどれくらいのサンプルが必要ですか。 |
A. Apoptosis Detection System, FluoresceinおよびDeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection Systemでは、細胞を顕微鏡用のスライド、カバースリップ、あるいはLab-TekR chamber slideに固定する必要があります。組織の切片は、凍結法でもパラフィン法でも、ビブラトーム法でもかまいません。浮遊細胞の場合には、スライドに固定することで行えます。Apoptosis Detection System, Fluoresceinでも、浮遊細胞をラベルし、フロー・サイトメトリーで処理することができます。このタイプの解析では、アッセイあたり約3〜5×106個の細胞が必要です。 DeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection Systemを使う場合、細胞をPBSに最終濃度が1.5×106/mlになるように懸濁し、スライドに付着させます。接着細胞はスライドに直接播くか、細胞培養用のプラスチックウェアからはがし、浮遊細胞と同じように処理します。
CaspACETM Assay Systemは,スタンダードアッセイまたは96穴プレート用にデザインされています。スタンダードアッセイでは、150‐500ugのタンパク質を含む20ulの細胞抽出液が必要です。一方96穴プレートのアッセイでは、約30ugのタンパク質が必要です。THP-1細胞では、アッセイあたり最低1×106個の細胞を使うことを薦めます。しかし、適切な濃度の細胞抽出液を作るのに必要な細胞の数は、細胞の種類や使われる条件によります。細胞または組織の抽出液は、通常25mM HEPES(pH 7.5)、5mM MgCl2、25mM EDTA、5mM DTT、2mM PMSF、10ug/ml Pepstatin A、10ug/ml Leupeptinを含む低張性の溶解液で作ります。 |
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Q. それぞれのシステムにはどのような検出装置が必要ですか。 |
A. Apoptosis Detection System, Fluoresceinを使ってラベルされた接着細胞や組織切片の解析には蛍光顕微鏡が必要です。サンプルは、fluoresceinの緑色の蛍光を見るために520±20nmで標準のfluoresceinのフィルターを使って解析します。propidium iodideの赤色の蛍光は620nm以上で見ることができます。fluoresceinとpropidium iodideを同時検出できる広域透過性のフィルターを用いると両方で染められた細胞は黄色に見えます。
Apoptosis Detection System, Fluoresceinを使ってラベルされた浮遊性の細胞の検出には、フロー・サイトメーターを用います。蛍光顕微鏡と同じように、fluoresceinは、520±20nmで検出され、propidium iodideは620nm以上で検出されます。
DeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection Systemを使って処理されたサンプルの解析には、光学顕微鏡が必要です。ラベルされたアポトーシスを起こした核は濃い茶色に見えます。 CaspACETM Assay System, Fluorometricは、蛍光性のペプチド基質を用いてcaspase-1/ICEおよびcaspase-3/CPP32のプロテアーゼ活性を測定します。これらの基質の切断により、フルオロメーターあるいは96穴用蛍光プレートリーダーを使い、励起波長360〜380nm、測定波長460〜480nmで検出される青色の蛍光の増加が起こります。 |
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Q. それぞれのアッセイを使うとき、どのようなコントロール実験を行えばいいですか。 |
A. それぞれのアポトーシス検出システムについて陽性コントロールと陰性コントロールの両方を実施することを薦めます。これらのコントロールには、アッセイ中の成分に対する陽性および陰性コントロールや、生物学的な陽性コントロールが含まれます。固定した細胞や組織切片をApoptosis Detection System, FluoresceinまたはDeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection Systemを使って染色する前にDNase Iで処理すると、TdT(Terminal Deoxynucleotidyl Transferase)によってエンドラベルされる多くの断片を生じるので、ラベリングの陽性コントロールとして適しています。ラベリングの反応液中にTdTが加えられていない、陰性コントロールも実施する必要があります。これらのコントロールにより、fluorescein-dUTPまたはビオチン化したヌクレオチドの非特異的な結合の測定ができます。
