県立多治見病院(多治見市前畑町)に入院したが、必要な検査が遅れたため重度の後遺症が残ったとして、県内在住の男児(7つ)と両親が県などに損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、県は17日、県が原告に約1億8000万円を支払うなどとする和解内容で双方が合意した、と発表した。県は24日開会の県議会定例会に関係議案を提出する。

 県側は2006(平成18)年5月、約1億8000万円の支払いを命じられた名古屋地裁判決を不服として、名古屋高裁に控訴していた。

 県などによると、男児は01年12月19日に入院。医師は同22日に「川崎病」と診断して治療を続けたが、同30日に髄液を検査した結果、細菌性髄膜炎と分かった。男児は知的障害や手足に重い障害が残った。

 訴訟では、県は「途中で細菌性髄膜炎を合併した」と主張したが、二審の鑑定も「入院時点で重症細菌感染症を疑って必要な検査をすべきだった」とする原告の主張に近い結果だった。

 舟橋啓臣院長は17日会見し「訴訟を長引かせることは原告に申し訳ない。再発防止に向け、幅広い視野に立って診断を進めるよう周知する」と述べた。

 男児の両親は「病院と県には、真剣に再発防止に取り組んでほしい。4年半以上に及んだ裁判は大変に苦しいものだった。早期の解決ができなかったのかという点でも、対応を見直してほしい」とのコメントを出した。

 また、同病院で今年1月、抗がん剤を過剰投与された県内の男性=当時(54)=が死亡した医療ミスで、県は17日、損害賠償金2500万円を支払うことで遺族と合意した、と発表した。関係議案を県議会定例会に提出する。