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この週刊誌がすごい

「老人は早く死ね」という国の怖さ

この週刊誌がすごい68

元木 昌彦(2008-04-11 13:30)
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 映画「靖国 YASUKUNI」をめぐる騒ぎが変な方向へ行ってしまっている。出演者の刀匠・刈谷直治さんが、映画から自分の映像と名前を消してほしいといっているというのだ。

 そのきっかけは、有村治子という参議院議員が、試写会を見た後、刈谷さんに電話したことがきっかけのようらしい。この有村参議院議員は、何の意図を持って、電話したのか。この女性、参院内閣委員会でも、「靖国」が日本芸術文化振興会の助成金を受けた経緯について、助成承認に関わった専門委員の一人が九条の会のメンバーであると“難癖”をつけている。

 右翼たちでさえ、映画を見ていないし、表だって反対しているわけではないのに、映画館が「自主的」に、上映禁止にしてしまうのは、こうした、作品の善し悪しがわからずに口を出してくる輩がいることも一因なのだ。

 配給側は、早急に、どこかの映画館を借りて、右翼の人たちを集め、映画を見てもらったらいい。その後、上映賛成派も入って、みんなで議論したら、それをオーマイニュースでライブ配信してもいい。「靖国」という言葉だけに脅えて、フタをしてしまうのは、どちらにとってもいいことではない。

 福田末期(まつご)政権を引き倒すのは、どうやら、小沢ではなく、老人パワーになりそうだ。毎日が、「4月大乱『ガソリン』に目を奪われるな!!名前でごまかすな!『長寿医療制度』は史上最悪の国家犯罪だ」と、長いタイトルだが、後期高齢者医療制度の問題点を浮き彫りにしている。

 「これまで、娘や息子の扶養家族に入っていて、保険料負担がなかった人も、その保険から引っぱがされて、10月から一人一人が自分で保険料を払うことになる。(中略)保険料は住んでいる自治体によって“格差”があるが、全国平均では月約6000円。介護保険料(平均月約4000円)と合わせると、約1万円になる。保険料は、死ぬまで徴収され、2年ごとに見直し、つまりアップしていく」のだ。

 早い人は、4月15日から、年金からの天引きが始まるというのに、おなじみ厚生労働省の怠惰なおかげで、ほとんど、実態を知らない老人が多いのだ。

 しかも、75歳以上ではなく、65歳から74歳の人でも、障害があったり、寝たきり、人工透析を受けている人は、原則、加入させられてしまうのだ。

 「姥捨山」と呼ばれるように、高齢者を見捨てようというふざけた制度である。さらに、健康診断まで受けられなくなるのだ。心電図や眼底検査、貧血、尿酸値の検査は、「自分でカネを払って受けてください」というのだ。

 徳島県の広域連合では、75歳以上で健康診断を受診できる対象者を、直近1年間に医療機関を受診していない人、と制限した結果、虫歯で歯医者にかかった人もダメだから、約11万人の長寿高齢者のうち、検診を受けられるのはたった3700人程度。

 最後にこう書いている、「国の財政再建のために国民の命を削るような制度でどうするのか。生きている人に目を向けず、だれのための制度なのか」。おっしゃるとおり。

 この法案を成立させた元凶は、あの“お気楽”小泉元首相である。文春も、「『長寿という地獄』絶対許さない!」と怒りをあらわにしている。
 
 その小泉さん、首相を辞めた後、ホテルを転々としながら悠々自適だそうだ。文春の他の特集の中で、転々としている理由は「ずばり女性である」と、上杉隆氏は書いている。

 「二度と総理なんかやらない。あんな苦しいことはない。何しろずっと女断ちだ。この年になってまさか夢精するとは思わなかったよ。もうこりごりだ」と、誰彼なく話しているというのだ。

 こんな人間に、弱者をいたわる気持ちなど期待するほうが無理である。舛添厚生労働大臣も、「『長寿という地獄』を生き抜かなくてはならない高齢者の悲痛な叫びも、この人の心には響きはしないだろう」(文春)

 ガソリンを再び値上げするなど言語道断。政治家や官僚どもが勝手に消費している「税金の無駄」を徹底的に省いてから、顔を洗って出直してくるべきだ。

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