辞書の挿し絵


「男女川」と書いて「みなのがわ」と読む。百人一首の歌に出てくるのである。

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筑波嶺の 峰より落つる みなの川 恋いぞつもりて 淵(ふち)となりぬる

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この和歌を私なりに解釈すれば、

筑波山の峰のあたりからその源を発するみなの川は、はじめはチョロチョロした
流れだったのだろうが、それも流れるにつれて深い淵を刻むように、ほのかに
思いをよせた私の恋心は積もりつもっていまや深い淵のようになってしまったよ。
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素敵な歌である。 しかし歌の有名さに反して男女川を今の地図で探ても大抵みつからない。男女川は現在の桜川の中流に合流する筑波山からの極めて細い川で、余りに細いのでたまげ、写真に撮ってみた。 

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写真上; 筑波山神社の大鳥居から神社側に100m位進んだところに小さな橋がある。

これがなんと男女川をまたぐ橋である。丁度写真のやや左手にいるE氏の足下。

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写真下; E氏の足下にあった橋桁の拡大。よく見ると「男女川」と書いてある!

男女川が細くなったのは何もこの頃ではなく、江戸時代後期に書かれた筑波山近辺の観光ガイドでも「歌に名高い男女川は大変小さな流れで、大抵の旅行者は知らずに通過してしまった事を後から後悔するので注意すべし」という注意が書かれているほどである。


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