西日本新聞

「社会の病根、今も」 九州の識者危機感強く 宮崎勤死刑囚刑執行

2008年6月17日 13:26 カテゴリー:社会

 死刑が執行された幼女連続誘拐殺害事件の宮崎勤死刑囚(45)。現代型犯罪のはしりともいわれ、その後も猟奇的な犯罪は繰り返されてきた。8日には、東京・秋葉原で無差別殺傷事件が発生したばかり。「社会の病根は断たれていない」。九州の関係者からも不安の声が聞かれた。

 「情報化や人間関係の希薄化が進む中、ホラービデオやコミックの影響を受けた現代型犯罪のはしりだった」。福岡大人文学部の平兮(ひらな)元章教授(犯罪社会学)はそう分析する。最近でも2004年以降、奈良、広島などで女児誘拐殺害事件が相次いで発生。平兮教授は「『人間は死んでもよみがえる』と話す子がいるなど、現実と空想の違いが分からなくなる人たちが増えている」と危機感を募らせる。

 宮崎死刑囚の裁判を一審から傍聴し、「宮崎勤裁判」の著書もある作家の佐木隆三さん(71)=北九州市門司区=も「宮崎死刑囚の冗舌ぶりは計算ずくの詐病と映った。彼の『精神内界』に目を奪われ、社会が子どもを守る手だてを探ってこなかったことに、あらためて思いを致すべきだ」と語った。

 死刑執行は、鳩山邦夫法相の就任以来、約2カ月ごとのペースで行われている。福岡市の市民団体「死刑廃止・タンポポの会」の筒井修さん(60)は、秋葉原の事件などを例に挙げ「頻繁に死刑を執行しても凶悪犯罪は止まらない。死刑が抑止力になり得ていない証明ではないか」と指摘した。

 1992年、女児2人が殺害された同県飯塚市の潤野(うるの)小学校。事件が発生して以来、PTAなどと協力して登下校時の見守りを続ける地元自治会長の男性は「子どもが何の理由もなく無差別に殺されることは何よりつらい。これからも、しっかり見守っていきたい」と決意を新たにしていた。

=2008/06/17付 西日本新聞夕刊=

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