政府の経済財政諮問会議(議長、福田康夫首相)は17日、福田内閣で初めての経済財政運営の基本方針「骨太の方針2008」の素案をまとめた。医師不足や少子化など、社会保障分野の新たな課題は、骨太方針06で定めた社会保障の抑制枠に縛られず実施を検討。その財源は、行政の効率化や道路特定財源の一般化で財源を捻出(ねんしゅつ)し、それでも足りない部分は歳入増で対応する方針を打ち出した。社会保障で実質的に「別枠」を認めたことで、今後、歳出抑制のタガが緩む懸念が出てきた。
本格的な歳入改革に必要となる消費税を含む税体系の抜本改革について、大田弘子経済財政担当相は「今秋に議論する」と述べるにとどめ、まとめ時期については言及を避けた。
骨太方針06は、社会保障費を07年度から5年間で1.1兆円(均等割りでは1年間で2200億円)抑制するとの目標を定めた。しかし、新たな課題に対応する必要が生じたため、今回は、与党から「目標は無理」との反発が噴出した。09年度分の抑制については、雇用保険の国庫負担の減額や割安の後発医薬品の普及促進による効率化を想定し、「骨太方針06」の削減方針の堅持は打ち出した。しかし、具体的な抑制額の詰めは予算編成時に持ち越された。
今秋に行う税制改革について、消費税以外では▽温室効果ガス排出を抑えるためにガソリン税を環境税に衣替え▽欧米に比べて高いとされる法人税に関し、課税ベースを拡大したうえで実効税率を引き下げ--などの検討が盛り込まれた。
環境関連では、温室効果ガスを2050年までに60~80%削減するなど低炭素社会を目指す行動計画を08年7月中に策定、今秋に国内排出量取引制度を試行的に実施する。
成長戦略は、羽田空港の国際化や、10年度までに若者、女性、高齢者計220万人の雇用の充実--などを盛り込んだ。【尾村洋介】
毎日新聞 2008年6月17日 21時52分