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「うちのパソコン128メガで遅くって・・・」
「え?うちは最近100メガにして速くなったと思っていたのに・・・?」
「100メガ??それ遅すぎてイライラしない?」
「いや、十分快適だと思うけど・・・」
これは、単にせっかちな人とのんびりしている人との会話・・・ではありません。どうやらこの二人、話が噛み合っていないようです。
いったいどういうことでしょう。




「メールに添付していいファイルは、何メガバイトまでですか?」「自宅のパソコンのメモリは、1ギガバイトあるよ」など、パソコン関連でもっともよく使われる単位と言っていいでしょう。「B(バイト)」は、ファイルやハードディスクの大きさ、つまり容量を表します。
ほかにも、ハードディスクやUSBメモリ、デジカメ用のメモリーカードなど、 バイトが使われるシーンはいろいろあります。
容量が大きくなるに従って、単位の表示はB(バイト)→KB(キロバイト)→MB(メガバイト)→GB(ギガバイト)→TB(テラバイト)と変化していきます。

まずは、「bps(ビーピーエス)」。インターネットの速度を表す単位なので、「わが家のネットは、何Mbpsかな?」など、この数字を気にしたことのある人は多いのでは? 「bps」は「Bits Per Second」の略で、1秒あたりに何ビットのデータを転送できるかということを表します。

単位の説明に入る前に、そもそも「解像度」とは何のことでしょう? ごく簡単に言えば、画質のきめ細かさ、密度のことです。解像度の単位は、「密度」を表すときに使われる単位なのです。
では、早速「ピクセル」から見ていきましょう。「ピクセル」とは、デジタル画像を構成している最小単位の点のこと。
たとえば、デジカメのカタログに「有効画素数10メガピクセル」と書いてあれば、10メガつまり1000万個の点々で1枚の画像を構成するということです。この場合の「ピクセル」は、「画素」とも言い換えられます。デジカメメーカーによっては、「10メガピクセル」ではなく、「1000万画素」という書き方をしている場合もあります。
デジカメでは、ピクセル(画素)数が多いほど、画像のキメが細かくなります。ピクセル自体は画質を表す単位ではありませんが、そのため、一般的に「ピクセルの数が多いデジカメ」=高画質のデジカメと認識されるのです。
一方、パソコンのディスプレイで使われる「ピクセル」は、表示できる画面の範囲を表している、と考えるとわかりやすいでしょう。つまり、ピクセル数が増えると、表示できる範囲が広くなるのです。
ディスプレイによっては「画面の解像度」を選択できるものがありますが、同じホームページを開いた状態で「800×600ピクセル」にした場合と、「1280×1024ピクセル」にした場合を比べたのが右の図です。後者のほうが、より広い範囲を表示できることがわかります。 |


800×600ピクセルで表示した場合

1280×1024ピクセルで表示した場合
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解像度に関する単位で、もうひとつよく使われるのが「dpi(ディーピーアイ)」です。プリンタやスキャナのカタログで見かけたことはありませんか?
「dpi」は「Dots Per Inch」の略で、画像1インチ(=2.54センチメートル)あたりにいくつの点(ドット)が使われているかを表しています。当然、「dpi」の数字が大きいほど、キメの細かい高精細な画像を印刷したりスキャンしたりができます。
ちなみに、「ピクセル」と「dpi」は、「画像を点で表す」という意味では同じですが、「dpi」が「1インチあたり」と基準となる大きさを明確にしているのに対して、「ピクセル」は単に「点」の数を表すだけです。「ピクセル」と「ドット」はいずれも「点」を意味しており、「ppi(1インチあたりのピクセルの数)」という単位もありますが、頻繁に使われる単位ではありません。



コンピュータの世界では、もともと0と1しかない2進法でデータ処理を行っています。そのため、10進法で表すと中途半端な数字になってしまうのです。
具体的には、容量を表す「B(バイト)」の場合、単位換算すると1 KB (キロバイト)=1024B(バイト)、1 MB (メガバイト)=1024 KB (キロバイト)・・・となります(1024は2の10乗です)。
ただし、「正確には1024をかける」という意味だということを覚えておけば、いつでも厳密に1024をかける必要はありません。大体の数字を知りたいときは、1000をかけて単位換算すれば十分です。
ちなみに、ここで使用されている「K」は、私たちが普段距離や重さなどを測るときに使用する単位の「k(キロ)」と混乱してしまいがちです。一般に、「k」は1000を表しますが、コンピュータで扱う2進法と10進法とを区別するため、表記を大文字と小文字で使い分け、1024を「K」で表しています。 |


カッコ内はバイト表示で、カッコの外はキロバイト表示。一見、何の関連もない数字に見えますが、カッコ内を1024で割ると、キロバイトに換算することができます。 |
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しかし、あくまでこれが慣習となっているというだけで、実際はそこまで明確な区別がされていないようです。文章を読む際にはそこを理解したうえで、読み取るとよいでしょう。
一方、速度を表す「bps(ビーピーエス)」では、1Gbps(ギガビーピーエス)=1000Mbps(メガビーピーエス)のように1000をかけて単位換算する場合と、1Gbps (ギガビーピーエス) =1024Mbps (メガビーピーエス)のように換算する場合が混在していますが、一般的には前者を使用することが多いようです。
そして、「Hz (ヘルツ)」の場合は、そもそも2進法とは無関係な単位のため、1GHz(ギガヘルツ)=1000MHz(メガヘルツ)のように1000をかけて単位換算を行います。



さて、ここで冒頭の二人の会話に戻ってみましょう。
「うちのパソコン128メガで遅くって・・・」
「え?うちは最近100メガにして速くなったと思っていたのに・・・?」
「100メガ??それ遅すぎてイライラしない?」
「いや、十分快適だと思うけど・・・」 |
二人はなぜ噛み合わなかったのか、わかりますか?ポイントは、同じ「メガ」でも容量を表す「MB(メガバイト)」と、速度を表す「Mbps(メガビーピーエス)」との違いです。
このように、会話の中では、後半を省略することが多いため、パソコンの単位はわかりにくいと感じる人も多いようです。でもちゃんと理解していれば、このような勘違いもしないで済みます。 皆さんが普段使っている重さを表す「kg(キログラム)」と距離を表す「km(キロメートル)」も、やっぱり「キロ」しか言わないことが多いはずです。それでも混乱しないのは、重さの話なのか距離の話なのか、誰もが前後の文脈から自然に判断できているからなのです。
パソコンの会話も同じです。「メモリの話だからメガバイトだ」「インターネットの話だからメガのあとはbpsだ」と前後の流れから判断すれば、混乱は避けられそうです。
パソコンで使われる単位は、一見すると似たようなものが多く、その上2進法を10進法に直した単位と、もともと10進法の単位が入り混じっていることから、混乱しやすいかもしれません。でも、「概算(1024ではなく1000で計算する)でもOK」 「前後の文脈をチェックすればよい」と考えるだけで、ずいぶんわかりやすくなるはずですよ。
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