厚生労働省は18日、今後の医療政策の方向性を示した「安心と希望の医療確保ビジョン」をまとめた。医師数を増やすため医学部定員削減の方針転換を打ち出したほか、多様な勤務形態の導入や医師不足の顕在化を招く一因になった臨床研修制度の見直しを掲げた。
医学部の定員増は、医師不足対策として長期的には効果があるが、即効性はない。そこでビジョンは、医師の勤務環境の改善やチーム医療の充実が必要と指摘。具体策として▽女性医師の出産・育児に配慮した「短時間正社員制度」の導入▽週のうち数日を地方病院で勤務する非常勤医師の活用▽メディカルクラーク(医師事務補助者)や医師と患者の仲立ちをする人材の育成--などを挙げた。
また、地域医療を守るため、都市部に人気が集中しがちな臨床研修について、受け入れ制限を設ける方向で見直す。救急患者の搬送で、重症度に応じ地域内で病院を振り分ける管制塔機能を持った病院も整備する。【清水健二】
毎日新聞 2008年6月19日 東京朝刊