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甦れ美しい日本 第190号

発行日時: 2008/6/6

□□■平河総合戦略研究所メルマガ■□□(2008年6月7日 NO.190号)

  ☆☆甦れ美しい日本☆☆

☆・・・・私たちは書きたいから書くのです・・・・
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< 目次 >

◎塚本三郎の「今を斬る」 ダライ・ラマはラサに戻るべきだ

◎西村真悟の時事通信No.348 平成20年 6月 2日(月) 
 クラスター爆弾禁止条約

・・・誰もが反対できない謂わば逆言葉狩り的な「女・子供の生命が・・」などとの表面(おもてづら)の聞こえの良い謳い文句で、「専守防衛」(何もこの滑稽な概念に同意しているわけではなく、一歩譲って議員先生方のお好きなこの言葉を使っているだけ為念)を「国是」にしている日本がその専守に最も効果的なクラスター爆弾廃止条約に同意した。しかも米露中は全く蚊帳の外なのに!である。しかも条約推進派の欧州諸国と核抑止力なき日本の防衛は全く異なる。こんな条約に合意した福田総理は偽善者であり欺瞞家としか思えない。そもそも国家の安全保障なくしては「女・子供」の生命や人権などないのである。野蛮人が日本に侵攻し暴虐・悪逆の限りを働いても、それでもクラスター爆弾による「女・子供」なのか!本末転倒である!西村真悟代議士が冷徹な現実議論をされていますのでここに同事務所の同意を得て転載します。・・・

◎『中国新聞』連載コラム
「今を読む:裁判員制度は家族の問題」  池内ひろ美著

◎6月13日の日比谷公会堂の「裁判員制度はいらない!全国集会」に集合せよ!
詳細はこれ→http://no-saiban-in.org/index.html 

◎レギュラー執筆者 
      
1.奥山篤信   公演中の「RIVERDANCE」にみるアイルランド民族の誇り
2.松永太郎   あまりにもひどいNHK報道

◎関西零細企業経営のオッサン 悔し涙を流すの記 (12)

◎投稿 シナ人留学生に騙された(実話をもとに一郎と花子の対話形式とした)

◎月刊ビジネス情報誌「エルネオス」6月号
URL:http://www.elneos.co.jp/
巻頭言[宮脇磊介の賢者に備えあり]
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超・映画評 愛と暴力の行方 奥山篤信著 扶桑社 発売中 http://www.strategies21.org/leonessa.htm
 
豊かな海外経験を生かした元商社マンの映画評。対象は「夜顔」「ダ・ヴィンチ・コード」「硫黄島からの手紙」「不都合な真実」「椿三十郎」などこの2年間に日本で上映された洋・邦画117作。何げないしぐさや映像の断片に込められた意味を解き、作品の思想、背景をえぐり出す。著者の人生観や哲学を重ね合わせて論評、時には一刀両断に。特に、国際社会に生きる日本人への叱咤激励は傾聴に値する。映画評であり人間賛歌の書でもある。
—東京新聞 6月5日夕刊 ─今週の本棚より─
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◎塚本三郎の「今を斬る」 ダライ・ラマはラサに戻るべきだ
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ダライ・ラマ十四世は、直ちに祖国チベットに帰るべきだ。
「私はチベット仏教を守る為に、此の身を仏と国家に捧げる」と宣言して、堂々とチベットの都、ラサに戻るべきだと提言する。

 思えばチベットの代表が亡命して、スイスのコー(MRA本部)の世界大会で悲鳴に似た叫びを、私が聞いたのは四十九年前のことである。

 当時、若い代議士として、道徳再武装運動世界大会(MRA)に出席していた。
「共産主義は最も非道徳な政治である。中国政府は、原爆実験!)として、我々のチベットに侵略し、民族を皆殺しにせんとしている」と訴えた、亡命者の悲鳴を思い出す。
 ダライ・ラマ十四世は、信仰厚き弟子たちを連れて印度へ亡命した。

 あれからもう半世紀が過ぎた。生き仏と仰がれ、王と親しまれた彼は、残されたチベット国の独立を守るよりも、信徒の生命を守り、信仰さえ守ることが出来れば、と願った無抵抗の行動であろう。

 仏教信仰者にとっては、飽くまでも、無抵抗であり、優しい信仰者としての分さえ守れば、チベット族は救われる、と信じた温かい判断であったと思う。

だが、その後の半世紀の結果が、去る三月上旬の争乱で露呈された。

 ダライ・ラマは、今回、悲鳴に似た姿で欧米を行脚して、祖国の悲劇と、中国の非道を訴え続けた。しかし、中国の胡錦濤政権は、チベット族に対して、強圧と逮捕者を増し、寺院の破壊を拡げるのみである。

仏の説く経典の教えに背けば、天変、地異の七難が必ず起こる。仁王経、薬師経、金光明経、法華経、等々の文例を引用して、時の執権者北条幕府に、施政の悪化と、人心の混乱を正せ、と進言したのが、日蓮上人の立正安国論である。今を去る七百五十年前のこと。

