弘前大学付属病院への高度救命救急センター設置を求める動きが活発化している。弘前大学は18日、同センター設置などを盛り込んだ2009年度概算要求を、文部科学省に提出した。一方、弘前市は県への最重点要望事項に位置付ける考えを表明。民間レベルでも早期実現を訴えるNPO法人が、25日に設立される予定で、地域を挙げた要望活動へと広がりを見せている。

 弘前大学は、地域に貢献できる救急医療体制の充実、救急医の養成、ひいては医師確保にもつながるとして、昨年から、高度救命救急センターの設置を文科省に求めてきた。
 来年度概算要求では、同センターの建物本体のほか、搬送される重篤患者の診察や治療に必要なシステムの整備を求めた。
 一方、市は18日、市議会6月定例会一般質問に対する答弁で、同センターについて「2次輪番制参加病院の負担軽減など、多大な効果が期待される」と強調。
 設置には県の保健医療計画に盛り込まれる必要があり、計画案の公表を待って市のかかわり方を検討すると同時に、県への最重点要望事項に位置付ける考えを示した。
 このほか市民レベルでは、昨年8月に発足した市民団体「津軽地域の救急医療を考える市民フォーラム」(堀川永一郎会長)が母体となり、NPO法人「津軽広域救急支援機構」の設立準備が進められている。
 同フォーラムはこれまで、津軽地域の救急医療の現状について理解を深め、昨年10月には高度救命救急センターの必要性を訴え、約4万人分の署名を県に提出した。
 NPO法人設立後には、基金の創設をはじめ市民への啓発活動、講習会などを行う予定だ。
 設立発起人の一人である渋谷亨さんは「署名活動のかいがあり、センター設置が現実味を帯びてきた。早期実現のため民間からも手助けしていきたい」と話している。