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産科崩壊阻止のための対策要望書

準備委員会会員より、現在の医師達の気持ちを代弁する声が寄せられましたので、御紹介いたします


1 医療の結果に付き、刑事責任免責として下さい。これは全ての科に必要です。出産には産婦人科、麻酔科、外科、小児科、内科が関わり合いますから、産科だけでは無意味です。 最近は外科、救急医療が崩壊中ですから、必ず必要です。

2 民事訴訟での上限設定が必要です。分娩保険も支払わない場合だと、1000万円まででしょう。或いは分娩保険を支払う場合は、更に上乗せしても良いでしょう。例えば妊婦死亡の場合損害賠償額2000万円なら分娩費50万円。妊婦死亡の場合損害賠償額1億円なら分娩費500万円とか。支払い可能な額を計算して決めれば良いです。

3 検察審査会の起訴は医療事故には適応されないことにすべきです。感情は医学的判断に影響すべきではありません。あくまで科学的分析すべきです。今回の大野病院事件でも遺族は病死を理解できず、患者が死亡したら、全て医師の過誤だと主張しました。それでは産科医療は成り立ちません。妊婦はある一定の確率で必ず死にます。

4 内診は看護婦でも出来るようにすべきです。産科看護婦にやらせれば良い話です。今まで、産科看護婦で周産期死亡率は、世界でもかなり低く抑えられて来ました。厚生労働省看護課が勝手に出した、産科看護婦による産科内診禁止通達は産科崩壊を明らかに加速させました。
大阪のオーク住吉産婦人科は年間500件の分娩を取り上げて来ましたが、この違法通達で分娩を中止せざるを得ませんでした。大阪のオーク住吉産婦人科が分娩を中止して、約半年後に大阪で産科救急患者がなかなか受け入れられない事件が発生したのです。
次に厚生労働省看護課がどれ程産科医を困らせ、産科崩壊させてきたか分かる証拠を提示します。
http://blog.goo.ne.jp/tengoku69/e/956ef7643af844c3bd638aa7c350b444
http://www.yk.rim.or.jp/~smatu/iken/sankafutotaiho/drnakamuradr/index.htm
本来医師法の元では産科看護婦は医師の指示があれば、産科内診は可能です。次を参照すれば良いです。
産科内診の法律変遷に付いて。
http://www.yk.rim.or.jp/~smatu/iken/innere/index.htm
今後は厚生労働省看護課が、医政局長、厚生労働省政務次官、厚生労働省大臣にも一切預かり知らない所で、勝手な立法行為をしない様に厳重に監視して下さい。

5 病死は異状死でないと定義すべきです。医療関連死は異状死でないと定義して下さい。医療関連死をどうするかは、今後話し合えば良いでしょう。医療関連死は届出義務がないとして下さい。診療行為に関連した予期しない死亡は異状死だという法律上の定義はどこにもありません。法医学会の声明など意見に過ぎません。何ら届け出を法的に拘束するものではありません。診療行為に関連した予期しない死亡が業務上過失致死罪に相当するという法律は存在しません。最高裁が言い出したことは立法権の侵害と思います。法律は国会 が決めることです。

6 福島県大野病院の産婦人科医加藤先生逮捕事件は不当逮捕不当起訴だったと宣言して下さい。直ちに起訴取り下げして、裁判を終了して下さい。2度と国、政府、厚生労働省、法務省、警察、検察が、この事件の様な不当逮捕、不当起訴事件は起こしませんと宣言して下さい。その宣言がなければ、恐ろしくて産科や外科医療など出来ません。その宣言がなければ、医療冤罪で逮捕起訴される医師が必ず出るからです。何故なら、妊婦は一定の確率で必ず死ぬからです。その度に産科医が逮捕起訴されるのであれば、産科など出来ません。警察は告発あれば、必ず、書類送検します。検察は遺族マスコミの感情に流され、起訴してくる可能性が高いからです。そこに科学的分析の概念はありません。今回の大野病 院の刑事裁判で明らかとなりました。