現に中国には、大地震が続発し、黄河の水は涸れて田へ水が届かず、農業は不作となり、飢饉が迫り、時ならぬ春に大雪となり、インフルエンザの流行、まして毒餃子等の有毒食品は、全世界に不信を拡げた。そして大洪水と、既に七難のうち五つの難が続発している。
それでも中国の暴政は天の怒りに背いて恥じない。

「胡錦濤政権よ、北京オリンピックと上海万博が、世界の大切な人類共生のイベントと悟るならば、本来の精神に立ち戻った施政者になるべきだ。チベット族のみならず、中国の人民は、あなたの悪政に泣いている、それを改める為に、私は命を捧げて祖国へ帰る」。
そう宣言し、行動されるのが活仏と尊崇されるダライ・ラマ十四世の使命である。

仏教徒は大自然の為せるわざ、即ち天変地異、それを仏の裁きと信じている。既に支!)大陸は、その兆候の大半が現れつつある。信仰者にとっては、この悲惨な現象は見過ごす事が出来ない。信仰者の為し得ることは、魂を揺り動かし、それが天即ち仏を動かし、結果として、政治を変革せしめるためだと、行動で示して欲しい。

神も仏も信じない、独善と偽善によって勝ち得た胡錦濤政権は、反省すらしないし、まして、敵視しているから、真の仏法など認めないであろう。しかし、それでもなおチベット族を守り、生き仏として、釈尊の真の弟子を自負されるならば、ダライ・ラマ十四世は、身を賭してチベットのラサに戻り、「チベットの独立」を宣言すべきだ。

それでも中国政権が反省せず、悪逆を続ければ、次には内乱(自壊叛逆)、そして戦争(他国侵!))が起こると仏典に示されている。胡錦濤は、それを覚悟の上かと進言すべきだ。
チベット及び中国を真の姿に戻す使命は、「活仏」と崇められているダライ・ラマ十四世の行動にかかっている。

眼前に控えている北京オリンピックも、次に控えている上海万博も、世界人類共生の祭典である。その魂を踏みにじっていては、神も仏も許すはずはない。
中国の誤った政権に対して、次々に襲来する天の裁き、即ち「天変地異」を軽視するなと大自然は警告している。

この上は、まず活仏と崇められているダライ・ラマ十四世が、今までの考えから一歩進め、中国政権の実体を考慮し、身を捨てて独立を宣言し、首都ラサに戻るべきである。
今を去る七百五十年前、日本の国難とされた文永・弘安の両役を乗り越えることの出来たのは、その裏で、日蓮上人の、身を捨てての、政府への挑戦があった。

一度は龍ノ口での死罪となったが、英邁な執権北条時宗の反省と指導によって、元寇の役と呼ぶ国難を救うことが出来た。

「国亡び人滅せば、誰か仏を崇むべき、誰か仏法を信ずべけんや」
「先ず国家を祈って仏法を立つべし」これが日蓮の「立正安国論」の真意であった。
万一、ダライ・ラマ十四世が、その行動によって逮捕されたり、身の危険が迫ったとすれば、仏は決して「活仏」を見捨てない。

まして世界の良識は「活仏」を救わずにはおかないであろう。
中国の胡錦濤政権は、北京オリンピックや、上海万博を捨ててまでしても、チベットとダライ・ラマを圧殺するだろうか。若しその時、なお叛逆するなれば、必ず内乱が来るぞと「活仏」は開き直るべきだ。それが経典に示されている「自壊叛逆」の難である。
中国ではそれを「易姓改革」と呼ぶ。

中国の政治思想では、徳のある人が、暴君を廃して首位につくのは天命であると云う。
政権の虐殺によって、此の身が死すれば、「糞をもって黄金に代るもの」だと、鎌倉幕府に挑戦した「日蓮の覚悟」が、結果として、日本国を救うことになった、一因と言われる(弘安の役で神風を招き蒙古等が全滅した)。

a.仏教信仰者のあるべき魂 
b. 信仰者は政治との関わりと在り方 
c. 中国政権に対処する道とは、如何にすることか 
d. 人類の文化と政治に、大自然はどう反応するか、人間は大自然の中に生かされている
一仏教徒として、日本の国政に関わった経験から、右の四点について考え一文を草した。

塚本三郎;                
愛知県名古屋市に生まれる 
鉄道省名古屋鉄道局に勤務し、県立中学校(夜間)に入学 
終戦とともに労働組合運動に従事 
運輸省に転勤し、中央大学法学部(夜間)に入学 
国鉄を退職し、中央大学法学部卒業 
昭和 33年 挑戦4回目にして初当選し、昭和生まれ初の代議士
(日本社会党所属)となる(以後当選10回) 
昭和 35年 民社党結党に参加 
昭和 49年 民社党書記長に就任(国鉄改革・電電公社民営化に取組む) 
昭和 60年 民社党中央執行委員長に就任 
平成 元年 民社党常任顧問に就任 
平成 9年 「勲一等旭日大綬章」を受章 
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◎西村真悟の時事通信No.348 平成20年 6月 2日(月) 
 クラスター爆弾禁止条約
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 クラスター爆弾を全面的に禁止する条約が採決された。
5月31日の報道によると、我が国は当初難色を示していたが、福田首相の政治判断で条約案への同意を決めたという。
 その数日前に、東京の中野サンプラザで開かれた講演会で、クラスター爆弾の廃止についてどう思うかとの質問を受けた。
私は、明確に全面禁止条約に署名すべきではないと答えた。
 とは言え、首相の「政治判断」で署名されたので、報道機関の解説とは別に、以下私の観点からコメントしておきたい。

