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子どもの「科学する心」をくすぐる魔法の言葉[こんな先生に教えてほしい]

全国のとびっきりの授業を伝えるテレビ番組や「NHKデジタル教材」という授業で使っていただくためのWebを制作するために、これまで、たくさんの授業を見て、多くの先生方からお話をうかがってきました。そのなかで「こんな先生に教えてほしい」と思った先生方のことを書かせていただきます。

今回紹介するT先生は、愛媛県の小学校の先生です。取材したのは、小学5年生の理科の授業でした。
T先生の授業の特徴は、「目標」「示唆」「待つ」の三つです。
この三つのキーワードは、人に何かを教える時に欠かせない要素だと思います。多くの授業を見せていただくなかで、この三つのキーワードを含んだ授業ほど、子どもたちが、自分から考え、動き、楽しみながら学ぶようになっていると、最近感じます。
T先生の授業は、まさにそんな授業でした。今回の授業の目標は、「てこの法則」を見つけることです。
たとえば次のような天秤とおもりがある場合、

【図 天秤とおもりの図】
天秤とおもりの図

左辺の「重さ(1+1)」と「距離(1)」の積は、右辺の「重さ(1)」と「距離(2)」の積と等しい。つまり「釣り合う」ということを実験と観察から導きだそうという授業です。

まず、T先生は、子どもたちに目標となる課題を示します。
それは、「先生を楽に持ち上げよう」というものでした。
「てこの決まりを見つけよう!」とそのまま黒板に書く先生もいるのではないでしょうか?
でも、T先生は「先生を楽に持ち上げよう」にしたのです。わかりやすく、挑戦したくなるような言葉だと思いませんか? つまり、表す言葉次第で、子どもたちが動きだすためのエネルギーの補充量はかなり違ってくると思うのです。
相手を意識した言葉を使った目標の提示は、授業を展開するうえで、かなり重要な要素だと思います。

さらに、T先生は「この角材を使うんだ」と言いながら、長さ4メートルの角材を持ち出すのです。それは、教室の横幅ぐらいある角材です。もう、子どもたちの顔はやる気まんまんといった感じに変わりました。
ここまでが、授業の助走です。
このあと、T先生は、四つのステップで、てこの法則を探していきます。

ステップ1 体感
4メートルの角材を持って、早速校庭に出ます。そして、角材を上の図のようにシーソーみたいに置きます。ここで、T先生は、自分の体重が80キロあることを告げます。子どもたちの顔に、一瞬「大丈夫かな?」と不安な気配が漂ったところで、実験開始です。押したり、引いたり、T先生の細かい演出が光ります。
先生は角材の一方の端に座り、子どもたちは、もう一方の端で力を入れます。すると、「軽い」「なんだこれ……」といった声が思わず漏れます。体感した驚きの声です。
もう子どもたちの頭の中は「?」だらけです。「なんで、80キロの先生がこんなに簡単に持ち上がるんだ?」。子どもたちの「科学する心」が巧みにくすぐられ、驚きと好奇心をかき立てられた瞬間です。

ステップ2 知識
教室に戻って、支点・力点・作用点といった、これからの学習に必要な語彙(ごい)を伝えます。校庭での体験で、支点・力点・作用点という言葉の意味がスッと子どもたちに入った感じでした。

ステップ3 糸口を見つける 実験と観察
ここでは、4、5人1組のグループそれぞれに、長さ2メートルの角材、20キロの水が入るポリタンク、体重計を渡します。
てこの法則を見つける糸口を探る実験の始まりです。
ちなみに、体重計はポリタンクを持ち上げるために必要な力を測るために使います。

ステップ4 てこの法則発見
最後は、重さと距離の関係をより精密にはかれるものを用意し、法則を確かめます。

この四つのステップの中で、T先生の「示唆」と「待つ」というテクニックが見えてきます。
私が、「いいな」と思ったのは、子どもたちが法則の糸口を見つけ、言葉にする場面です。

先生「なにか見つかった?」
子どもたちは、ノートを差し出し、先生が読み上げます。
先生「『力点の位置を変えないで……』
これはいい! これ!
『作用点の位置を10センチずつ変えて……』
わかりやすい! ちょっとアドバイス。『変えていくと』にしたら……」
子ども「あっそうか!」
先生「『2キロか3キログラムずつ増える』
出だしがいいね。
でも、作用点の位置をどう動かしたかわからないんじゃない。見直したら……」


答えを言わずに、何をすればいいかはっきり伝える。そして、「待つ」のです。
子どもは文章を見直しました。
『力点の位置を変えないで、作用点の位置を10センチずつ支点から離していくと2キロか3キログラムずつ増える。』

「支点から離す」という大事なポイントを自分たちで見つけ出し、てこの法則に一歩近づきました。

子どもたちに「目標」と「示唆」を与える言葉は、魔法の言葉でなければならないと思います。T先生は、その翻訳機を持つ先生の一人だと思います。


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