Apoptosis Detection System, Fluorescein、DeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection SystemおよびCaspACETM Assay Systemでは、生物学的な陽性コントロールを使うことを薦めます。アポトーシスが起こっていることが報告されている生物学的システムには、camptothecinやanisomycinによるHL-60細胞の処理(1-5)、PC12細胞におけるNGFの欠乏(6)、マウスの胸腺の白血球におけるグルココルチコイドにより誘導されるアポトーシス(7,8)、あるいはFas受容体またはTNF受容体を持つ細胞のそれぞれのリガンドによる活性化(9)などがあります。さらに、THP-1ヒト単球性白血病細胞の細胞質抽出液をcaspase-1およびcaspase-3活性の測定に使うこともできます(10)。
CaspACETM Assay System, Fluorometricには、caspaseに特異的な活性を計算するための標準曲線の作成に使えるAMCスタンダードが含まれます(10)。CaspACETM Assay Systemを使う反応は、サンプル中に存在するcaspase-1またはcaspase-3によるペプチドの切断を定量するためにcaspase-1またはcaspase-3の阻害剤の存在下と非存在下で実施する必要があります。
参考文献: 1. Del Bino, G. et al. (1991) Exp. Cell Res. 195, 485. 2. Li, X. et al. (1995) Cytometry 20, 172. 3. Gorczyca, W. et al. (1993) Cancer Res. 53, 3186. 4. Darzynkiewicz, Z. et al. (1992) Cytometry 13, 795. 5. Polverino, A.J. and Patterson, S.D. (1997) J. Biol. Chem. 272, 7013. 6. Batistatou, A. and Greene, L.A. (1991) J. Cell Biol. 115, 461. 7. Gavrieli, Y. et al. (1992) J. Cell Biol. 119, 493. 8. Cohen, J.J. and Duke, R.C. (1984) J. Immunol. 132, 38. 9. Tewari, M. and Dixit, V.M. (1995) J. Biol. Chem. 270, 3255. 10. CaspACETM Assay System, Fluorometric, Technical Bulletin #TB248, Promega Corporation. |
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Q. これらのシステムではどのような固定剤を使えばいいですか。 |
A. Apoptosis Detection System, FluoresceinおよびDeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection Systemでは、もっとも標準的な固定剤(例えば1-4% methanol-free formaldehyde、 4% paraformaldehyde、 4% paraformaldehyde/ 0.5% glutaraldehydeおよび10% buffered formalinなど)を使うことができます。スライドに固定した細胞は、PBSまたはTBS中で4℃で1〜2週間、または70%エタノール中で-20℃で保存できます。組織サンプルは、ホルマリン固定またはパラフィン切片にします。エタノールやメタノールでの固定は薦めません。CaspACETM Assay System, Fluorometricを使ってcaspase活性を解析する場合の細胞または組織抽出液は固定剤処理しません。 |
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Q. 処理をしたサンプルを後で解析するために保存することはできますか。 |
A. Apoptosis Detection System, Fluoresceinでラベルした細胞または組織切片は、ラベリング反応が終了した後すぐに蛍光顕微鏡で解析します。時間をおいて解析する場合はanti-fade solutionを使います。別の方法として、fluoresceinでラベルされたスライドを4℃暗所で数日間保存することができます。フローサイトメトリーで解析するための処理をした浮遊細胞は、解析するまで4℃暗所で保存し、染色後4〜6時間以内に解析します。 DeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection Systemを使って処理されたサンプルは、かなり安定なので、4℃で数週間保存できます。しかし、ラベルしたスライドを長期間保存する場合は、-20℃での保存を薦めます。CaspACETM Assay System, Fluorometricを使う蛍光の測定は、アッセイを直線の範囲内で行うために、基質を加えてから2時間以内に終了させるようにします。細胞または組織の抽出液は、後で測定する場合は-70℃で分画して保存します。 |
