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社説

死刑執行 鳩山流「自動化」ですか(6月18日)

 連続幼女誘拐殺害事件の宮崎勤死刑囚ら三人の死刑が執行された。

 これで鳩山邦夫法相が命令した死刑執行が十三人となった。一九九三年の死刑執行再開以降の法相で最も多い。半年余りで四回のペースだ。

 判決確定から執行までの期間は過去十年の平均で約八年だが、今回は三人とも二−三年程度だった。

 法相は「正義の実現と法の支配する国を守るため」と述べた。だが、こうした型通りの説明では、わからない点が多い。なぜいま、執行が増えているのか、もっと丁寧に語るべきだ。

 死刑は法相の命令で執行される。再審請求や心身の状態などを総合的に判断して決めるからだ。

 刑事訴訟法で、命令は死刑の判決確定後、六カ月以内とされている。しかし、再審請求や恩赦の出願中はこの六カ月に算入せず、心神喪失状態や妊娠中は執行しないことが法に定められている。

 後戻りできない刑だけに、歴代の法相は慎重な検討を重ねてきた。

 近年、死刑確定囚が急増し、百人の大台に乗っている。長勢甚遠前法相は十人を執行した。鳩山法相はそれを上回る。確定囚が多いから急ぐのか。ここも知りたいところだ。

 鳩山法相は昨年秋、「ベルトコンベヤーと言ってはいけないけど、(死刑確定の)順番通りなのか乱数表なのか分からないけど、自動的に客観的に(執行が)進む方法を考えてはどうか」と述べた。

 法相が死刑執行命令書の署名の責任を負う苦しみを避けたいという理由だった。発言の軽さに批判が集まったことは記憶に新しい。

 気になるのはその後の執行ペースだ。事実上の「自動化」ではないかと思う人もいるだろう。ますます説明が必要だ。

 宮崎死刑囚については弁護士が再審請求の準備中だった。面会した臨床心理士によると、現実の認識能力が大きく損なわれていたという。

 本人はどこまで自分の置かれている状況を理解していたのだろう。

 国連総会が昨年十二月、死刑存置国に執行の一時停止を求める決議を採択した。日本は反対票を投じたが、死刑の廃止・停止国が増えている潮流を無視はできない。

 鳩山法相は、今回執行した三件について、「いずれも残忍な事件で遺族は無念この上ない」と述べた。

 東京・秋葉原の通り魔事件が頭にあったのだろうか。

 死刑と無期懲役の間に仮釈放のない終身刑を創設する議論も超党派で始まった。来年は裁判員制度も始まる。大きな社会状況をどこまで踏まえた判断なのかも聞きたい。

 
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