 まず第一に思い至ったのは、クラスター爆弾禁止条約推進の国際的動きと、国内の署名に至るプロセスとも、九年前の対人地雷禁止条約締結の時とよく似ているということである。
 まず国際的な動きの共通点は、第一に、両条約共に子供などの非戦闘員の被害を防ごうとする人道的観点から有志国と国際的NGOにより推進されていることである。
 国際的な第二の共通点は、我が国周辺諸国、つまり、アメリカ、中国、ロシア等は共に両条約に参加していないことである。
 
 また、国内的な共通点は、首相の「政治判断」によって署名された、という点である。しかも、その判断をした首相であるが、共に百歩譲って奇妙な発言(譲らなければアホな発言)をしている。アホとは言い過ぎであれば、唖然とするほど国防を牧歌的に考えすぎている、といえる。
 まず、対人地雷禁止条約に関する故橋本総理と記者との会話。地雷を海岸線に敷設しなければ敵が簡単に上陸してくるのではないか、と記者から尋ねられて、橋本総理は次のように答える。
「君、日本の海岸には海水浴客がいるんだよ、地雷など敷設できなじゃないか」。
(たぶん、敵の全面に水着を着た女性がいっぱい遊んでいる湘南海岸が頭をよぎったのであろう。今は亡き愛すべき橋本さんの顔が目に浮かぶ)
 次に、クラスター爆弾に関する福田総理の発言であるが、子爆弾を見せられて、「これが、ひらひら空から落ちてくるの?」。
(この発言についてはあんぐり口を開けるだけでコメント不能。これが最高指揮官の発言なのであるから、自衛隊の士気を維持できるのであろうかと心配である)
 これら総理の発言から伺えるのは、二人とも、我が国「国防」の基本的戦略戦術の観点から、対人地雷保有の意義、クラスター爆弾保有の意義を得心した上で、敢えて廃棄の「政治判断」をしたのではないであろう、ということである。言うまでもなく、総理大臣は国防の最高責任者であるのだが。

 次に、国際社会の中で「人道」を掲げてイニシアティブをとる動きについて、対人地雷禁止条約(オタワ・プロセス)の際の背景を次の通り指摘しておきたい。似たり寄ったりだから、クラスター爆弾廃止条約(オスロ・プロセス)の背景分析の参考になると思う。
 まず、旧ユーゴスラビアに展開したカナダのPKO部隊が現地の女性に対して集団暴行を加えるという不祥事を起こす。カナダ政府は直ちに部隊を本国に召還して解散する。その後、此の不祥事によって失墜した国際的評価を挽回するために、カナダ政府はカンボジアなどで子供の被害が続いている対人地雷の全面禁止条約の旗を掲げる。これが「人道的な」オタワ・プロセスの始まりである。
 此の時、カンボジアなどに埋設された地雷による子供たちの被害が世界中の同情を集め、英国皇太子妃のダイアナさんなども盛んに地雷除去に取り組んでいることが報道されていた。
(もっとも、地雷よりも交通事故によって死傷する子供の数の方が圧倒的に多いのであるが自動車廃止条約の動きはなかった)
 
 ところで、此の対人地雷禁止条約では、地雷の除去義務は地雷を敷設した国にではなく、地雷が敷設されている国にある。
 そこで、現在もっとも多くの地雷が敷設されている地域は何処かと探すと、それはエジプトの西方エルアラメイン地域で、敷設した国はイギリスであった。ここは、第二次世界大戦におけるドイツ軍とイギリス軍の激戦地であり、ここにイギリスは数千万発の地雷を敷設したまま現在に至るも放置しているのである。これは、カンボジアとは文字通り桁違いの多くの地雷である。ここで地雷の事故が起こらないのは、危険すぎて人が住めないからである。この意味では、人が住めるから時々事故が起こるカンボジアの方が牧歌的といえる。
 そして、イギリスは、この条約に署名することによって、敷設した膨大な地雷除去の義務から解放されたのである。

 確かに、戦闘が終わり平和が訪れてから埋設された地雷(主にカンボジア)やクラスター爆弾(主に旧ユーゴ)によって、子供や民間人が死傷することを防がねばならない。
これを防ぐために一番手っ取り早い方法は、その兵器を無くすことである。交通事故を無くすには、世界中で自動車を全面廃棄すればよいのと同じである。
 しかしながら、この人道主義の理想に従うだけでは、国防は成り立たない。国防不能となれば、そもそも人道主義が成り立たない。
「国防は最大の福祉である」からだ。
 
