昔のカナダ人スタッフDiveが送ってくれた 新作ビデオらしい・・・・? |
おそらく日本はじめての混成チームでのフルアニメ製作 |
この作品はアメリカのエージェント経由の作品です。今から20年近く前に製作したものです。 ジャパニメーションと呼ばれる前からアニメにおける、日本のカメラアングルや演出方法はかなり高い評価はあったんです。それを本格的にはじめたのがこの頃だと思います。いいとこを融合して作品としようという試みでした。全米放送のものはほんとにお子様向けで、「あれはだめ、これはだめ・・・・」と厳しい規制があります。エージェント経由ということは全米放送のものよりは規制がゆるいのです。そのため少し思い切ったことが出来るという意気込みでこの企画にはいっていった。参考にこの頃はディズニ−アニメはとても停滞していました。それがこのあとから、日本的なカメラアングルや演出を取り入れてマーメイドや美女と野獣などがヒットしだしました。日本の感性を取り入れるようになってよくなってきたんです。美女と野獣の前とあとでの作品を見比べればそれは明白です。 ガジェット警部は監督と美術設定がフランス人、絵コンテと台詞カナダ人(アメリカ)、演出作画仕上げ日本人という混成チームでした。東京ムービーで製作していました。はじめ原画で参加していたのですが、途中からがジェットルームで1年契約のコンテの演出に関わりました。おそらく日本での合作の始まりの頃だったと思います。すべてがはじめてのこころみ。大きく違うのははじめに台詞があり、それにあわせて作画していくということです。いろいろ感情もあらわにやり取りしました。コンテから原画にはいるところのレイアウトが私たちの注意していたポイントかな。私は特に演技が好きでアイディアを出してカナダ人たちを喜ばせていました。あの頃は多少英語も話しましたが、今は全然ダメです。 |
このときの日本人演出の仕事について |
チーフ演出が比留間氏(現在アメリカ在住)。その他各話演出という形で、私、橋本三郎氏(現在タマプロ演出部)、矢野氏(現在アンパンマンなどの劇場用アニメの監督)、ほか2,3人の計7,8人で60話ほど作っていました。 アメリカから絵コンテを受け取り、台詞などをチェックし、確認します。このときカナダ人スタッフとタイミングや台詞の確認をします。同時にフランス人監督の考えを確認して、場面に必要な小物、人物などをフランス人デザイナーに発注します。それからコンテを読み込み全体の流れをつかみます。どちらかというとアメリカはアイディアなどは面白いが、少しルーズなカット割やテンポだったりするのでレイアウトやカメラアングルなどをコンテ上で修正します。演技のタイミングなどは台詞の間は動かせませんが、台詞と台詞の間や前後など間があいたりするので演技などを加えたり修正したりします。そんな作業のあと原画さんと打ち合わせに入りレイアウトチェック。使えないレイアウトの場合リテイクだしたり、こちらでラフで描いて指示したりします。それから原画チェック。OK!であれば作監修正にまわします。そして動画。ここでまたチェックします。下記の作画注意事項のように日本の動きでないアメリカの動きを目指していたため、このチェックはなかなか大変です。それからフィルムのラッシュ試写でのチェック。ここでも動きが命なので結構なリテイク作業を行います。フルアニメーションだったので、日本の通常のアニメ(当時23分くらいで動画枚数4000枚くらい)3倍くらいの動画枚数をかけていたと思います。当然よく動いていて質の高いアニメーションになっているのです。枚数をかければ質がよくなるってことではありません。このときの日本人演出の仕事としては各話数ごとのフィルムまでの完成の責任を持つというパートでした。約1年間やりました。それまで日本昔話をやっていてこれをやったのでギャップが大きかった。大きかった分、とても刺激的な仕事でした。 当時の作画スタッフはいろいろいまして、ピンからキリまで。ピンはすごい人たちがやっていました。 セイントセイヤやセーラームーンなどをやっていた荒木伸吾&姫野さんチーム、OHプロ(才田氏・駆け出し原画マンだった高坂希太郎氏など後の宮崎アニメを支えるメンバー)など原画を見るとビックリするようなポーズやタイミングで毎回チェックをわくわくしていました。そのときの資料は未だにとってあるんです、一流のアニメーターたちの原画に感動していたからなんですね。 |
