ホーム > きょうの時鐘


2008年6月19日

 耐震基準は悩ましい問題である。最初から震度7以上の基準を作ればいいかと言えば、そうではない

ビルや家屋は安全性と快適さと経済効率が絡む。軍事施設のような頑強な建物ばかりになるのは困る。景観や快適さの問題以上に、コストがかかり過ぎると逆に工事が進まず、いつまでたっても地震に強い街はできないという。要はバランスだ

では、校舎はどうか。岩手・宮城内陸地震でも学校が破損し、土曜日で被害は免れたが平日なら大変だったと指摘されている。四川大地震の校舎崩壊を連想した人もいただろう。が、手抜き工事の中国と同一視はできまい

日本の課題は、学校耐震化が関東東海など大地震発生の恐れが強い地域に偏っていることにある。北陸も能登半島地震までは切実感に欠けていたのだろう、耐震化率はよくなかった。列島に安全な場所がない以上、この偏りは危険だ

原発ばかりではなく、学校や病院にも目を向けたい。点検を忘れず、弱い所を補強するのは、防災効果だけではない。バランスのいい安定した郷土をつくる「社会的コスト」を身近に考えることになると思う。


ホームへ