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がけっぷち犬、家出していた 保護され心の訓練中

2008年6月16日19時19分

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写真獣医師の城万里さんと午後の散歩を楽しむリンリン=徳島県神山町の県動物愛護管理センター写真保護用のネットにダイビングする「がけっぷち犬」=06年11月22日、徳島市加茂名町

 徳島市の眉山(びざん)中腹で立ち往生していたところを救出され全国的な人気者になった「がけっぷち犬」が、引き取られた飼い主のもとから「家出」した。3週間余り野外で暮らし、再び野良犬になりかけていたが、保健所が捕獲。人との信頼関係を深められるように改めて特訓を積んでいる。

 がけっぷち犬は06年11月に救出され、徳島県動物愛護管理センター(神山町)で約2カ月暮らした後、抽選で同県つるぎ町の馬木(うまき)カズ子さん(67)に引き取られた。名前は「リンリン」。1カ月でお座りを覚え、一緒に散歩に出かけるのを喜んでいた。

 1年3カ月が過ぎた今年4月18日の夕方、散歩中に首輪が外れ、走り去ってしまった。首が太くなって苦しいだろうと馬木さんは首輪を少し緩めていた。

 リンリンは自宅周辺の畑が点在する住宅地をうろつき続けた。えさを置くと食べに来るが、近づくと逃げ出す。しばらくすると3匹の野良犬と行動をともにするようになった。相談を受けた美馬(みま)保健所が、好物のちくわなどを入れたわなを畑に仕掛け、5月12日に捕獲に成功。リンリンは再びセンターに預けられた。

 センターによると、犬は生後3カ月ごろに人と接するとよくなつく。現在2歳のリンリンはがけから保護された時、すでに生後半年を過ぎていた。そのうえ、がけにいた数日間に多くの人の視線やカメラのフラッシュを浴びたことが心の傷となり、警戒心が強くなったらしい。

 センターに戻って1カ月。スタッフはできるだけ手からえさをやり、体をなでて、触れ合いの時間を持つようにしている。獣医師の城万里(じょう・まり)さん(36)は「がけから保護された時は人を見るとパニックを起こし、草むらなどに逃げ込もうとしていた。馬木さんに飼われたおかげでその回数が減った」と話す。

 馬木さんは「大事な家族だから、いないと寂しい。できるだけ早く迎えに行って、また一緒に散歩したい」と再会を楽しみにしている。(三浦宏)

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