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Q. それぞれのアッセイにかかる時間を教えてください。 |
A. 蛍光顕微鏡とApoptosis Detection System, Fluoresceinを使ってアポトーシスによって断片化されたDNAを検出するためには、終了までに約3〜5時間必要です。フローサイトメーターを使う場合は、終了までに約5〜9時間かかります。しかし、このフローサイトメトリーのプロトコルには、氷上で5分間の0.2% Triton R X-100の処理に代えられる4時間の70%エタノール浸透の手順が含まれ、測定にかかる時間をかなり減らすことができます。 DeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection Systemを使う、アポトーシスにより断片化されたDNAの検出のためのプロトコルでは、終了までに4〜6時間を要します。細胞や組織抽出液、あるいはタンパク質のフラクション準備後のCaseACETM Assay Systemによるアッセイにかかる時間は約2〜3時間です。 |
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Q. アポトーシスにおいて何がイベントの進行を示しますか。またその研究のためにどのようなプロメガ製品が利用できますか? |
A. プログラムされた細胞死に対する興味の高まりは、アポトーシスを検出するための多くの手法の発達をもたらしました。プロメガは、Anti-ACTIVER Caspase-3 pAb、Anti-PARP p85 Fragment pAb、CaspaseTM FITC-VAD-FMK In Situ Marker、Apoptosis Detection System, Fluorescein、DeadEndTM Colorimetric Apoptosis Detection SystemおよびCaspACETM Assay Systems, FluorometricとColorimetricを含む、様々なアポトーシス検出のための抗体や製品を提供しています。これらのシステムのそれぞれの技術的な基礎を簡単に説明し、アポトーシスと関連する特異的な細胞イベントを評価するための各製品の有用性にハイライトをあてました。
アポトーシスは様々な刺激によって引き起こされます。そのような刺激はi) レセプター媒介型 とii)化学物質媒介型の2つの広いグループに分けられます。レセプター媒介型のアポトーシスの典型的な例はFas (CD95/Apo-1) レセプターに結合するFas Ligand(あるいは抗Fas抗体)です。これによりFas レセプターの三量体形成と、FADD/MORT1(Fas-Associated Death Domain)とTRADD (TNF Receptor-Associated Death Domain)のようなレセプターあるいはアダプタータンパク質の細胞内ドメインの移行がもたらされます。それに応じて、これらのアダプターの死作動体ドメイン(DED)はプロカスパーゼ-8のN末端の対応するDED領域と相互に作用します。これによりプロカスパーゼ-8の切断がもたらされ、活性化型のカスパーゼ-8が産生されます。カスパーゼ-8がFas誘因性のアポトーシスのために必要とされることを示している遺伝学的証拠と、それがすべての他の周知のカスパーゼを活性化できるというin vitro の証拠をあわせて、カスパーゼ-8がレセプター媒介型アポトーシスのイニシエーターカスパーゼとして示唆されています(2,3)。活性化型のカスパーゼ-8は、カスパーゼカスケードにおいていわゆる作動体カスパーゼ(例えばカスパーゼ-3と-7)を切断して、活性化します。さらに、活性化型のカスパーゼ-8はBid(プロアポトーシスの Bcl-2ファミリーメンバー)を切断することができ、それにより切断されたBidはミトコンドリアに移送され、続いてチトクロームC(4,5)の放出がもたらされます。放出されたチトクロームCは、dATPの存在下でApaf-1と複合体を形成します。この複合体は移送され、プロカスパーゼ-9を切断して活性化したカスパーゼ-9を産生します(6)。活性化型のカスパーゼ-9は直接作動体カスパーゼを活性化するためにカスパーゼ-8とともに働きます。
化学物質媒介型アポトーシスでは、ミトコンドリアからのチトクロームC放出がカスパーゼ活性化の前に起こります。この放出は、Bidのプロアポトーシスタンパク質Baxとの相互作用のような、Bidの切断とは独立したメカニズムに起因すると考えられます(7)。チトクロームCの放出に続いて、レセプター媒介型アポトーシスで上に記述されているのと同じような方法で、カスパーゼ-9が活性化されます。
両方の例で、後期のアポトーシスイベントは作動体カスパーゼの活性化の後に起きます。これらのイベントには細胞膜外部表面におけるホスファチジルセリンの露出(Annexin V結合)、Poly (ADP-ribose) Polymerase (PARP)の切断および染色体DNAの断片化が含まれます。
