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甘すぎる日本の対応 制裁効果台無しの危険性 日朝協議 (1/2ページ)
政府が13日、日朝公式協議について「一定の前進だ」(町村信孝官房長官)と評価し、条件付きで北朝鮮籍船の入港を認めるなど対北朝鮮制裁措置の一部解除を表明したのは、福田政権がはっきりと「対話路線」に傾き始めたことを表している。これは、現時点では「小さな一歩を踏み出した」(高村正彦外相)だけでも、北朝鮮を追いつめてきた制裁措置の効果を、この先なし崩し的に台無しにしてしまう危険性もはらんでいる。(阿比留瑠比)
「北朝鮮の船に積むものは人道支援物資に限定するし、厳しくチェックする」
外務省幹部はこう説明するが、何が人道支援物資であるかの明確な定義がない以上、抜け道は残りそうだ。現に、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)は、本国と日本社会をつなぐ“動脈”である貨客船「万景峰92」について、「すでに数日前から、今回のことを見越して新潟港への入港手続き準備に入っている」(公安筋)という熱心さだ。
今年9月9日は建国60年の節目に当たるため、「北は何としてもそれまでに物流ルートを確保したかった」(政府関係者)とされる。万景峰92は長年にわたり、金正日総書記が側近や軍部に配るカネやモノを運んできた経緯もある。
万景峰92をめぐっては昨年8月、北朝鮮で水害被害が出た際に、朝鮮総連が日本政府に「自分たちが集めたカンパを本国に送りたい」として、人道支援のために万景峰92の入港許可を要請してきたことがある。
このときは、外務省などは入港を認める方向で検討していたが、安倍晋三首相(当時)がストップをかけた。「制裁に一つ穴を開けるとそこからなし崩しになる。どうしても人道支援が必要ならば、国連機関などを通じて実施すべきだ」との考えからだ。こうした踏ん張りが、「北朝鮮には随分効いていた」(拉致被害者家族会関係者)とみられるが、その安倍路線を明確に転換した形だ。
そもそも、今回の日朝協議で成果とされる拉致被害者の再調査にしても、よど号犯引き渡しへの協力にしても、具体的なことはまだ詰められていない。町村氏は「(横田めぐみさんのニセ遺骨を渡すような)同じような再調査を彼らがするとは思っていない」と述べるが、それが希望的観測ではないという保証はない。