デジタル放送のコピー制限を緩和する「ダビング10(テン)」が7月5日をめどに解禁されることが19日決まった。デジタル機器にかける補償金を巡る著作権団体と家電メーカーの対立から、6月初めの解禁予定日が延期されていたが、情報通信審議会(総務相の諮問機関)の委員会で妥協が成立した。
委員会では、著作権団体が補償金問題とダビング10を切り離すことを提案した。北京五輪に備えてダビング10の対応機器を購入済みの利用者らがいることに配慮した。メーカー側もこの夏以降、補償金以外の著作権者への「適正な対価の還元」について、情報通信審議会で前向きに検討していくことで歩み寄った。
補償金をめぐっては、文部科学省と経済産業省が17日、今後普及が見込まれるブルーレイ録画機とブルーレイディスクにも課すことで合意。これに対して著作権団体は、携帯音楽プレーヤーやDVDレコーダーなどに広く使われているハードディスク駆動装置(HDD)への課金が見送られたことに反発していた。
今回の委員会での合意をふまえ、放送局とメーカー、通信会社などで作る社団法人「デジタル放送推進協会」が近く、正式にダビング10の解禁日を決める。(橋田正城)
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ダビング10 デジタル放送の番組をハードディスク内蔵型レコーダーに録画した後、DVDなどに9回コピーでき、10回目にレコーダーからディスクにそっくり移る仕組み。現在はダビング1回だけ。昨夏の情報通信審議会で、ダビング10の解禁と同時に著作権者が「適正な対価の還元」を得る必要があると指摘されたが、携帯音楽プレーヤーなどを補償金の対象に含める案にメーカー側が反発。6月2日の解禁日が延期された。