7 マスコミに因って医師が叩かれた場合、患者の個人情報は、もはや公の物であると定義して、医師や病院側は科学的根拠に基づいて、マスコミに反論する機会と権利を付与すべきである。その反論は個人情報保護法違反にならないと定義して下さい。今医師や病院は裁判になれば、反論の機会を与えられず、叩かれっぱなしです。

8 陣痛促進剤被害者の会で、「無過失保険で得た保証金で訴訟の準備もありえる」、「産科訴訟に無過失はない全て過失だ。」と公然と宣言されました。だから、無過失保証制度は無意味です。効果はありません。この制度で産科医療崩壊阻止は出来ません。この制度では年間数百億から、数千億円使うことになりますが、この金は無駄なことに使うのではなく、 周産期医療施設の建設や維持に使用すべきです。


次に一般の診療行為に関連した死亡であっても刑事責任免責とすることを要望します。

厚生労働省の役人は医療行為に関連した死亡を無理やり届けさせ、しかもその結果を刑事裁判や民事裁判に利用できる様に影で暗躍しています。日本全国の臨床医は絶対に納得しません。悪質なものとか過失が明らかな物を刑事裁判に利用できるなどと言っている様ですが、それを信じる医師はいません。福島県大野病院の加藤先生の例を見ても明らか。過失はないのに遺族、警察、検察、マスコミが一体となれば、無過失の医師を叩く。この制度はまた医療冤罪事件を招くことは明白です。明確だからこそ、更に、産婦人科、外科、脳外科、麻酔科、小児科、が減り、更に内科までも減ることが予想されます。失敗したら、或いは病気を治せなかったら、手錠を掛けられ、臭い飯を食い、牢屋に入らなければならないなら、誰もそんな危険な仕事はしません。こんな馬鹿げた、法律が出来たら、医療崩壊は必然です。厚生労働省の役人を信じないで下さい。何度でも書きますが、医師にとり、この非常に危険な法律が出来たら、危険な医療から急速に撤退が始まり、必ず崩壊します。今の産科を見てもお分かりだと思います。崩壊してしまったら、立て直しは10年 以上不可能です。そうなれば自民党は選挙で負けます。

産科崩壊の引き金を引いてしまったのは、福島県大野病院の加藤先生逮捕事件です。真面目にひたすら自己犠牲の精神で年間一人で300件の驚異的な分娩のみならず、帝王切開までこなしていた優秀な加藤先生がたった1件の病気を治せなかったと理由で逮捕起訴するから、日本で産科医療が崩壊してしまいました。医師の業績を評価するのは、どれだけ多くの患者の病気や手術をうまくやれたかが大事だ。つまり業績を加点方で評価するのが良いです。
病気を治せず、合併症で死んだ場合厳罰に処すのではたまったものではありません。この減点法で医師を評価するのであれば、一切危険な治療をしない医師、つまり何も出来ない 、しない医師が良医と見なされます。この減点法は実に馬鹿げた評価方法です。
もし診療行為に関連した予期しない死亡が業務上過失致死罪に相当するという法律が出来て刑事罰を加えることが決まれば、日本の産科医療、外科、救急医療をやる人間はいなくなります。医学的に治療の限界を超えており、治すことが出来ない病気で患者が死ぬことは良くあることである。奈良の大淀病院の様な脳出血を呈した症例を医師が助けられない場合、素人マスコミが騒ぎ医師に刑事責任を問うべきだなどという風潮が蔓延すれば魔女狩りが横行し、即医師の危険な医療からの撤退を招きます。全国の臨床医は絶対に納得しません。産科崩壊はもっと酷くなることは明らかです。医療事故は当然零になりますが、本来助かる命の多くは助からず、多くの日本人が死んで行きます。現在は救急医療も崩壊しています。新規の外科医も殆ど零。10年後には外科医療が崩壊する恐れがあります。原因は福島県の大野病院の不当逮捕不当起訴事件があるからです。医療に刑事罰は不必要 です。

 

H20.2.12  厚生労働大臣に対する全国医師連盟設立準備委員会会員の声