ガジェット警部の作画に関する注意 |
ガジェット警部は1940年代〜1950年代のトムとジェリーやバックスバニーなどアメリカンカートゥーンの動きを目標にしています。 |
したがって、アンティシィペイション(前動作)、リアクション(ゆりもどし)、フォロースルー(末端部のタイミングの遅れ)を多用することになります。フルアニメーションの場合、すべての動きが同時に極点に達した原画というのはまずありません。ある部分の動きについては原画が極点であっても、他の部分は遅れているか、あるいは進んでいるかです。したがって動画でも、原画のポーズを超えた絵を書かなくてはならないことがしばしば起こります。またコマ数の配分も、たとえば振り向きに中7枚が指定されていたとすると、ただ中割で7枚入れてしまっては意味がなく、顔の動きに5枚(さらにその5枚の中の1枚をリアクションに使う)、残りの2枚を髪の毛のフォロースルーに使う、という風に工夫しなくてはなりません。慣れるまでは大変だと思いますが、1発書きではなく、ラフを描いて動きを追求してみてください。 |
歩き、走りなどの基本の動作はアメリカ風にしなくてはなりませんので、プレストン・ブレアの「ANIMATION」(アニメーションの参考図書)に従ってください。ダブル・イメージ(早い動きを描くとき、同じ絵に頭とか足を複数個描く)も多用されます。ただし、フランス人の好みもあって下品に思われるような表情・動作は止めてください。 |
動画の線は細かい均一な線よりもやや太めで、メリハリがあり、伸びのある線でお願いします。フルアニメーションなので、やわらかく動かすよう注意してください。特にクローズアップでは、絵に味を出すようにしてください。 |
特に、原画と原画の間の各部分の動きが、すべて同じタイミングで始まり、同じタイミングで終わる(単純に中割りをするとそうなります)というのは、メカニックな動きを要求されているのでない限り、絶対に避けてください。 たとえば、ガジェットのコートのすそ、ペニーのおさげ、ブレインの耳などは彼らの動きが止まってから、少なくとも2〜4枚遅れて止まることになります(フォロースルー)。こういった原画の解釈と、コマ数の配分には工夫してください。 |
メインキャラ紹介 | |
ガジェット警部 | サイボーグです。自分自身では世界一の警部だと信じており、いつも自信たっぷりの気取った演技をしますが、やることなすことすべてドジばかりです。ただし自分がドジをしたことに、自分では決して気づきません。性格・演技などは、ピーター・セラーズのクルーゾー警部のイメージです。 |
ペニー | ガジェットの姪です。ちゃんと学校にも通っている、まじめでかわいい女の子です。同時に決断力もあり、はっきりした性格の、正義感のある女の子です。ガジェットが巻き込まれたゴタゴタは、たいていこの子が上手く解決します。 |
ブレイン | ガジェットほどではありませんが、多少抜けたところのある犬で、いつも大げさな動きをします。首輪にマイクとヘッドホンを持っていて、ペニーの指令を受けます。返送してガジェットを助けることもあります。場面によって、4本足の時と2本足の時があります。 |
マッドキャット | ドクタークロウの飼い猫です。実に陰険な笑い方をします。ディズニーのシンデレラのルシファー猫のイメージです。 |
ドクタークロウ | ガジェットの敵役。マッドという秘密結社のボスです。いつも見えるのは腕だけで、決して顔を見せません。 |
PONの関わったお話 | |
Coo-Coo-Clock Caper(鳩時計騒動) | ラストの時計工場の戦いはイメージがカリオストロの城とダブります。 |
The Bamuda Triangle(バミューダトライアングル) | クロウの海底基地に潜入して、大崩壊させる話。 |
Basic Traininng | 汽車を使った冒険活劇アクション。 |
Bad Altitude | エベレスト島という高度の高い山のホテルの秘密基地を崩壊。 |
The Ruby | インドの宝石の話なんだけど、内容忘れてしまった。 |
Race?(レース) | カーレースの話。 |
その他忘れてしまいました |