政府は17日、医学部の定員削減を定めた97年の閣議決定を見直すことを決めた。閣議後に舛添要一厚生労働相が提案し、福田康夫首相が了承した。来年度予算編成に向けた「骨太の方針」に反映させる。政府は「22年度には医師不足は解消する」として、削減方針を変えてこなかったが、医師不足の深刻化を受け、政策を全面転換する。具体的な増員数は未定だが、削減分を戻したうえ、さらなる上積みができないか検討するとみられる。
舛添厚労相は福田首相との会談後の会見で「偏在ではなく、不足しているとの認識に立って医師を増やす」と述べた。具体的な増員目標は「財源の問題もある」と明示しなかった。
医療費抑制を念頭に置いた医学部定員の削減は80年代後半に始まり、07年度の定員はピーク時(84年度)より8%少ない7625人。日本の人口1000人当たりの医師数は2.0人(04年度)で、経済協力開発機構(OECD)加盟国中で最低レベルだ。
これに対し、舛添厚労相は自身もメンバーに加わる同省の「安心と希望の医療確保ビジョン会議」で、医学部の定員増を主張。提言に方針を明記し、政府として数値目標を打ち出すのが望ましいとの見解を示していた。【清水健二、佐藤丈一】
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