【台北=野嶋剛】尖閣諸島(台湾名・釣魚台)海域で起きた台湾遊漁船の沈没事件で、周辺海域への軍艦派遣を計画していた台湾は17日朝、派遣中止を発表した。与党国民党の立法委員(国会議員)、林郁方・外交国防委員長は記者団に「日本の姿勢が軟化した。主権の誇示はある程度成果を上げた」と述べた。
同諸島の領有権を主張している台湾側は「主権の誇示」「漁民保護」などを理由に、同委員会の立法委員らを乗せたフリゲート艦を派遣する準備を進めていた。民間活動家の船が16日早朝、海上保安庁にあたる海巡署の護衛のもと同諸島海域の日本領海に侵入するなど、台湾側の行動は激化していた。
しかし、事態の悪化を懸念した馬英九(マー・インチウ)総統サイドが立法委員らに、派遣断念を働きかけたと見られる。また日本側も外交ルートを通じ、軍艦を派遣すれば軍事的緊張が懸念されるとして、派遣中止を働きかけていた。