◇培った精神力、仕事に 闘病のファンの手紙大切に--芦硲太輔さん(28)
「天理の野球を見せてもらい、がんばって病気と闘っています」。97年のセンバツ優勝後、芦硲(あしさこ)太輔さん(28)は、入院中の60代男性から1通のファンレターをもらった。手紙は今も大切に持っている。
天理で二塁手として活躍。関西大学でも野球を続け、総合国際物流会社「フェデックス」に入社、フェデックス硬式野球部に入部した。プロ野球選手を夢見たが、05年にアキレスけん断裂。復帰したが、体がうまく動かず悩んだ末に引退した。
野球で培った精神力は仕事でも生きている。会社では世界各国へ届ける荷物の集荷、配送を担当する。正確さ、スピードに加え、貿易に関する知識が問われる。集荷して即日、関西国際空港から自社航空機で海外へ発送する。世界情勢や法令変更などのチェックも欠かせない。災害や気候にも目を配る。現地の交通がマヒして時間通りの配達ができないこともあるからだ。
センバツ決勝で、芦硲さんは試合を決める2点適時打を放った。「高校時代の成果が集約された一撃」だった。この時、ベンチでみんながガッツポーズしていた。「ずっと一緒に過ごした仲間。家族みたいなもの。だからその姿を見るだけで、みんなの気持ちが分かった」と振り返る。
優勝を経験した芦硲さんは「甲子園では今までにないプレッシャーや期待がかかってくる。力だけでは勝てない。僕らの時のように、いかにチームに良い勢いを持ってくるかで変わってくる。後輩たちには甲子園で野球を楽しんでほしい」と話す。
毎日新聞 2008年2月29日
ヤクルト | 5−7 | ソフトバンク | 終了 |
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