 クラスター爆弾が無くなっても当面、国防上の脅威を感じない北欧やイギリス、フランスそしてイタリアなどの諸国とは我が国の位置が違う。既に述べたように、我が国の周辺国はすべてクラスター爆弾も対人地雷も保有し続けているのである。ついでに言うなら、生物化学兵器も造り続けている。
 従って、現在の時点において、我が国だけが地雷に続いてクラスター爆弾も放棄して、どうして国防が成り立つのであろうか。
 また、我が国国防の柱は、日米同盟による日米両軍の共同対処であるが、果たして対人地雷もクラスター爆弾も無い日本軍(自衛隊)との共同戦闘行動をアメリカ軍が行うであろうか。
 地雷やクラスターがあれば出なくてもよい死傷者がアメリカ軍兵士にでれば、その時点で日米共同対処の体勢は崩壊するであろう。つまり、日米同盟解消である。何故なら、亡くなったアメリカ軍兵士の母親や家族を擁するアメリカの世論が、日本のために自分たちの子供が戦うことを拒否するからである。

 さて、九年前に発効した対人地雷禁止条約の国会における承認に関しては、衆議院では西村眞悟、参議院では故田村秀昭議員の合計二名が反対した。あとは、全会一致の承認であった。
 この度のクラスター爆弾禁止条約の国会承認に関する私の態度は決まっているが、自民・民主という各党はどうするのであろうか。こういう、国防という問題で、内部の議論を押さえ込んで今回も地雷の時のように「全会一致」の賛成なら、この思考停止の政治体制自体が既に我が国の危機であり、我が国危うしである。国家再興の為に、政界再編が不可欠である。 

                                    (了)
注:西村真悟事務所の了解を得て転載するものである。
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◎『中国新聞』連載コラム
「今を読む:裁判員制度は家族の問題」  池内ひろ美著
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「まったく、なんでこんなことを始めるんでしょうね」。初老の男性が 
ため息をついた。来年五月に始まる裁判員制度のこと。来所したのは夫 
婦関係の相談のためだが、裁判員制度へのスタンスでも夫婦喧嘩になっ 
たという。
「妻は、人を裁くのなんか嫌、行かないですむ方法を考えろって。私 
だって凶悪犯を見るのは怖いから参加したくない。でも、無茶でしょ 
う?」
 確かに無茶な話だ。選ばれたら、嫌だから怖いからと拒否はできな 
い。七十歳以上なら辞退できるが、この男性は六十七歳。正当な理由な 
く呼び出しに応じなければ十万円以下の過料を払わなければならない。
 父母の葬式は正当な辞退理由となるが、兄弟やいとこでは駄目。男性 
のご両親はすでに鬼籍にある。国会議員や自衛官、警察、弁護士は裁判 
員になれないが、彼は民間企業の役員。裁判員になる資格がある。
 男性とその妻のような人々は多い。四月、最高裁が発表した全国意識 
調査では、八割以上が「参加したくない」と回答。それに、裁判を忌避 
するのは洋の東西を問わない。アメリカでも陪審員に選ばれない方法を 
書いた本がロングセラーだ。
 少なくとも日本の場合、忌避の感覚は「面倒だから」ではないと思 
う。日本の裁判員制度は陪審制とまったく異なるのだ。有罪か無罪かだ 
けでなく、量刑もみずから判断する。死刑か、それとも無期懲役かとい 
う、究極の判断まで迫られることがあるのだ。最高裁の調査に、四分の 
三が「被告の運命を決めるため責任を重く感じる」と答えたのも納得で 
きる。
 ひとたび裁判員となり公判や評議に出ると、少なくとも数日間拘束さ 
れる。しかし、私がこだわるのは法律論ではなく、家族に「秘密」を抱 
えなければならない点だ。刑事裁判制度としての問題は法律家がさまざ 
まに提起しているが、私は家族問題の専門家として、ここで反対を唱え 
ざるをえない。
 裁判で話し合われたことは生涯他言してはならない。もしもしゃべっ 
たら六月以下の懲役か五十万円以下の罰金に処せられる可能性がある。 
これはいわゆる「前科がつく」ということだ。
 かりに夫が裁判員となったら、彼は「人を裁く」ことに大きなストレ 
スを抱えるだろう。扱うのは、殺人や放火といった非日常の世界にある 
凶悪事件なのだから。
 負担を軽くしてあげたいと、妻は夫の胸の内を聞く。話を聞くことで 
ストレスを解消してあげるのは、家族にできる大切なことだ。しかし、 
それが罪に問われるのだ。優しい気持ちで尋ねてあげたばかりに、夫に 
は前科がつき、妻は共犯者とされるかもしれない。
 これは夫婦だけの問題ではない。たとえば、連続女性暴行殺人事件の 
裁判員に若いお嬢さんが選ばれたとしよう。彼女はむごたらしい殺害現 
場の証拠写真を見なければならないだろう。そのショックはいかばかり 
だろう。母親は傷ついた様子の娘にどう対処したらいいのか。しかも、 
娘はなぜ傷ついたのかさえ明かせないのだ。
 心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負う可能性を考え、国は裁判 
員への「心のケア」を予定している、という。だがそれは違うのではな 
いか。多大なストレスを抱えるという前提で、なぜ家族を送りださなけ 
ればならないのか。
 私の娘も今年二十歳。裁判員に選ばれる資格を得てしまう。一人の母 
親としての立場から、あるいは家族問題の専門家の立場からも、裁判員 
制度が施行されないことを望んでいる。そうでなくても夫婦のきずなが 
問われ、家族が壊れやすい時代を迎えているのに、家族の間で秘密を持 
てと国から強制されるのは、とうてい納得できない。
 六月十三日、日比谷公会堂で二千人規模の「裁判員制度はいらない! 
 全国集会」が開かれる。今まで市民運動に関わってこなかった私だ 
が、この集会には出席し、壇上で発言する。裁判員制度は法律だけでな 
く家族の問題でもあるからだ。お一人お一人が、自分と家族の問題とし 
て考えてほしい。 
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◎6月13日の日比谷公会堂の「裁判員制度はいらない!全国集会」に集合せよ!
詳細はこれ→http://no-saiban-in.org/index.html
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1.奥山篤信  公演中の「RIVERDANCE」にみるアイルランド民族の誇り
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昨年僕はアイルランドを訪問し、ダブリン、その近郊、そして英領ベルファストまで足をのばした。市内を南北に分けるリフィ河のたもとにアイリッシュ・バーがありそこでアイリッシュ・ダンスを始めて観た。その時の興奮は忘れられず、今回東京での公演を目ざとく見つけ鑑賞した。

