鎮痛薬の点滴を受けた患者が相次いで体調を崩した三重県伊賀市の診療所「谷本整形」(谷本広道院長)で06年9月、点滴後の患者の容体が悪化して別の病院に入院するトラブルがあり、原因究明のため、谷本院長の指示で、残っていた点滴液の検査を外部に委託していたことが診療所関係者の話でわかった。
このトラブル後、谷本院長が看護師らに点滴液の作り置きを禁じたことも明らかになっている。谷本院長は当時、点滴という治療行為が容体悪化につながった可能性を疑ったとみられる。
伊賀市の上野総合市民病院などによると、06年9月、谷本整形で鎮痛薬の点滴を受けた男性の容体が急に悪化し、救急車で同病院に搬送された。感染症の疑いがあると診断された。2日後には女性が谷本整形で鎮痛薬の点滴を受けて帰宅した後に体調を崩し、同病院で治療を受けた。急性腸炎とみられた。2人とも10月に退院した。
点滴液の作り置きは院内感染を防止するうえで好ましくないとされるが、谷本整形では当時、日常的に行われていた。検査では原因となる細菌が検出されず、トラブルの原因は分からなかった。
谷本院長は「(症状と)点滴との因果関係がわからなかったので(保健所に)届け出なかった」と今月11日に明らかにしている。
谷本院長はこのトラブルを機に点滴液の作り置きを禁じた。点滴を受ける患者が多く、その都度の調合では患者の待ち時間が長くなるため、難色を示す看護師もいたが、院長は「それでもその都度やれ」と命じたという。
しかし、今年5月以降、谷本整形で点滴を受けて体調を崩す患者が相次いだため、三重県などが調べたところ、看護師らが最近も作り置きをしていたことが明らかになった。診療所関係者は「院内を頻繁に行き来する院長も知っていたはずだ」と話す。