【ソウル=牧野愛博】最近は不倫も取り上げるが、過度な愛情表現は御法度――。北朝鮮で00年から06年にかけて放映されたテレビドラマの傾向を、韓国の映画振興委員会がまとめた。
北朝鮮にとって映画やドラマは朝鮮労働党の政策を最も感動的に伝える手段。それでも最近は、小学生の友情や工場建設に取り組む青年たちのドラマなど、日常生活の多様な素材を扱うようになった。01年10月放映の「家庭」は、夫婦間の不倫と葛藤(かっとう)が主題。02年の作品「お母さんを起こさないで」では、共稼ぎ家庭を舞台に男女平等を訴えた。
一方、不健全だったり社会主義の矛盾を突いたりする内容はタブー。80年代の作品「春の日の雪解け水」で初めてキスシーンが登場したが、女性の過度な露出や愛情表現は避けているという。
北朝鮮の代表的な放送局、朝鮮中央テレビの場合、平日放映のドラマは全体の13%。宣伝映画が36%と多く、スポーツ21%、音楽9%となっている。