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【主張】北海道開発局談合 組織存続の是非も考えよ
農業土木工事をめぐる官製談合が発覚したばかりの国土交通省北海道開発局(札幌市)で、今度は河川改修工事での談合疑惑が明るみに出た。
しかも、本省北海道局の現職局長までが逮捕される異例の展開である。これでは組織全体が談合まみれの体質だと言わざるを得ない。
同開発局をめぐっては、これまでも度々、不透明な事業発注が取りざたされてきた。平成14年に東京地検特捜部が鈴木宗男衆院議員を受託収賄容疑で逮捕した際も、官製談合疑惑が指摘された。
その後、入札監視の第三者委員会が設置されたが、結局は形だけにすぎなかったわけだ。
トップに至るまで組織が不正体質に染まっていては、もはや自浄能力に期待することはできまい。現組織のまま存続させるかどうかの是非を含め、道開発行政の在り方そのものを抜本的に見直すときではなかろうか。
北海道開発局はもともと北海道開発庁の現地実動部隊として設置され、13年の省庁再編で開発庁が国交省の一局に組み入れられた後も同省出先機関として残された。廃止論もあったが、道内政財界の強い意向で存続が決まった。
このため、北海道における国の公共事業を一括して扱う構図は開発庁時代と基本的に変わらない。職員数もなお6000人を超え、関係職員の異動は今も旧組織内限りで行われているのが実情だ。逮捕された本省局長は、かつての開発庁事務次官に相当する。
北海道は総人口の5%にすぎないが、その開発事業費は“北海道シェア”と呼ばれ、常に国の公共事業総額の10%台を維持することが不文律となってきた。国土面積の23%を占めながら、道外に比べ社会資本整備に立ち遅れていることがその理由とされてきた。
しかし、そのことが道経済の自立意識育成には逆に作用したとの指摘もある。小泉改革で公共事業費は圧縮され、最盛期は1兆円を超えた事業規模も、今年度は6000億円程度に減り、シェアもすでに10%を割り込んでいる。
その分、道内の建設土木業者の危機感は強く、行政との癒着を強める背景にもなっているという。開発局発注の工事は、落札価格が軒並み予定価格の9割を超え、談合は日常的に行われていた可能性がある。捜査当局には、組織に巣くう構造的な談合体質を徹底解明するよう求めたい。