山形県天童市の天童ホテルで16日から行われた第66期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第6局は17日午後8時10分、105手で挑戦者の羽生善治王将(37)が森内俊之名人(37)を破り、4勝2敗で奪取した。残り時間は羽生37分、森内20分。羽生は5期ぶりに名人へ返り咲き、通算5期で十九世名人の資格を獲得した。
名人が終身制から実力制に移行して以来、永世名人の資格保持者になったのは、木村義雄十四世(名人通算8期)▽大山康晴十五世(18期)▽中原誠十六世(15期)▽谷川浩司十七世(5期)▽森内十八世(5期)に次いで史上6人目。昨年の森内に続き、2年連続で永世名人有資格者が誕生した。
すでに永世王将などの資格を得ていた羽生は大山、中原の「永世5冠」を抜き、史上初の「永世6冠」となった。全7タイトルのうち、残るのは永世竜王(連続5期か通算7期が条件、羽生は通算6期)だけになった。【山村英樹】
▽羽生新名人の話 今期は力戦形の将棋が多く、一局一局苦心しました。特に第4局が印象に残っています。終わったばかりで、あまり(永世名人の)実感はありませんが、七番勝負の最後の方は、少し意識していました。
▽森内前名人の話 全体的に押され気味で、あまりチャンスはありませんでした。結果的に(逆転負けの)第3局が大きかったのですが、拾ったような将棋もあったので、仕方ありません。また一から出直します。
◆羽生新名人の略歴 85年、プロ入り。96年、史上初の7冠全制覇を達成。タイトル獲得は名人5、王将11、竜王6、棋聖6、王位12、王座16、棋王13の計69期。永世名人、永世王将、永世棋聖、永世王位、名誉王座、永世棋王の資格を持つ。通算成績は1028勝384敗(勝率7割2分8厘)。
【ことば】永世名人
名人は江戸時代から伝わる将棋棋士の最高位の称号。一世名人は1612年、徳川家康から俸禄(ほうろく)を受け、「将棋所」の司となったとされる大橋宗桂。十三世までは終身制で「名人=永世名人」だった。1935年に実力で最高位を決める名人戦が始まってからは、名人のタイトルを通算5期獲得した棋士に贈られることになった。
毎日新聞 2008年6月17日 20時10分(最終更新 6月17日 23時46分)