アイルランドはジャガイモ飢饉以来アメリカ大陸、オーストラリア、欧州などに大量の移民を提供した、いわば貧困の歴史がある。それと何よりもイングランドとの怨念の歴史的対立がある。それはカトリックとプロテスタンの宗教対立に集約されるが、その戦いを巧妙にアイルランドに持ち込んだ英国の謀略は同じアイルランド民族内の血なまぐさい殺戮の歴史を、今現在は休戦しているとはいえ、いつ再噴火するか分からない憎悪の歴史を、刻ませてきた。

いまやアイルランドの経済成長は外資企業・多国籍企業や輸出が寄与するところが大きいが、目をみはるものがある。ユーロ圏の中でアイルランドの首都ダブリンは22番目に物価の高い都市であり、EUの中でルクセンブルクに次いで人口あたりGDPが大きい国であり、これは世界においても4位に位置している。いまやアイルランドは移民輸出国ではない。英領べルファストとダブリンを比べた場合、ダブリンの方がはるかに裕福であること、かっての内戦時代と逆になっていることを昨年感じたものである。

さてこのアイリッシュ・ダンスであるが、上半身を直立させ足だけでステップを踏み、そのリズミカルな靴のタップ音がなんともいえない魅力を醸し出す。一人だけ、あるいはペアーそしてマスでのダンスはどこか人間の頭脳の感性の部分を刺激するアドレナリン作用があり、観ていて気持ちが高揚するのは僕だけではないだろう。「RIVERDANCE」という集団が1994年爾来世界的興行を行い成功を収めている。世界的に売れるものとするために、アイリッシュ・ダンスのいろいろな変形とともに、アメリカの黒人のタップ・ダンス、スペインのフラメンコ舞踊、それにロシアのコサック舞踊などもセットとして組み込んでいる。

もともとこの足だけで踊るアイリッシュ・ダンスはイングランドに弾圧されているアイルランド人が足の動きだけでそのアイルランド民族のアイデンティティを語った歴史的背景があると言われている。貧困の祖国を離れて、移民という形で世界に散らばって行った苦難の民族にとって、この踊りは祖国愛を意味したのであろう。あの「タイタニック」でアイルランド移民が隔離された三等船室でアイリッシュ・ダンスを踊る場面があったかと思うが、まさに民族の象徴である。そして黒人、スペイン、ロシアの舞踊を取り入れた意味合いとは、移民という形で世界に寄与したアイルランド人の自負と感謝のうえに、他国文化への敬意の印の意味合いがあると確信する。
だがフィナーレにラインダンスでアイリッシュ・ダンスの盛り上がりを作り、観客に、ロシアやスペイン舞踊と比較にならないほど断トツのリズム感とフォルムの美しさ、さらにはケルト文明の神秘さを伝えるしたたかさもあることを見逃してはなるまい。

全国公演がある予定で是非一見の価値あり。
http://eplus.jp/sys/web/s/riverdance08/index.html#jpspecialtop

奥山篤信:
京都大学工学部建築学科卒
東京大学経済学部卒
三菱商事本社入社
6年余にわたる米国三菱ニューヨーク本店勤務を経て
平成12年退社 
平河総合戦略研究所代表理事
映画評論家 著書 「超・映画評 愛と暴力の行方」扶桑社
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2.松永太郎   あまりにもひどいNHK報道
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 毎晩やっている、NHKの9時からのニュースをご覧になっている方が、どのくらいおられるのか知らないが、この番組を見ると、視聴料を絶対に払いたくなくなるので、ぜひ、一度、ご覧になるのをお勧めしたい。

