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【早坂礼子の言わせてもらえば】激安価格のクルマを作れ (1/2ページ)
このニュースのトピックス:景気
名古屋に住んで再確認した。発車時刻を気にしないで電車に乗ることができるのは大都市だけだ。ここには地下鉄も私鉄も走っているが、最も本数が多い線で5〜10分間隔。私の自宅から名古屋駅行きのバスは30分おきだし、郊外では1時間に1本のこともある。だから市民の足代わりはクルマ。地方在住者にとってクルマは通勤や買い物に欠かせない生活必需品だ。
そのクルマが売れていない。2007年の国内販売は前年比7・6%減の343万台。軽自動車を含めても6・7%減の535万台だった。この傾向は今年に入っても変わらず、4年連続で前年割れする見通しだ。ピークだった1990年の777万台の4分の3の規模である。新車の保有期間もバブル前は平均5年だったのに、ここ数年は7年ほどに延びている。
ことに若者のクルマ離れが著しい。自動車ディーラーに聞くと来店客は家族連れがほとんど。ニートやワーキングプアの増加で、携帯電話の通信料を払うとクルマのローンを組めない若い人が多い。原油高騰でガソリンは上がるばかりだし、駐車場や税金など維持費も高い。欲しくても買えないのだ。
自動車産業は裾野が広い。このまま国内の市場が縮小し続ければ日本の活力はどうなるか。クルマメーカーは輸出に活路を見いだす一方、毎月のように新車を投入して国内販売のテコ入れを図っているが、「シェアが上がった、下がった」と一喜一憂する前に、足もとの土俵が小さくなり続けていることに、もう少し危機感を抱くべきだ。