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2008年6月20日

 けんかを仕掛けられたり、握手をしたり、何かと耳目を集める東シナ海である。尖閣諸島沖の衝突事故が引き金になって台湾で反日騒動が起きた。懸案のガス田問題は、日中の共同開発が決まった

キナくさい台湾の騒動は、中台対話再開の時期に重なった。親中国路線にかじを切った現政権に、台湾では批判が少なくない。そこへ日本ともめ事が起きた。内輪の争いから目をそらすため、外に「敵」をつくる。よくある筋書きである

もめたわりに、東シナ海のガス埋蔵量は、さほどでもないそうである。日本がパイプラインを敷いても採算がとれないという話も聞く。事は国と国の境界にからむ。もうけで済ませる話ではないが、五輪を前に実現した「戦略的互恵」の実入りは、案外乏しいかもしれぬ

「平和と協力の海」をうたう東シナ海にして、怒りや手打ちの思惑が渦巻く。折も折、北朝鮮に対する米のテロ支援国家指定の解除が秒読みに入ったと報じられた。今度は経済制裁の亀裂が走る日本海に、外交の舞台が移る

荒れる海をよそに、平和ニッポンの国会は空転のまま、あす閉会する。


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