 「皆様のNHK」は、視聴料で成り立っているそうである。その「皆様のNHK」は、報道にもっとも力を入れているそうである。報道にもっとも力を入れている、ということは、ニュース番組の制作にも力を入れている、という意味だろう。力を入れている番組の見本が、9時からのニュースだとすると、NHKは、最低のTV局である。民間放送のTV朝日、日本TVのいずれにも取材内容で劣っており、BBCはもちろんのこと、CNNやNBCにもはるかに劣るからである。

 いい例が、今度の中国の地震報道である。TV朝日でさえ、2日後くらいには特派員が現地に入った。NHKは、「現地にはじめて入る!」と大きなキャプションをつけた映像を流している。震源地にしては、静かできれいな画面だと思っていると、隅っこに小さく「2年前に撮影したものです」と書いてある。これでは、客に食べ残しの料理を出していた「吉兆」と変わるところはない。「私たちは何を信じたらいいんでしょう!」(笑)。
 
NHKの中国地震報道は、ほとんどが右下に見慣れない中国漢字が、左上にはCCTVの文字が入る。つまりは、自分たちで撮影したものではなく、チャイナの放送局すなわち共産党政府の御用宣伝機関の映像を、大枚をはたいて買ってきて、そのまま流しているのである。毎晩、毎晩、美談ばかし。学校に埋まっていた子供たちは、72時間もたたないうちに見捨てたくせに、人民解放軍(!)は、何時間かかっても助けましたあ! 私はきっと誰かが助けに来ると信じてましたあ!という偽りの美談でなければ、親が子供を捜しているというような人情モノ(通常、ほかに何のネタもないときにやるもの)であり、自分たち独自で取材したり、発見したものはほとんどない。要するに取材力がゼロなのである。

新華社日本支局・朝日新聞傘下のTV朝日でさえ、チャイナの「核物質(ってなんでしょうか?)」がなくなったとかなくしたとかいうことを伝え、このときの新華社日本支局員であられる加藤千洋の顔は見ものであったが、NHKはまったく何の報道もしない。中国様が核を持っているなんて報道はとんでもないというわけだろう。残念だけど、みんな知っているよ。

その一方では、水着がどうしたとかを20分ぐらい、やる。「皆様のNHK」がベイジンのオリンピックを、いかに楽しみにしているのかよくわかる(それにしても、この水泳連盟のおじさんたちって何をして食っているのか)。もう頭はオリンピックのことでいっぱいなのだ。9時からのニュースでは、スポーツになると急にはしゃぎだす。それ専門の元スポーツアナウンサーの女性をキャスターにもってきて、目いっぱい、はしゃがせようという魂胆だったが、あいにくチャイナは、ひどいニュースばっかりで、はしゃぐこともままならず、ご愁傷様である。隣に座っている男性は、アナウンサーとか報道をしているのは何かの間違いのようなタイプの人である。「一日の早い救援が望まれます」と主語不明の意味のない日本語を毎晩のようにつぶやくのである。日本語もちゃんと話すことができないのである。
長野のひどい有様は、もちろん一言も伝えなかった。おかげさまで、私たち国民の皆様は、長野が一時的にチャイナの支配下にあった、という日本の歴史上、画期的なことを知らされなかったのである。

というわけで、NHKの報道はひどすぎる。そのくせ、左巻きの教育放送や、スポーツ中継のほかには用もないBSなどたくさんの電波を持ち、天下り用の下請け会社も持ち、勤務時間中に株のインサイダー取引をしても、ぜんぜんかまわないよ、という信じられない特権を有しているのだ。これで腐敗しないほうがどうかしている。まったく存在意義のない「放送局」である。

松永太郎;
東京都出身 
翻訳家、多摩美術大学講師、レモン画翠社長
主訳書「進化の構造」「イカロスの飛行」他。
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◎関西零細企業経営のオッサン 悔し涙を流すの記 (12)      
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イザベラバードは18世紀の英国人女性旅行家であるが、彼女の旅した軌跡をたどってみると先ず誰でも、あの時代に本当か、ホラ男爵の冒険旅行じゃないのか、と疑ってかかるに違いない。
当時の日本がどれ程旅行者にとって困難な環境であり道路事情であったかと想像できる人は明治維新後間もない奥日本、北海道、西日本さらには朝鮮、満州、清国奥地を、西洋人の然も女性が現地調達の従卒数名(時にはたった1名)のみ道連れに歩き廻った事が信じられない筈だ。
彼女は全ての行程を詳細な旅行記に記録しており、その動物、植物、鉱物、美術等目や耳にする物全てへの細かい観察力と博識には驚かされる。また彼女は限られた旅装の中に多量の撮影機材、フイルム、おまけに簡単な現像装置まで携えており、当時の貴重な写真を沢山残している。

