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【社会】

副都心線 終日混乱 各駅停車、急行線路に…ミス次々

2008年6月17日 07時05分

副都心線のダイヤの乱れなどを伝える池袋駅の改札口=16日午後10時44分、東京都豊島区で(沢田将人撮影)

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 十四日に開業した東京メトロ副都心線(埼玉・和光市−東京・渋谷)は、営業初日からトラブルが相次ぎ、開業日から三日連続でダイヤが大幅に乱れた。十六日午後には、各駅停車が誤って駅を通過するなど、混乱は収まらなかった。同社広報部は「申し訳ない」と平謝りしている。

 東京メトロによると、十六日午前七時二十分ごろ、小竹向原駅で、西武線からの乗り入れ電車が遅れたことから、和光市方面から来る直通上り電車との出発調整にもたつき、遅れが出た。

 副都心線は東武東上線と西武池袋線が相互乗り入れしている。運行マニュアルでは、乗り入れ電車が遅れた場合、後発予定の電車を先に出発させ、運行を調整することになっているが、後発予定の電車を待たせる指令ミスがあった。このトラブルで上り線に最大三十五分の遅れが出た。

 さらに午後四時四十分ごろ、渋谷発の下り各駅停車が誤って急行電車の軌道に入り、東新宿駅を通過した。ダイヤの乱れは終日続き、同六時五十五分ごろから池袋−渋谷間で折り返し運転に切り替え、JRや東武、西武などへの振り替え輸送は丸一日、行われた。

 副都心線は営業初日の十四日、車両に搭載されている自動列車運転装置に不具合が生じたことなどから断続的に十五分程度の遅れが発生。二日目も、車両やホーム柵ドアのトラブルなどからダイヤが乱れた。

 東京メトロ広報部は一連のトラブルについて、「他社路線との乗り入れも含め、スムーズな運行のためマニュアルを作り、試験も十分に行ってきたが、不慣れもあり基本的なミスが生じてしまった」と説明している。

■新機軸 人的ミス招く

 トラブル続きの東京メトロ副都心線。新たな大動脈として期待が大きいだけに利用者の不満も強い。相互乗り入れの他社路線への影響も大きく、トラブルが長引けば首都圏の鉄道網全体に不安を広げる恐れもある。

 今回のトラブルの多くは、売り物の(1)複数社の相互乗り入れ(2)東京メトロの地下路線として初の急行導入(3)自動列車運転装置(ATO)−でのミスに起因する。十六日朝のトラブルは、西武線から副都心線や有楽町線への乗り入れが複雑な小竹向原駅で起きた。

 都営地下鉄の関係者は「相互直通運転の開業当初にありがちな混乱」と指摘。ダイヤ乱れなどのトラブル発生時にしばらく電車を止めておくか、運休にするかなどの判断は運転指令が行う。「時間帯や込み具合などから経験や勘で瞬時に判断する。マニュアル化できない職人芸の世界」という。

 各駅停車が急行の軌道に入るというトラブルは異例だ。ポイントの切り替えなどは自動化されているが、ダイヤが乱れると、運行マニュアルに基づき、総合指令所が乗務員や各駅の信号担当者に進路制御などを電話で指示し“人力”で手直しする。今回はこの時の指令ミスとされる。

 東京メトロによると、副都心線では各駅停車が待避用ホームに止まり急行が追い越す駅を新設。国土交通省幹部は「進路制御などがより複雑な相互乗り入れとなり、人的ミスが生じやすい面があったのでは」とみている。

 一方、営業初日や二日目に相次いだATOの不具合で、電車が停車指定位置に止まれず、断続的な遅延の要因となった。副都心線の混乱は相互乗り入れの各路線など広範囲に波及した。交通評論家角本良平さんは「相互乗り入れは複雑さを増す。一年目はゆとりを持った輸送計画にすべきだ」と指摘している。

(東京新聞)

 

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