県医療審議会(沖田信光会長)が17日開かれ、出席した医師らから武雄市民病院の民間移譲を批判する意見が相次いだ。武雄市が行った移譲先の公募には、北九州市と佐賀市の2法人が応じており、市は近く移譲先を決める予定。この日の審議会では「移譲先はすでに決まっている」と“出来レース”を指摘する声や、医師会への事前の相談がなかったことに対する不満などが噴出した。
この日は、県内の公立病院を再編・ネットワーク化する専門委員会の設置などが本来の議題だったが、武雄市が進める武雄市民病院の民間譲渡計画がやり玉に挙がった。
委員からは「新築場所まで決まっていると聞く。公募や選考委員会の設置は理由付けに過ぎない」「安心して医療を受けられなくなる。(樋渡啓祐市長の)暴走」などの厳しい発言が続いた。
沖田会長も「市のやり方は、国が示す公立病院再編のガイドラインにある『関係者の理解を得るための手順』や『住民、医師らの意見の十分な聴取』という項目に逆行している」と批判した。
市民病院の民間移譲については、樋渡市長が昨年12月、市議会一般質問で、北九州市の医療法人が経営する福岡市の病院の実名を挙げて「譲り受けを希望する複数と接触している」と答弁していた。
この医療法人は公募に応じており、地元では「最初から移譲先が決まっていた」などとする批判が出ている。【上田泰嗣、原田哲郎】
毎日新聞 2008年6月18日 地方版