プロメガではアポトーシスの初期と後期両方の研究のために複数の製品を揃えています。CaspACETM Assay System, Colorimetric (カタログ番号G7351、G7220)とCaspACETM Assay System, Fluorometric(カタログ番号G3540)は、アポトーシス細胞におけるカスパーゼ-1あるいはカスパーゼ-3の活性を測定するために使用されます。さらに、新製品のAnti-ACTIVER Caspase-3 pAb(カタログ番号G7481)は、アポトーシス細胞で活性化型のカスパーゼ-3を免疫細胞化学により検出するために使用できます。直接アポトーシス細胞をラベルするためには、CaspACETM FITC-VAD-FMK In Situ Marker(カタログ番号G7461、G7462)を使うことができます。この製品はパン-カスパーゼ阻害剤VAD-FMKの細胞透過性のフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合体で、不可逆的に活性化型カスパーゼに結合するため、アポトーシス細胞をin situで特異的に標識できます。同様に、細胞透過性のパン-カスパーゼ阻害剤、Caspase Inhibitor Z-VAD-FMK(カタログ番号G7231、G7232)は、アポトーシスにおけるカスパーゼ依存性経路とカスパーゼ非依存性経路を研究するためにすぐご利用いただけます。
チトクロームC局在の研究のために、プロメガはチトクロームCに対してのネズミモノクローナル抗体、Anti-Cytochrome C mAb(カタログ番号G7421)を提供します。一般に、ミトコンドリア特異的ダイ(例えばCMX-rosamine)を使った二重染色法が行われます。非アポトーシス細胞で、チトクロームC標識は斑点状のCMX-Rosamine の染色を反映する染色となるはずです。アポトーシス細胞では、チトクロームCは放出されているため、染色のこの同局在性は見られなくなります。チトクロームCは細胞質中に放出されると不安定になるため、多くの場合まったく染色が確認されない可能性があります。したがって、使われた染色条件がどんな存在するチトクロームCでも検出することが可能であることを示すために、非アポトーシスのコントロールを使うことが重要です。
アポトーシス後期の研究のために、PARPのp85カスパーゼ分解産物をプロメガのAnti-PARP p85 Fragment pAb*(カタログ番号G7341)を使って同定することができます。この製品は免疫細胞化学染色用にデザインされていて、PARPの切断型を特異的に識別します。この抗体はインタクトな完全長のPARPタンパク質を認識しません。したがって、この抗体で陽性に染色された細胞はアポトーシスを起こしていることを示しています。最後に、プロメガではアポトーシスの顕著な特徴とされるDNAの断片化を調べる2つのTUNEL法キットも提供しています。Apoptosis Detection System, Fluorescein(カタログ番号G3250)は、断片化DNAの3'-OH末端にフルオレセイン-12-dUTP*を加えるためにターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(Tdt)を使います。この標識は蛍光顕微鏡あるいはFluorescent Activiated Cell Sorting (FACSTM)分析を使って視覚化されます。比色定量法のアッセイの方を希望する研究者のために、DeadEnd Colorimetric Apoptosis Detection System(カタログ番号 G7130、G7360)では、断片化されたDNAの3'-OH末端をビオチン化されたヌクレオチドでラベルします。ビオチン化された断片はその後ストレプトアビジン- HRP結合体と沈殿性のHRP基質(DABと過酸化水素)により検出できます。アポトーシスを起こしている核は標準的な光学顕微鏡下で視覚化され、茶色に見えます。
CellTiter 96R AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(カタログ番号G3580、カタログ番号G3581、カタログ番号G3582)は、テトラゾリウム化合物MTSを着色されたホルマザン産物に還元する細胞の能力を測ることによって、細胞生存度についてのin vitro の情報を提供します。活発な細胞代謝により、テトラゾリウム還元に必要なNADHのような還元物質の生成がもたらされます。着色されたホルマザン産物へのMTSの変換の増加は、生存する細胞数の相対的な指標となり、減少は細胞死の相対的な指標となります。
最近、カスパーゼ-8の1番目の死作動体ドメイン(DED)がそのカスパーゼ活性に依存せずにc-Jun N-terminal kinase(JNK)経路を活性化することができること、そして同じくこのような活性化を阻止するこのドメインにおける突然変異がFasレセプターによって媒介されるアポトーシスを阻止するということが明らかにされました(8)。したがって、JNK はアポトーシスにおいても何らかの役割を演じている可能性があります。JNK経路の分析のために、プロメガはAnti-ACTIVER JNK pAb, Rabbit (カタログ番号V7931とV7932)を提供します。この抗体はウェスタン分析と免疫細胞染色の両方で使うことができます。 (eNotes - FAQ) |
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