僕はたった今彼女の「朝鮮紀行」(講談社学術文庫)を読み終えたばかりであるが、たかが100年余り前の話と思いきや、その内容の新鮮さに最後まで引込まれた。
彼女が朝鮮を訪れたのは1894年62歳の時であり、其の後3年余り4度に亙り各地を旅行している。丁度日清戦争が始まり、李朝末期の混迷期でもあった。日本が朝鮮に存在を濃くし始めた時期である。当時朝鮮在住の数少ない外国人として、彼女は日本公使大鳥圭介、井上薫や其の後継者で閔妃暗殺の首謀者三浦梧楼、其の又後継者小村寿太郎などとも面識があったらしく彼等のなまの人物評が出てくるのも面白い。

それは兎も角、僕が彼女から始めて知った当時の朝鮮に関し、次の興味深いものがある。
・都市も含め朝鮮全土に亙り虎が出没し住民は夜間の外出を極端に恐れていた事。
・高級官僚、両班の腐敗は極限状態にあり、少しでも財産があると思われると彼等の搾取略奪の対象となる為、一般民衆には労働、勤勉の意欲が全く失われていた事。
・其のせいか官庁のある街は例外なく他よりも更にすさんでいた事。
・集落は何れも貧しく、庭や街路はぬかるみ、汚物やゴミであふれ、これ以上の不潔は無いと言われていた清朝北京を更に上回る状態であった事。
・然しロシア領内に移住した朝鮮人地区は非常に豊かで住宅も清潔に保たれており、不潔、怠惰は朝鮮人の特質でなく前述の度を越した官僚腐敗に原因があると考察出来る事。
・朝鮮独立を主導した日本の官僚、軍人は非常な誠意を以って朝鮮国の腐敗を取除き近代的制度を作る為の努力をしていた事。
・各地に配備された日本兵は規律正しく騒ぎを起こさず、物を手に入れる際必ず正当な現金を支払い、現地人との接触にも朝鮮人の尊厳を傷つけぬよう十分注意を払っていたこと。
・それでも朝鮮人は3世紀前に受けた侵略のトラウマを引継いでおり、日本人に激しい嫌悪感を抱いており、どちらかと言えば宗主国である清国人には親しみを抱いている事。

其の為、外国人即ち日本人として理解され各地で彼女が宿を頼んでも断られる事が頻繁であった事。
・王宮クーデター後、朝鮮独自の信頼できる軍隊が育つまで日本軍が王宮を占拠し事態を収拾するよう各国公使が勧めたにも拘らず、然もロシア公使が最もそれを強く勧めたにも拘らず、日本政府は国王の身の安全を守る為とは言え王宮占拠は前述の国民感情からして深刻な誤解を招きかねないと介入を避けた為、結局後にロシアが朝鮮に対して圧倒的影響力を持つような事態になった事。

まだまだ挙げればキリがないほど僕にとって新鮮な事柄が彼女の朝鮮紀行には書き残されていて興味は尽きない。しかも彼女の文物に対する正確な描写や観察力には感心させられているだけに僕にこれ等の記述は十分説得力がある。
で、なにわのオッサン一体何に涙しとんのや、と野次が飛びそうだが、この歳になってバード女史に色々教えられ目から鱗が落ちている自分に涙しているのであります。
了 2008.06.05
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◎投稿 シナ人留学生に騙された(実話をもとに一郎と花子の対話形式とした)
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花子:何浮かぬ顔してはるん?

一郎:踏んだり蹴ったりや!わしが育ててきたマオ(シナ人留学生)の野郎夜逃げしやがって、ゴミ箱に布団と鍋がほってあったわ。

花子:一体なんやのん?詳しく話して!

一郎:いやはや騙される方が悪いといえば悪いんやがなあ!今IT技術者不足してるやろ。そいで4年くらい前か、マオって奴をバイトで会社に雇ってプログラムさせとったんや。こいつなかなか筋がよくて、なんとか電子学院っていう日本の専門学校出とってなあ。
そいで勉強したゆうて、国立地方大学の修士課程に行く時、入学論文を作ってやったんや。それに色々アパートやら借りんとあかんゆうて金貸したんや!

花子;うっそお!シナ人に金貸した?貸す方が悪いわ!

一郎:そやけどこいつを一流にして会社で頑張ってもらおうと親心でなあ。わしも子供おらへんからなんやら情が移ってしもたんや。そいで在学中には月々お小遣いまで渡してたんや。

花子:なんぼくらいつぎ込みはったん?

一郎:お恥ずかしいことに600万円くらい貸してるわ。あげたもんはしゃないとしてもなあ。そいで卒論までワシが作って無事卒業しよってなあ。

花子:そいで会社に引き取ったん?

一郎:ところがなあこいつに連絡とろうと思って電話してもかからへん。留守電やあ。そいでワシアパートまで行ったんや!そしたら呼び鈴押しても出てこやへんわ。そやから警察呼んで、なかで自殺してるかもしれんゆうて鍵開けさせようとおもったんやけど真夜中で、明日の朝にしなはれゆうから一晩まってなあ。

花子:ほんまひとのええ一郎さん変わらんなあ!

