消防士、21年間無免許運転 高岡市が懲戒免職
2008年06月10日
高岡市と市消防本部は九日、運転免許を取得したと偽り昭和六十二年から今月まで二十一年間にわたって無免許のまま消防車や救急車を運転していたとして、高岡消防署勤務の四十代の消防士長を懲戒免職処分にした。消防士長は同日、上司に付き添われ高岡署に出頭し、同署は道交法違反(無免許運転)の疑いで任意で事情を聴いている。
同本部によると、消防士長は昭和五十六年に採用された後、免許を取得したと偽り、虚偽の免許番号を申告。六十二年から消防車両の運転を任された。過去五年間の出動はポンプ車九十七回、救急車三百九回に及んだ。
同本部の聞き取りに対し、消防士長は五十六年に自動車教習所を卒業したが、筆記試験に合格できなかったとしている。同本部の指示で高岡消防署が昨年十一月から始めた月一回の免許の定期点検では、家族の免許証を使ってごまかし、すり抜けていた。今月五日に行われた点検で、写真を指で隠すなど不審な行動があり発覚した。
消防士長は勤務以外では運転せず、通勤では家族が車で送迎し、家族は勤務で運転していたことは知らなかったという。
記者会見した梶消防長は「チェックが甘かった。申し訳なく、再発防止に努めたい」と述べた。消防長と消防本部理事は減給十分の一(一カ月)、高岡消防署長は減給十分の一(二カ月)の懲戒処分、同署副署長と直属の上司に当たる課長、前任課長は戒告処分とした。
橘市長は記者団に対し「あってはならないこと。市民におわびしたい」と述べ、陳謝した。消防士長の名前や年齢を公表しないことについては「既に重い処分を受け、職を失ったことや、本人の階級、職責も含めて判断した」と述べた。
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