一郎:そいで鍵開けて警察とはいったらもぬけの殻。夜逃げやああ!そいで警察もシナ人と聞いて長野と同様シナ人様さまでなんもやってくれへん。逃げの一手。そやからもうワシの好意を踏みにじった、恩を仇で返したこのシナ人徹底的に締め上げてやろうと思って弁護士と相談してるんや。

花子:無い袖はふれへんから泣き寝入りちゃうんかあ?弁護士費用がまた100万円以上かかってまうわ。

一郎:こうなったらあのシナ野郎を豚箱にぶち込むまでたたきのめしてやるよ。そうでなければ日本人はシナ人に泣き寝入りということになりますますゴキブリみたいなシナ人が日本に繁殖するからなあ。ワシはやるからなあ!

花子:一郎さんえらいわあ!

一郎:このシナ野郎今度は博士課程を狙っているに違いないので、こいつのやったことを全部暴露して主要大学にばらまいてやる!

花子:日本でやりたい放題、犯罪までやって技術は盗み、捕まえても刑務所の食事の方がシナにいるよりええからのさばる。まさにゴキブリとおないやんかあ!シナ人にビザなしって一体政府や官僚の馬鹿ども!こいつらに参政権とんでもないわよ!

一郎:それにシナ人を受け入れている大学研究室あるやろ。全部ノウハウをコピーされて持ち帰り蒸発やあ。やりたい放題でっせ。いったい何時になったら日本はスパイ防止法案作ってスパイを極刑にできるようになるんやあ!
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◎月刊ビジネス情報誌「エルネオス」6月号
URL:http://www.elneos.co.jp/
巻頭言[宮脇磊介の賢者に備えあり]
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「賢い国」づくりが日本の方途

 冷戦が終結し、グローバル化がIT革命により加速されて進展している。各国の国益と思惑が錯綜する中で、国際競争力が、国家、企業そして個人の生存に厳しく問われる大競争時代である。しかるに日本は、OECD加盟三十カ国中、国民一人当たりのGDPは十八位、世界経済フォーラムの調査で情報技術の国際競争力は十九位、また別の調査では労働生産性十六位など、各種の調査結果は日本の競争力の顕著な低落傾向を示している。
 元凶は二つ指摘できよう。一つはゆとり教育や悪平等を主張するイデオロギーであり、もう一つは改革を阻む抵抗勢力である。前者についてはやや改善の兆しが見られるが、後者についてはむしろ勢いを強めており、成長路線から既得権益擁護への逆行による日本の政治経済の劣化は、海外メディアからJAPAiN(ジャペイン)と名付けられた。
 国際競争力は世界共通のテーマだが、天然資源に乏しい日本としては、長期的な安定と繁栄を享受するために格別の努力が必要である。一つには、高度の付加価値を創出する「科学技術立国」であろう。それは知恵の結晶にほかならない。それに加え、グローバル化により、優れて洗練された賢さを海外に示すことがより強く求められるようになって、「インテリジェンス(知恵を働かせる賢い)立国」すなわち、知恵を資源とした、信頼され尊敬される国づくりが、日本の目指す方途でなければならなくなったのだ。どこの国の人々から見ても魅力のある国づくりである。
「インテリジェンス立国」とはいえ、核兵器を保有しているとされ、暗殺で高名な秘密機関モザドが活躍する、ハードパワーのイスラエルは、目指すべきモデルではない。ノーベル賞という人類の知恵を評価して発出したり、戦略的思考の頂点をゆく研究機関を有するスウェーデンが、日本にとっての有力な国家モデルであり、それを上まわるソフトパワーを目指すことが日本の方途であろう。
 日本の現状はどうか。まるで正反対に、知恵のなさ、知的水準の低さが海外から指摘されている。かつてはナイーブ(物事がわかっていないで無邪気でいられる)といわれていた日本人だが、イノベイティブな能力のひとかけらもないのに日本の社会では高い地位を得ている大銀行のトップなどは、インコンピタント(手のつけられない無能な)と烙印を押されている。政治家とジャーナリズムの内向きな狂騒と、それに無邪気に振り回される一般国民の姿にも、また、連日のように頻発する凶悪異常な犯罪の原因にも、知的水準の低下が如実に表れている。
 知的水準を高め、知恵を働かせる賢い人間にするには、どうしたらよいのであろうか。
 最も肝要なポイントは、己の実力を知り、自ら考える力を高めることにある。知恵を働かそうとしても、誰もがすぐに知恵の働く人間にはなれない。いかなるゲームや武芸にも、下から上まで実力には大きな格差があり、実力を向上させて上位に至るのには容易ならざる努力が要る。物事を理解する能力や、知恵を働かせる能力を高めるにも、一人ひとりの日常不断の研鑽が欠かせない。その基本は、不確かな情報を鵜呑みにせず、自分の頭で物事を考えることに尽きるのだ。テレビのコメンテーターの浅薄な弁舌に一喜一憂したり、イデオロギーの思惑を隠した一部新聞の情緒的な歪曲誇張記事に他愛なく怒りを燃やして投票行動に走ったりする、愚かな己の姿に一刻も早く気付くことである。
 グローバル化を速める大競争時代の今、一日も早く内向きで縮みゆく日本から脱却を果たそう。それは、日本国民一人ひとりの自覚と、知恵を磨く努力にかかっている。
(初代内閣広報官)
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